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私がオバさんであっても 序章  作者: 五味
序章 始まりの君へ
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第14話「およげ! さくらちゃん」

「「えぇ!? お、泳ぎ方を教えて欲しいだってー!?」」


 突如として大きく張り上げられた驚愕の叫びが、真昼の喧騒に包まれた教室内で響く。それは目をまんまるくしたゆうまと甘美(あまみ)が発したセリフであった。


「そうなの! もうすぐプールの授業が始まるでしょ。だから泳ぎを練習しておきたいの。ねぇお願い」


 一方ゆうまと甘美の前で手を合わせ、力強く拝みながらお願いをしている彼女は天童 さくらである。よほど死活問題なのかその表情からは珍しく必死さが垣間見えている。

 そんな彼女にゆうまが続ける。


「でもさ、どうしてそんなに必死になってまで泳ぎ方を教えて欲しいの?」


「実はアタシ、ホラ、いわゆるトンカチだからさ、上手く泳げないんだ、あははは」


「それを言うならカナヅチだと思うけど……」


 すかさず甘美のツッコミが入る。


「あはは、そうともいうかなー。とにかくアタシは泳ぎ方をきちんとマスターしたいの。だからお願い! ゆうまと甘美ちゃん、2人は運動神経バツグンでしょ? だから教わるにはピッタリだと思ってさ、ねー、いいよね?」


 さくらは目をキラキラと輝かせながら頼み込んでくる。その目はさながら純真な子供の淀みなき訴えかけのようであり、ゆうまと甘美の心にズサズサと刺さる。

 これぞ何かを訴える眼差し攻撃、またの名をスピードスターという技なのか!? あまりのキラキラ、眩しさに目を開くことすらままならない。

 ゆうまと甘美はさすがにひるみ、「わ、わかった。泳ぎ方を教えるよ」と、最後は根負けしてさくらの願いを承諾する。

 ということで2人は水泳の短期集中特別特訓講座を開催することを約束するのであった。



第14話「およげ! さくらちゃん」



 あくる日、ゆうま達は、水泳道具一式を持って市民プールへとやって来る。


「さぁーて、やるからにはビシバシトコトン指導するわよー! ……っとその前に、あのー、どーして姐さんもいるわけ?」


 横を向くと、そこに見えるは保奈美の姿であり、さくらと話しながら楽しそうに笑っている。


「あたし、呼んだ覚えないんですけど……」


「もーっ! ゆうまと甘美ったら水くさいわねー、そんなに楽しそうな泳ぎの練習会があることを私に黙っておくなんて!」


「いやいや、だって姐さんを呼んだら何かと面倒だし、今回は遊びじゃないんだから! っていうかどうして練習会をやること知ってんの!?」


「そりゃあ、"泳ぎの練習しに行くから保奈っちゃんも行こっ!"ってさくらが誘ってくれたの。なんてったって私達大の親友だから❤️」


「「ねーっ!」」


 保奈美とさくら、2人は顔を見合わせ、キャピキャピしている。

 そんな彼女らに甘美は「余計にめんどくさくなったわね……」と早くもお疲れの様子で、なるようになれと諦める。その思いは彼女らのやり取りを苦笑いで見つめていたゆうまも同じであった。


「さ、さぁ、とりあえずみんな、中に入ろうよ」


 ひとまずゆうまの声かけで、一行はいよいよプールへと向かう。



           *          *



「ふぁ~、それにしてもいきなり市民プールで特訓とは……」


 更衣を終えたゆうまは、一足先にプールサイドへと出て保奈美達の着替えが終わるのを待っていた。片手には缶ジュースを持ち、水着のまましばらくの間、のんびり休憩用の椅子に腰掛けていると、ほどなくして「お待たせ~!」という声と共に各々の水着に身を包んだ甘美達がやって来る。

 瞬間、ゆうまは思わずごくりと息を飲み、目を見張る。

 ――――それはまるで全身に電撃が走ったかのような感覚であった。

 白い肌にピッタリと張り付くオレンジ色のおしゃれなワンピース型水着を身に纏い、すらりと伸びた長い足は年齢を感じさせないほどキメ細やかで細く、艶かしい保奈美。

 学校指定、ネイビーブルー色のセパレート型水着を纏いながらも、柔らかそうな桃色の肌に溢れ出る健康的な若さ、そして適度な肉付きで引き締まった体のラインがバランス良く引き立つさくら。

