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私がオバさんであっても 序章  作者: 五味
序章 始まりの君へ
2/21

第2話「爆報スクープ! ゆうまと甘美はアヤシイ関係!?」

「ふわぁぁ」


 不意にあくびが出る。

 早朝、ゆうまは緩みきった表情に半開きの目をこすりながら通学していた。


「結局昨日はアパートに帰った後も甘美あまみと遅くまで今、流行りのオンライン飲み会議で打ち合わせしたし、さすがに眠いな……」と、昨日のことをふと思い出していると『と、いうことでゆうま君、明日から同じ渡良瀬学園高等学校わたらせがくえんこうとうがっこう1年3組クラスメートとしてよろしくね!』という言葉と共に保奈美ほなみの姿が思い浮かばれる。


「まさかね……」



第2話「爆報スクープ! ゆうまと甘美あまみはアヤシイ関係!?」



 ガラガラガラッ


「よう! ゆうま、おはよう、ちょっといいか?」


「へ!?」


 ゆうまが、教室のドアを開けた瞬間ギロリとメガネ輝く男子生徒の顔がドアップで視界に入ってくる。

 彼は、同じクラスメートの西村だ。その後ろには同じくクラスメートで天然パーマの武田ももれなくいる。

 そのままゆうまは近くの席へ誘導され、座らされる。どうやら何か企んでいるらしく、彼らの表情はどこかにやけていて気味が悪い。一体何を考えているんだか……。

 ゆうまは怪訝に思いつつ「早朝からどーしたんだ?」と、尋ねる。

すると武田から思いがけない言葉が返ってくる。


「実はな、俺たち見ちゃったんだよー!」


「え? 見たって一体何を……」


「お前が甘美ちゃんちに入っていくトコをだよ!」


「!!」


 瞬間ゆうまは言葉を失い、ダラダラと汗をかき始める。

 ま、まずい、まさか見られていただなんて愛野 ゆうま一生の不覚……。すると心の中で悪魔が囁き出す。


「いいじゃん、いいじゃん! 別に女子の家に入ることくらい普通じゃないか。何を恥じる? どうせなら自慢しちゃえよ!」


 そこへ天使様もやってくる。


「だめぇ! いくら相手が良いと言ったって学校が始まって3日、出会って1日目の女の子の家に行ったことなんて清き身として恥ずべきことよ! 今はただ静かに過ちを背負って、父なる神に贖罪の祈りを捧げるべきだわ」


 あぁ、私の中の天使様と悪魔、一体どちらの声に耳を傾ければ良いのでしょうか……。

 そう、ゆうまが考え込んでいるうちに西村と武田は、話を続ける。


「まったくゆうまってばニクいぜ。3日目でクラス人気ナンバーワン間違いなしの有力筆頭株である甘美ちゃんちに行くなんてよー」


「そうだぞー。現金な奴め!」


「あ、あれは別に学級委員の打ち合わせのためであって……」


 とっさに弁明するも2人はまったく聞かず、なおも話を進める。


「で、何したんだよ?」


「どうせ他にも何かあったんだろ!?」


「いいっ!? な、何もないよ、ホントに!」


 ゆうまは必死に否定する。

 しかしハッと突然、顔を赤くしてしまう。というのも昨日保奈美に抱きつかれた時、服越しに伝わるなんとも柔らかく、温かい感触を思い出してしまったからだ。


「ほんとかぁ?」


「ホ、ホントさ! ったくお前ら何考えてんだ!」


 ゆうまは焦りを隠すため、もう一度念を押して強引に話を切り、急いで自分の席へと行ってしまう。

その光景を目に西村と武田は「何ちょっとからかっただけで顔を赤くしてんだ、ゆうまの奴」と、首をかしげる。


「ちょいと、お2人さん。今の話ホントかしら?」


 ふいに西村と武田に声がかかる。

 振り向くとそこには髪をかきあげながらこちらを鋭く見つめる1人の女がいた。


「あ、あぁ。俺たちは確かにこの曇りなき(まなこ)で見定めたぞ」


「そう……」


 それだけを聞くとすぐにその女は立ち去っていく。

 その表情には不敵な笑みが浮かんでいた。


「あ、アイツは……」



           *          *



「はぁ……。まったく朝っぱらから疲れたなぁ」


 ゆうまは席につき、知らず知らずにウトウトと眠りこけていた。そこへトントンと隣から肩を叩かれ、目が覚める。


「おはよ!」


「……ん? あぁ、おはよ……って、ひょえーー!!」


 そこにいたのはなんとあの風間かざま 保奈美ほなみであった。


「そ、そんなに驚かなくても……」


「ホ、ホントに来たんだね」


「ったり前じゃない❤️ なんで嘘つかなきゃなんないのよ」


 突然の再開にゆうまは取り乱してしまう。

 保奈美は、渡良瀬学園高等学校わたらせがくえんこうとうがっこう指定である薄い青を基調としたワイシャツにピンクのネクタイ、そしてチェックのスカートという女子制服をしっかりと着ており、しかもバッチリ似合っている。

 その姿は周りの女子生徒達となんら遜色がない。

 いや、むしろ周りの女子なんかより全然よき!

