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神騎士ドラゴウル  作者: 皇 緋尚
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第二話   巷で噂の魔法月兎

 それは月のない夜の事だった。夜の帳が落ちて、しばしの時が過ぎていた。場所によってはまだ多くの人が行きかう時間帯。しかし、場所によっては全く人気がない時間帯。

 そんな人気のない場所に一人の男が立っていた。右手には植物の種のような物を、左手には猫を持っている。

 その猫は男の飼い猫ではないようだ。その手から逃れようと鳴き暴れている姿を見れば一目瞭然であろう。

 男はそんな猫を少々煩わしく思いながらも、なにかしらの対処をしようともしない。その必要はないと判断しているからだ。なぜなら、この猫に対する用事はすぐにでも終ってしまうのだから。

 男は右手に持つ種のようなものを暴れる猫に押し付ける。すると、種のようなものから芽が出て、根が伸び始めた。急激に伸びていく根は猫の身体を包んでゆく。まるで繭のように。

 すでに男は猫を手放しており、根に包まれて繭のようになっているそれを静かに見詰め続ける。事の始終を観察する研究員のような眼差しで。

 やがて、芽が伸び花が咲く。色鮮やかに咲いたその花はあっという間に散る。それはわずかな時間での出来事だった。そのわずかな時の間に猫を包んでいた根で球体状となっていたそれは、元の3倍以上の大きさに育っていた。

 その中から猫が姿を現す。否、それはもはや猫と呼べるような存在ではなかった。花が散ると同時に出てきたそれは、さらに巨大化して人間と同じくらいの大きさとなる。

 顔はかろうじて猫とわかるくらいの面影を残しつつも、その目は吊上がり不気味に赤く、爛々と輝く。太く大きい両手の先からは鋭く尖った大きな鎌のような爪が付いていた。

 簡単に一言で述べるのならば、猫のような化物だった。

「ふむ・・やはりまだ完成にはほど遠いですね、これは」

 猫だった化物を見て、男はポツリと感想を漏らす。

「とりあえずは、このデータで研究が進んでくれることを願いたいところ・・・おや?お客さんが来てしまいましたか」

 猫だった化物に向けていた視線を振り返って後ろに向ける。そこには男が思っていた通りの人物が立っていた。

 それは着物をモチーフとした魔法少女を思わせる衣装に身を包む少女。すでに男は何度も彼女に遭遇しており、その度に研究の邪魔をされていた。

「やはり、今日も現れましたか、魔法月兎(マジカルバニー)!」

「そちらこそ今日もまた動物をこんな姿にして、絶対に許しませんよ!」

 すでに戦闘態勢に入った少女に威圧されつつも、男は強気の姿勢を崩さない。

「まだ完成にはほど遠いのですが、それでも徐々に強力になっておりますよ。今日こそは貴女を倒して、さらなる研究データを取らせていただきます!」

 そう叫ぶと、男は猫だった化物に戦闘開始の合図を送るのであった。




第二話   巷で噂の魔法月兎(マジカルバニー)


「嫌だね!俺は、今日、学校をサボるぜ!」

 早朝、自室にて。尚冴(しょうご)はパジャマ姿のまま、びしっと美月(みつき)を指差して堂々と宣言した。それに対して美月はいつもの光景とばかりに、呆れた表情を向ける。