 これぞまさに目と目で通じ合う、MUGO・ん……色っぽい。

 普段意識したこともなかった彼女達の持つ魅力が水着を着ることによって引き出されており、そのことが余計にゆうまを刺激し、額からは自然と汗が滴る。

特に保奈美は四十路のすっぴんでありながら、その肌にシワの一つもなく、本来の可愛さをキープしており、改めて異常な体質であることが窺える。


「いや~、最近の水着って凄いのね~。とっても伸びるし、身体にフィットするし、動きやすくて気持ちいいし、感激~❤️」


 長い髪をゴムでまとめながら現代の水着に目を輝かせ、感動する保奈美。その横で甘美は「まったく、姐さんてば特訓するんだから学校指定の水着で来なきゃダメでしょ!」と、相変わらず呆れている。


「まぁまぁ、甘美ちゃん。ここは学校じゃないんだし、いいじゃない。そんなことより、ねえ、ゆうま、どうかな。アタシ達似合ってる?」


 ゆうまに水着姿をひけらかしながらさくらは、尋ねる。が、しかし「……」とゆうまから返事は返ってこない。

 そして5秒程経ってから「……ん? あ、あぁ、と、とっても良く似合ってるよ、ホント。保奈美もさくらもホントに……」と、ゆうまは、我に返ったようで、頬を深紅に染めつつ、褒める。どうやら2人の水着姿の衝撃に、心ここにあらずとばかりにポーッとしていたようである。

 そんなゆうまのあからさまな態度と言葉に甘美は「ふ~ん、あたしにはなんの反応もないワケね」と腕を組んでツンとする。


「い、いや、だって甘美の水着姿は以前の無差別格闘プール掃除対決で見慣れてたし……」


 ゆうまは慌ててツーンとそっぽを向く甘美にフォローを入れる、が、しかし彼女の機嫌は直らない。珍しく不機嫌な甘美である。


「嬉しー! ゆうま、私の水着を褒めてくれて。今日は練習しっかり頑張ろーね!❤️」


 一方自らの水着を褒められた保奈美は、ますます調子に乗り、大胆にもぴちょっと引っついて腕を組んでくる。その直に伝わる生暖かな感触に、再び顔がゆでダコのように真っ赤に染まってしまうゆうま。

 そんな彼を「あ~ぁ、ゆうまってば鼻の下ノビノビでデレデレしちゃって。そんなんでホントに特訓出来るのかしらね……」と呆れたようにジト目で睨む甘美。

 ゆうまはその視線に慌てて気を取り直し、頭をブンブンと左右に振って煩悩を拭い去る。


「さ、さぁ! とりあえず体操して早くプールに入ろう! アハ、アハハハ……」



 ということでゆうま達は一、二の三、四としっかり体操をおこない、やっとのことでプールに入ることに。


「じゃあまずはさくらのカナヅチがどの程度なのか確かめたいからとりあえず泳いでみて」


 甘美がそう指示すると、「う、うん」と自信無さげにさくらは応じ、泳ぐ体制に移行する。そして一呼吸置くと、一気に顔を水に浸け、壁を蹴ってけのび、そのままクロールで泳ぎ始めた! ……かに見えたのだが、ものの数秒でゴボゴボと音を立てながらみるみる水の底へと沈んでいく。

 その姿はまるで敵地に向かって静かに潜水しながら忍び寄っていく潜水艦の如し。


「ぷはぁーっ! く、苦しかった……」


 急浮上した潜水艦 さくらは、頬を赤らめ、ハァハァと息も絶え絶えに。これは想像以上のカナヅチですな……。ゆうまは、幸先が不安になってくる。


「うーん。やっぱりさくらはまだ力み過ぎているのかもね。それにばた足も弱いし、腕の動きも変。そしておそらくまだ水に対して少なからず恐怖感を持っている、それが何よりの原因ね」


 甘美はさくらの泳ぎを一目見て、すぐに的確な分析を導き出す。これには思わず端で見ていた保奈美も「たった一回泳ぎを見ただけでそこまで原因を導き出せるなんて……凄い」とビックリ仰天の様子。


「それじゃ、甘美ちゃん、アタシどーすればいいの?」 


「そうねぇ、まずは水への恐怖心を無くすことが第一かな。とりあえず"全集中 水の呼吸"をマスターすることね!」


「はーい! ……ってそれってどうやるの?」


 勢いよく甘美のアドバイスに返事をしたさくらであったが、改めて考えると水泳で聞いたこともない"全集中 水の呼吸"という言葉に結局どうすれば良いか分からず思わず甘美に尋ねる。が、まさかジョークを真面目に聞かれるとは思ってもみなかった甘美は「へ? そ、それはその……ゴニョゴニョ。と、とりあえず水の呼吸っていうのはね、泳ぐときに大事なものなの! さぁ! 続けるよ!」と困惑し、最終的には誤魔化してしまう。