 ホントにこれで47歳なのだろうか。バケモンだろ……。


「今時の"じぇーけー"ってこんな感じの制服なのねー。約30年ぶりってカンジ❤」


「そ、そう……」


「ねぇ、ゆうまはこれ、どー思う?」


「え?」


 一瞬その問にどう返答しようかゆうまは迷った。しかしここで正直に褒めなきゃ男が廃る! ゆうまは覚悟を決め、恥ずかしいものの正直に答えることにした。


「そ、それは……に、似合ってる、と思うよ、すっごく」


「え? あ、ありがと❤️ ヤ、ヤだ……照れちゃう」


 それだけ言い残して突然保奈美は席をはずし、すぐさまどこかへピューと行ってしまう。彼女の頬は、ほのかに紅潮していた。

 もしかして本気で照れていたのであろうか。

 てっきりゆうまは、自分の褒め言葉に保奈美がまた調子に乗るか、もしくはからかってくるかと思って身構えていたものの、案外彼女の正直な反応にこちらまで調子が狂ってしまう。

 しかしそう考えているのもつかの間、保奈美が去ると同時に入れ替わるようにして今度はドタドタドタと、走ってゆうまの元に血相を変えた甘美がやってくる。

 その顔は先程の保奈美と180゜違っていた。


「おいおい、ど、どうしたん……」


「どーしたもこーしたもなーい! これは一体どういうこと!?」


 ゆうまの声を遮って甘美はしゃべり、そして後方を指差す。するとドタドタドタッと、たくさんの足音が迫ってくる! そして10人、いや、30人をゆうに越える制服を着た記者団がやって来るではないか!


「甘美さーん、一体どういうことなんでしょーか!」


「噂は本当なのでしょうか!」


「我々学校新聞部に真相を聞かせてもらえないでしょうか!?」


 叫ぶマスコミに甘美とゆうまは、一気に囲まれる。

 パシャパシャというフラッシュが眩しい。


「だーかーらーっ! 何度も言っているようにあたしとゆうまは、付き合ってなんかいません! 何かの間違いです!」


 甘美は、マスコミのマイクに向かってそう言い、疑惑を否定する。


「あ、甘美、一体これはなんなんだ!?」


「こっちが聞きたいわ! 誰かがあたしとゆうまがアヤシイ関係だっていう根も葉もない噂を学校新聞部の連中に吹き込んだのよ」


「いいっ!?」


「甘美さーん! なんでそんな男なんかを彼氏にっ!」


「ゆーま! 分をわきまえてここは潔く甘美ちゃんから手を引け!」


 野次馬の男共は外野で泣きわめいている。

 そんな声に甘美は「だーかーらー!」と、もう一度否定しようとした時、彼女はやって来た。


「あらあら、片意地を張らなくていいですのよ。甘美さん」


 記者団の円が割れ、そこから1人の少女が近づいてくる。

 すみれの花をかたどった髪飾りを付けたセミロングで艶のある茶髪をなびかせ、かきあげながら颯爽と現れた彼女は、まさに容姿端麗と表現するにふさわしい人物であった。しかしその表情は自信と悪意に満ちている。


「あんたは松坂まつざか すみれ!」


「どうも、甘美さん」


「まさかこの噂を流したのは……」


「ええ、確かにわたくしですわ。しかしこちらにはちゃーんとしたリーク情報がありますの。ある筋の話によればどうやら昨日、あなたはゆうまを自宅に連れ込んだとかなんとか……」


 周りがザワザワし始める。


「ちょっと、そんな言い方、誤解を生むじゃない!」


「誤解(五階)も六階もないわ。それにこれは事実、ですわよね? ゆうま」


「そ、それは……そうだけど……」


 またまた周りがザワザワする。


「でもあたし達は学級委員の話し合いをしただけで他に何もしてないわ! ホントよ!」


「証拠は? 証拠はあるの?」


「それは……ないけど、でも断じて変なことはしていないし、付き合ってもいないわ!」


「そう……でもみなさん、信じられる?」


 すみれは周りの聴衆に問うたものの、しかし誰も甘美の言うことは信じていないといった具合である。

 この状況にすみれは確信する。


(フフフ、この場は今、完全に私のペース。

あぁ、勝利の女神は我に微笑みけり。どうやら風間かざま 甘美あまみは、ここで脱落のようね。

これでわたくしがこの学校で人気ナンバーワンになるためのおそらく一番の障害であろう甘美に対してスキャンダルをでっち上げることに成功したわ。

これによって彼女の高い男人気は一気に下落し、男余り現象が起きる。

そしてその市場に余った男どもは、次なる有力筆頭株となったわたくしへの投資を活発化させるってわけよー!