「いいから早く支度をしなさい。今日は見逃さないわよ」

「え~、昨日はあんまりできなかったから、今日は休んでクリアを目指す!」

「いつもは多目に見てますけど、今日はダメよ。駄々を捏ねてないで、着替えなさい」

「なんでさ~!」

 一向に動こうとしない尚冴に代わり、制服を出して授業に必要なものを鞄に詰めていく美月はちらりと視線だけを向けた。

「今日は初日にあった数学Ⅱと古典のテストが返却されると思うの。さすがにテストの答案用紙を受け取らない訳にはいかないでしょ」

「おの~れ、教師共め!空気読んで全部まとめて来週に返せよな」

「ほら!早く着替えなさい。朝ごはんの準備も出来てるのだから、急ぎなさい!」

「でも・・・」

 じろり!と美月が尚冴を射抜くように見詰める。

「40秒で支度します!」

「下で待ってるわ」

 リビングへ戻る美月を見送ってから、のそのそと着替えを始める尚冴であった。




「おおおお!どうした、尚冴(しょうご)?なんで学校にいるんだよ?」

「俺だって来たくなかったわ、学校なんぞに」

 尚冴は教室について早々、嬉々として問いかけてくる啓祐(けいすけ)に不機嫌そうな面持ちで答えになってない返答を返す。啓祐と一緒にやってきた健太(けんた)が、色々と察して推測を口にする。

「どうせテストの返却があるだろうからって、美月(みつき)さんに連行されたんだろう?」

「健太、正解」

 いえ~い、と尚冴と健太がハイタッチを交わす。

「後で家にでも行くかと思ってたが、手間が省けたぜ」

「ん?何かあったか?」

「昨日の夜、またマジバニが現れたらしい」

 啓祐が幾分真剣な表情で告げた。

「まじばに?知らない子ですね」

「なんでだよ!前からちょくちょく話してたよね、オレ!」

「すまん、ほとんど聞き流してた」

「ちょっ!おまっ!」

 絶句する啓祐であったが、割といつものことで慣れていたのですぐに立ち直ると話を続けた。

「巷で噂の魔法少女だよ!うさ耳付けた十二単をモチーフにした魔法少女っぽい衣装の!魔法月兎(マジカルバニー)と呼ばれているのを聞いた人がいるとか、いないとか」

「画像なしとはこの無能め!」

「無能め~!」

「こ、こいつらは!」

 だが、しかしとばかりに不敵な笑みを浮かべた啓祐はスマホを操作すると、目的の画像を出して罵ってきた二人に画面を突きつけた。

「見ろ!これがマジバニだ!」

「ふむ。顔はわからんが、まぁ、よかろう。無能は取り消してやろう」

「顔はどう頑張っても写らないんだよなぁ。で、これだけミニのスカートだから飛び回るとこうひらひら~っと中が見えるわけですよ」

「ほうほう、実に興味深い続けろ」

 三人は次第にひそひそと声を潜めて会話を続けた。

「ずばり色は黒。こちらが証拠の画像です」

「ほほう」

 啓祐のスマホに次々と画像映し出されていく。三人は頭をつき合わせる様にして黙々と眺めた。

「しかしですね、これ、違うんですよ」

「え?何が?」

「実はマジバニは近接戦闘用のフォームとして、キャストオフが実装されている!」

「なん・・だと・・・!」

「フォームチェンジ後はこれだ。バニーガールだぞ、バニーガール」

「実に素晴らしい」

 こくこくと頷くことで感動を表す尚冴。ここで健太がぽんと手を打ち納得した。

「なるほど、パンツじゃないから恥ずかしくないもん的なことか」

「それな!」

 いえ~い、と啓祐と健太がハイタッチをする。

「というわけで、生で見に行かないか?」

「啓祐にしては悪くない提案だ。しかし、どうやって?」

 この尚冴の問いかけに、啓祐よりも早く健太が答える。

「出現予測みたいなサイトがあって、それで張り込みかけてる人たちがいてさ。SNSでリアルタイムで報告しあってるんだよ。戦闘があるから出現してしばらくはいるからね。その間に現地へ向かって間に合う人が結構いるんだよ」

