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In The Night

誰しもがこの夜の擬人化を試みては、くだらない形容動詞を当てはめようとする。しかしながら、大都市の電光の飛沫や、文明の寿命よりも永い距離といった事物に阻まれて、誰ひとりあの夜空の冷たい地肌に触れることはできない。せめてもの悪あがきにと、人工衛星で真鍮色の傷をつけてみても、無声映画のコマ送りより速く消えてしまうし、星雲の群れが放つ光子の波の、億年単位のディレイは、いかなる天啓や隠喩も含まずに気層の裡で揺らいでいるだけだ。そんな徒労にも似た茫漠さを忘れたくて、風俗街を満たす有象無象の情報に気を紛らわせたり、交差点の大型ビジョンに映る美男美女を連れ合いにする妄想に酔い痴れたりした日々もあった。が、それでもやっぱり、結局のところ俺は、俺達の頭上を覆うあの深淵の、無限の拒絶に未だ恋い焦がれていて(と同時に怖れてもいて)、缶酎ハイを片手に灯の絶えた飲み屋街の路地をほっつき歩き、雑居ビルの稜線でもって矩形に切り取られた夜空を左手で掴もうとしては、バランスを崩して左足をドブに突っ込んだりするのだ。

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