 そんな彼女に「甘美のボケ、スルーされてしまって。あぁ……、可哀想だ……」と手を合わせて涙を流し哀れむゆうま。

 そこへ「ねぇ~ゆうま~❤️ 私にも泳ぎ教えてよ~」と再び保奈美がぴちょりとゆうまに引っ付いてくる。


「んん? あれ!? まさか保奈美も泳げないのかい?」


「う~ん、そうねぇ、昔は日本のリ○ル・マーメイドなんて言われるくらいには泳げたけどあれから30年もろくに泳いでないし、さすがにもう泳げないかも……。だからさ、もう一度泳ぎを教えて私を日本のニューリ○ル・マーメイドにしてくれないかな?❤️」


 そう言うや否や保奈美はゆうまの腰に細く華奢な腕をまわし、顔も吐息がかかるほどの近さで、さらに密着してくる。

 これにはゆうまも「いいっ!? ちょ、ちょっと保奈美、こんな所でそんな……」と思わずたじろぐ。

 刹那、背後に怒りの視線を感じる。それはまるでサバンナの大草原でライオンに目をつけられたかのような弱肉強食の世界を感じさせる視線であった。

 突如訪れた生命の危機に反射神経が瞬時に働き、急いで首が後ろを向く。そこで視界に入ったのは、鬼の形相をした甘美の姿であった。


「……2人とも、指導の手伝いをしないんならさっさとあっちに行かんかーっ!!」


 みしっ!


「「Ouch!!」」


 甘美渾身の鉄拳制裁炸裂! それにより、ゆうまと保奈美ははるか遠くに吹っ飛ばされ、そのままバシャーンと別のプールに落下してぶくぶくと沈んでいくのであった。



 それからあっという間に一時間が過ぎる。


「よし、だいぶ泳げるようになったね。その調子でスィ~スィ~と力を抜いて! ハイッ、ワンツーワンツー!」


 甘美の特訓の甲斐もあり、水の恐怖を克服したさくらは徐々に泳げるようになってきていた。


「どうやら俺のリードも必要ないみたいだね」


 心を入れ換え、さくらの泳ぎの手伝いをしていたゆうまも彼女の成長ぶりに感心するばかりである。


「ハイッ、さくら、そこまで。それじゃあ上がって一旦休憩にしよっか」


 甘美が合図を送ったことでさくらも泳ぐのを中断し「うん! ありがとう、後はクロールを出来るようになればとりあえずは授業の方も大丈夫かな」と言ってひとまず休憩に入る。

 特訓を終えたさくらは、今朝の元気がなくなっており、心なしか表情も笑顔が少なくなっていた。

 どうやら長時間の泳ぎでだいぶ疲れているようである。

 そんな彼女にゆうまは、気を利かせ「そうだ、俺、みんなの分のジュース買ってくるよ」とドリンクの買い出しを志願し、向かうことに。

 タッタッタッと自販機めがけてプールサイドを歩いていると突然、遠くの方から「おーい」と呼ぶ保奈美の声が。


「ん? な、なんだ?」


 声はすれど見当たらない保奈美を探し、辺りをキョロキョロとしていると遠くの方のプールサイドに保奈美の姿が。


「見て見て、ゆうま! バックロールエントリー!」


 そう元気よく言い放って入水していく保奈美。


「はぁ……、いないと思ったら何してるんだか……」


 ゆうまは気を取り直して自販機に向かう。



「まーったく、姐さんてばどこにいっちゃったのかしら」


 一方、甘美もまた、先程から見当たらない保奈美に呆れ果てながら、さくらと共に椅子に座って休憩していた。

 すると突然「お、おい! 誰かがプールの底に沈んでるぞ!」「お、溺れてるのかしら!?」「人だ、人を呼べーっ!」と慌ただしい騒ぎが聞こえてくる。


「ん!? 何があったんだろう?」


 甘美とさくらは顔を見合わせ、騒がしくプールを覗き込んで集まっている人々の方へと行く。


「!?」


 そこで目に入ってきたのは75mプールの真ん中程に深く沈んでいる人影、それはオレンジ色の水着を着た人間のようであった!