あぁ栄光の資本主義ばんざーい! ばんざーい! これでわたくしは敵なしだわー!

おっーほっほっほっ! おっーほっほっほっ!)


「おっーほっほっほっ!」


「……高笑いが声に出てるぞ」


「おっーほ……え? あ、あらぁイヤだわぁ❤️ オホンッ」


「あれぇ? もしかして甘美のお友達?」


 突然その声が教室中に響いた。

 みなビックリして一斉に声がした方へと振り向く。

 そこにいたのは教室に戻ってきた保奈美であった。


「ね、姐さん!」


「一体みんなで集まって何してるの?」


「姐さん! あたし、ハメられたのよ。このすみれに!」


 そう言ってすみれを指差す甘美。そんな彼女にすみれは、噛みつく。


「何ですって! 事実でしょうが!」


「どこがー!? ちゃんちゃらおかしいわ」


「何よ、やるわけ!? ちゃんちゃらだろうがチャンチキおけさだろうが嘘はいけないですわよー!?」


 バチバチバチッと甘美とすみれ、両者の間に激しい火花が散る!


「なぁんだ! あなた達とっても仲がいいわねー」


「「どこがだ!!」」


 2人は保奈美に顔を向け、物凄い勢いでツッコむ。


「いやー甘美のお友達さん、いつもうちの甘美がお世話になっております」


「「人の話を聞け!」」


 なおもボケ続ける保奈美に2人は再びツッコミを入れる。

 すると周りは「誰だ、あの子?」「そういえば見たことないな」「うちの学年か?」と、見たことのない少女の登場にザワザワし始める。


「そ、そうよ。だいたい急に出てきて、あなたは誰よ? うちのクラスにあなたみたいな人いたかしら?」


 すみれが問いかけると保奈美はそれに対しあっけらかんとして答える。


「え? 私? 私は風間かざま 保奈美ほなみだけど。そんでもってそこにいる甘美の血の繋がった親戚よ。昨日までは諸事情で学校を休んでたんだけど今日からこのクラスに厄介になります!」


 瞬間ゆうまはコレだ! と思いつく。


「そ、そうだ! 証拠ならあったんだ! 保奈美だよ、彼女は甘美の家に一緒に住んでいるから昨日のことも知っているよ」


 そう言うと記者の1人が「そ、そうなのですか?」と、保奈美に確認のため問いかける。

 すると保奈美は場を理解しておらず、不思議そうな顔をしながらも、とりあえず頷く。


「で、ではもう1つ伺いますが、昨日ご自宅で甘美さんとゆうま君の間に何かありましたか? また彼らは付き合っておりますか?」


 記者は単刀直入に問い、みなが息を呑んで保奈美の口から出てくる言葉を待つ。


「ううん。なんにも。2人はただ打ち合わせしてただけみたいだし、付き合ってるってこともないはずよ」


 そう保奈美は声高らかに宣言した。


 シーン……


 その場が一気に静まり返ると共に一同情報を流した張本人であるすみれの方を見る。みんなのその目は、説明を求める目である。


「あぁ……そ、そうなの。ま、人間誰しも間違うことはあるわけだし。

         "間違えたっていいじゃない、だってにんげんだもの"

                                すみれ」


 そう言ってすみれは、その場を逃げるように立ち去ろうとすると背後に多くの恨めし顔の男子生徒や記者達が。


「す・み・れ~~~~!!」


「な、なんです!? え!? えぇー!?」


 一目散に逃げるすみれとそれを追い回す男子生徒達。


「待てーー!! コラーー!! 逃げるなーー!!」


「お、お助け~~~~!!」


 こうしてこの騒動は、無事なんとか収まったのでした。



           *          *



「と、いうことで3日遅れでこの渡良瀬学園高等学校わたらせがくえんこうとうがっこうに通うことになりました風間かざま 保奈美ほなみと言います。みんなよろしくね!」


 最後のクラスメートである保奈美も揃い、自己紹介も終わってクラスの男子達からはヒューヒューヒュー! と歓声の声が上がる。

 一方甘美はというとその光景に呆れた表情をしている。

 またすみれはすみれで「風間 保奈美……。見ていなさい! 絶対に復讐してやるわよ!」と、意気揚々に保奈美への復讐を決心しているのであった。

 はぁ、一体これからどうなることやら……。

 神様、ボクはこれからの学校生活が物凄く不安です。

 ゆうまは、もう一度前にいる保奈美を見る。すると彼女は「うふっ❤️」と、ゆうまに向けてウインクして見せる。


 ドキッ


 ゆうまは寒気を感じずにはいられないのであった。



TO BE CONTINUED

Twitterも最近始めました!こちらもよろしくお願いします。

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