「つまり、その予測日に集まってSNSを監視して、がんばって移動しようってことか」

「そうそう、そんな感じ」

「な?な?行こうぜ!」

「なかなかに面白そうだな。よし、行――――」

「行きません!」

 尚冴の言葉をぶった切る様に美月(みつき)がきっぱりと言い放った。

「うぉ、美月。いったいどこから聞いてたんだ」

「最初のいえ~い、辺りからかしら?」

「ほとんど最初からだね」

 美月の言葉に苦笑いを浮かべる健太。

「尚冴?」

「はい、なんでしょう!」

「そんな危険なイベントに参加するのは許しません」

「え~、魔法少女、生で見たい~。というか、バニーガールを生で見たい!」

「そんなにバニーガールが見たいの?」

「見たいよ?見たいに決まってるじゃないか」

 淀みなく答える尚冴の姿にいっそ清清しさを感じた美月はため息を一つ吐いた。

「もう、魔法月兎を見に行くようなことはしないのであれば、私と琴音(ことね)真理奈(まりな)でバニーガールの衣装を着て尚冴の家で一日過ごしてあげるわよ?」

「ちょっと待ってください、美月様!」

 抗議の声を上げる琴音を目で封殺した美月は、どうするの?とばかりに尚冴を見る。

「行きません。すまんな、お前ら。俺はここまでだ。行きたければお前らだけで行くがいいさ」

「ちっ!この勝ち組リア充め!別に羨ましくなんてないわけないんだからね!」

 そんなセリフを吐き捨てて、啓祐は自分の席に戻っていくのであった。




 昼休みも半ばが過ぎ、いつものように啓祐(けいすけ)健太(けんた)と共に駄弁っていた尚冴(しょうご)は、不意にスマホが振動するのを感じ取った。何かのお知らせなのか、はたまた誰かからの連絡なのか。それを確認するため、尚冴はスマホを取り出して画面を見た。

 スマホの振動はメッセージの受信を知らせるものだった。美月(みつき)真理奈(まりな)、ましてや琴音(ことね)ではない。そこに書いてある名前はマサムネの四文字。

「は?あいつ、どうやって送ってきた?」

「どうかしたのか?」

 思わず声に出してしまった尚冴に反応して、健太が不思議そうに問いかけた。

「あ、いや。なんでもない」

 二人はそれ以上の追及はせずに、会話を続けることにした。それを聞きつつ、尚冴はメッセージの確認をすることにした。

〈尚冴!何かが起きそうな気配がするのだ、すぐに来るのだ!〉

 それは簡潔な文章であったが、具体性がなかった。

〈いや、来いってどこにだよ?〉

 マサムネに返信すると、すぐさま返ってくる。

〈校舎裏に来るのだ。(わがはい)、すでに待機なう〉

〈あ~、今行く〉

「急用ができた。俺は帰るぜ!」

「急用って、ゲームがしたくなったんだろ」

「むしろ、よくここまで持ったね。僕は感動したよ」

「美月には適当に言っておいてくれ」

「絶対にバレるだろう」

 そんな啓祐の言葉を背中で受けつつ、尚冴はマサムネが待つ校舎裏へと向かうのだった。



 街の中心から離れた場所に公園があった。噴水がある大きな公園で、周辺住民にとっては定番の憩いの場となっていた。周辺住民だけではなく、近くの学校の生徒や社会人の姿も多く見ることができる場所である。

 今は昼時ということもあり、昼休憩にやってきたサラリーマンや学校から抜け出した生徒達がいる。

「よし、今日も面白動画を撮ってこうぜ!」

『おー!』

 幾つかある学生達のグループの一つ、男子生徒6人が噴水のから少し離れた場所で盛り上がり始めた。ただ、その中の一人だけはテンションが上がらず、リーダー格の男子生徒が露骨に顔を顰めた。

「おいおい、慎也(しんや)!テンション低いぞ!面白い動画が撮れなくなるだろうが!」

「大丈夫だって、まさやん。今から撮る動画のために体力とテンションを温存してるんだって。なぁ、慎也?」

「その発想はなかった」

 テンションの低い男子生徒、慎也の背中をばんばんと叩きながら、周囲の男子生徒達が半笑いで煽る。そんな中、おずおずとした口調で慎也が発言する。

「ぼくはもう、動画とか撮りたくない」

「はぁ?お前、何言ってんだよ。お前が撮りたくなくても、俺が撮りたいんだよ!お前に拒否権なんてねぇから」

 まさやんが慎也の胸倉を掴んで激昂した。そんな状況になっても慎也は慌てた素振りを見せずに会話を続ける。そんな彼の姿に若干の違和感を覚えた者がいたが、二人の会話をわざわざ止めることもないかと判断して成り行きを見守ることにした。