「も、もしかして、ね、姐さん!?」



「キャー! ひ、人が溺れてる!!」


 憩いのひと時を引き裂く、その叫び声はジュースを買って甘美達の方へと向かっていたゆうまの耳にも入ってくる。それに付随して周囲の人々も騒ぎ始める。


「な、何かあったんですか!?」


 その尋常ではない状況にゆうまは、すぐさま近くの男性の客に声をかける。


「こ、こちらも状況が良く分からないんだが、な、何やらあっちのプールの方で溺れている人がいるらしいんだよ……。どうやらオレンジ色の水着を着た人だったらしい……」


 そう教えてくれたものの、彼自身も状況が飲み込めないようで焦っている。

 オレンジ色の水着……、ま、まさか保奈美!?

 ゆうまの頭の中には不吉な予感が浮かび上がる。


「そ、そうだ。そういえば最近泳いでなかったって言ってたし、身体もボロボロだろうからまさか足でもつって溺れてるんじゃ……。まずい! 保奈美! 今助けに行くからなー!!」


 保奈美を救い出すため、全速力で踏み出すゆうま。が、しかしツルッ! スッテーンコロリン! と、プールサイドを走ってしまったことが仇となり、足を滑らせしまう。


「あ、あ~れ~!?」


 足が言うことを聞かず、前に次々と足が滑るように出ていくため、止まれなくなってしまう。そのままゆうまは、プールを覗いている甘美達の脇をビュンと過ぎ去り、ドッシーン! と、激しく壁にぶつかってしまい、果ては「て、天使様……」と目を回してしまうのだった。


「ゆ、ゆーま!? な、何してんのよ……」


 突如として脇から新幹線のように風を切って滑っていき、壁に激突したゆうまの姿に甘美は呆気をとられ、周囲もまた、別の騒ぎになってしまう。と、その時、バシャン! と1人の少女が有無を言わさず、プールへと飛び込んだ。それはまだ泳げるはずのないさくらであった。

 バシャバシャと必死に水に食らいつく。腕にまとわりつく水、足にのし掛かってくる水圧、しかし、彼女はそれをものともせず、クロールでプールの底、溺れている人の元へと近づいていく。


「あと少し、もう少し。絶対にアタシが助ける!!」


 さくらは力を振り絞り、その手を伸ばした……。


         ・

         ・

         ・

         ・

         ・


「……って、あれ?」


 さくらは、その沈んでいる人間に違和感を覚える。プラスチック然としたちゃちな見た目、ごわごわした触り心地。

 それは人の形をしたただの浮き輪であった。



           *          *



「まったく、紛らわしいものを持ってきやがって! ダメじゃないか、このクソガキ!!」


「……ご、ごめんなさい」


 警備員に怒られしゅんとしているのは、まだ年端もいかない子供の男の子である。実は人の形の浮き輪は彼の所持物であり、今回の事件は、その浮き輪が沈んでいるのを人間だと勘違いした客によって引き起こされたものであった。


「ほら、プールの底から拾ってくれたお姉ちゃんにもちゃんと詫びろっ! 詫びろ詫びろ詫びろ詫びろ詫びろ詫びなさいクソガキ!」


「……ごめんなさい、お姉ちゃん……」


 男の子はさくらの方へやって来てペコリと(こうべ)を垂れてつくばい、平伏する。

 そんな彼にさくらはしゃがみ込み、ポンと優しく彼の肩に手を置き「いいの、いいの。むしろアタシは感謝してるぐらいなんだよ。坊やのおかげでお姉ちゃん、少しだけだけど泳げるようになったんだ。だからもう謝らないで、大丈夫よ」と言って、もう片方の手で彼の頭を撫でてあげる。


「ホ、ホント!? お姉ちゃんありがとね」


 男の子は頭を上げ、目に輝きを取り戻して感謝の言葉を口にしながらそのままタタタと駆けて去っていく。


「お疲れ様、さくら」


 ポンとさくらの肩に手が置かれる。振り返るとそこには一連のやり取りを見届けていた甘美の姿が。その横では「痛てて……、まだ頭が痛い……」とぶつけた頭を押さえ込むゆうまの姿と「私が御手洗いにいってる間にそんな事件が起こってたなんてビックリ~」と、結局溺れていなかった保奈美の姿もある。


「み、みんな!」


「見事な泳ぎっぷりだったわよ、さくら。これで授業も心配ないわね」


「うん! ありがとう、甘美ちゃん。よぉし、プールの授業頑張っちゃうぞーっ!」


 やる気に満ち、空高く跳び跳ねるさくらと、にこやかに微笑む保奈美達。笑い溢れる夕暮れ時、こうして4人は思い出のプールを背に帰路に着くのであった。



TO BE CONTINUED

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