「ぼくは動画を撮りたくないんだよ。そんなに面白い動画撮りたいっていうなら自分達だけでやればいいでしょ」

「お前を使って面白動画を撮るんだよ!今日はいつも以上に派手にやってやるからな!」

 覚悟しろよと息巻くまさやん。

「だったら、ぼくがお前達で動画を作ってあげるよ!」

「はぁ?何言ってんだよ。調子に乗ってんじゃねぇぞ!」

 まさやんが慎也に殴りかかろうとした瞬間。慎也の身体から黒い靄が溢れ出し、あっという間に彼の身体が変質する。その姿は人間のような人型のトカゲ。

 簡素な鎧を身につけ、右手には槍を、左手には盾を持っていた。

 その変貌に驚愕するまさやんであったが、殴りかかった手は止まらない。トカゲ男となった慎也の顔面に拳が命中するものの、

「っ!」

 痛みで顔を歪めたのは殴った方であるまさやんだった。すかさず、トカゲ男が右手の槍でまさやんの腹部を突き刺す。

「え・・」

「あ・・・」

「まさやん!」

「まじかよ・・・」

 声もなく倒れるまさやんに他の四人がそれぞれに別の反応を示す。まさやんから槍を引き抜いたトカゲ男は盾で、あるいは槍の柄で、四人の男子生徒を殴り倒してから、地面に転がる彼らを槍でざくざくと刺していく。

「おいおい、あれ、何かの撮影か?」

 異変に気が付いた近くの別の学生グループの一人がスマホを取り出して撮影を始める。それを素早く察知したトカゲ男が吼える。

「ボクヲ撮ルナ!」

 大きく跳躍したトカゲ男がスマホで撮影する男子生徒との距離を一気に詰める。スマホを奪って破壊してから、盾で三回ほど殴りつけ、止めとばかりに槍で腹部を一刺し。

「おいおいおいおい、マジかよ!」

 傍にいた生徒達が慌てて逃げ出す。その中の一人が撮影しながら逃げようと、スマホを取り出して後ろ向きに走り始めた。

「ボクヲ撮ルナとイッテルダロウ!」

 また一人、槍の餌食となる人間が増えてしまうのであった。



 マサムネに乗って現場に到着した尚冴(しょうご)が目にしたのは、噴水のある公園から慌てて逃げ出す学生達とサラリーマンの姿。それと倒れる学生達。原因であろう二足歩行するトカゲ。

「あれ、リザードマンかな?」

「それで間違いないのだ」

 公園に降り立つ一人と一匹。それに気が付いたリザードマンが様子を伺うように見詰める中、尚冴とマサムネは会話を続ける。

「あの人たちは死んでるのかな?」

「いや、生きてるっぽいのだ。とりあえず、(わがはい)は救急車を呼ぶから、救急車が到着するまでにあいつを倒すのだ!」

「救急車を呼ぶって、お前」

「じゃ~ん」

 どこからともなくスマホを取り出したマサムネがえっへんと胸を張る。その瞬間、リザードマンが動く!

「ボクヲ撮ルンジャナイ!」

「うな~!お前なんか撮らないのだ。自意識過剰にも程があるのだ!」

 リザードマンが振るう槍をかわしながら、マサムネが文句をぶつける。

「スマホに反応したのか?お~い、マサムネ!一回、スマホをしまえ」

「わかったのだ」

 マサムネがすぐさまスマホをしまう。尚冴がスマホを取り出してリザードマンに呼びかける。

「お~い、こっちだ」

「オ前モ撮ルンジャナイ!」

 ターゲットをマサムネから尚冴に変更したリザードマンが襲い掛かる。スマホをしまいつつ、尚冴はそれを上手く捌いて距離をとる。その手には龍魂が握られていた。

[ソウルリンク:ドラゴン]

 腕輪から発せられたシステムボイスを合図に、リザードマンが再度襲い掛かる。

「変身!」

 握りつぶした龍魂から銅色に輝く粒子のドラゴンが現れ、距離を詰めてきたリザードマンを迎撃して吹き飛ばす。

[フォーム:ブロンズアーマー]

 リザードマンが体勢を整えるよりも先に、尚冴は騎士の鎧を身に付けていた。

[ウェポンリンク:ドラゴン][ソード]

 即座に武器を取り出し、リザードマンに斬りかかる。その一撃をリザードマンは盾で防ぎ、尚冴を押し返す。そこに槍でするどい一突きを見舞う。

 穂先を弾いて軌道をそらす尚冴。その隙に間合いを詰めようとするが、そうはさせまいとリザードマンが盾を構えて体当たりで迎え撃つ。

 槍が有利な間合いのまま、数度の攻防が繰り返された。

「尚冴!アビリティ!アビリティを使うのだ!」

「そんなのもあったな」

 マサムネの言葉でまだ使っていなかった機能を思い出した尚冴は、さっそく使ってみることにした。

 腕輪の6時の方向にある宝玉に手を当ててから、中央の水晶をタッチする。

[アビリティリンク:ドラゴン][ブレス]

 システムボイスを聞きつつ、尚冴は思い返す。ブレスと言っても口から吐き出す必要はない。マサムネの言葉が脳内で再生される。

「手からビーム!そんな感じなのだ」

「手からビーム、ね」

 尚冴は左手をリザードマンに向けて翳す。銅色の粒子がリザードマンに放射される。

 リザードマンはとっさに盾で防ごうとするが、それでは不十分であった。身体の至る所にダメージを負うこととなった。

「ドラゴンのブレスがそんな盾で防げると思うな!なのだ」

 守りを捨てて攻勢に出るリザードマン。突き出される槍をかわしつつ、尚冴はブレスで迎え撃つ。

 ダメージが蓄積されてきたためか、リザードマンは最後の勝負に出た。大きく跳躍して、必殺の一撃を繰り出す。ぎりぎりまで引き付けてから、尚冴は後ろに下がってかわし、ブレスを撒くように左手を振るった。

 着地後に槍の一刺しを狙っていたリザードマンが怯む。

[フィニッシュリンク:ドラゴン]

 そこにすかさず尚冴の必殺技が叩き込まれる。

[ドラゴニック・ブレイド]

 リザードマンの盾での防御は間に合った。しかし、尚冴の必殺技は盾ごとリザードマンを横一文字に斬り裂いた。

 黒い靄を撒き散らして爆散するリザードマン。黒い靄が消えると、一人の男子生徒が倒れていた。

 遠くから救急車のサイレンが近づいてくる。

「あ、ちゃんと救急車呼んでたのか」

「当然なのだ」

 ふんす、と鼻を鳴らして巨大化するマサムネに尚冴が乗り、その場を離脱する。

「それにしても、お前、スマホ持ってたんだな」

「持ってたのだ」

「あのメッセージは神様的な『力』とかじゃなくて、普通にそれで送ってきてたのか」

 昼休みの事を思い出して合点のいった尚冴は呟いてから尋ねる。

「いつの間に俺のアドレスを登録したんだ?」

「昨日の夜、尚冴がゲームに夢中になってる間になのだ」

「あ~、そういえばなんかそんなこと言ってたような気もする」

「吾、ちゃんとぷらいばし~を重んじて、勝手にスマホは弄らなかったのだ」

「そいつは感心感心。あ、コンビニ寄って欲しいんだけど」

「吾、アイスが欲しいのだ!」

「あ~、はいはい。わかったよ」

「わ~いなのだ」

 近くにコンビにを発見したマサムネはそちらに進路を変更するのであった。

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