Episode.1 Jun:2048-東野 潤
東野潤という真面目な警官のお話。
「警官なんて、俺は許さねぇ!仲間達を地獄に送りやがって!」暴力集団 疾怒-cid-の首魁である男と東野は向き合っていた。
「観念しろ!刑務所は地獄じゃない。少なくとも飯は食える。」
「俺たちはここで負けるにはいかねぇんだよ!権力に屈したらもうやりたいことは出来なくなる。俺だけは生き延びなきゃなんねぇんだ。死に晒せ!」彼は銃を撃った。
「何っ!こうなったら堪忍しろ!」すかさず銃で撃ったが、貫通しない。一方、東野は一発で結構な血を流している。
「これで終いや!」
「こうなったら手をやるしかない。」拳銃を持っている手を目がけて撃ったが、最早手遅れであった。
「グッ……終わりかよ。」
東野は応援がくる前に息絶えた。
「畜生。俺の手もこないなりよって。兎に角逃げるんや。この国を武力で治めるんだ。」
首魁は逃げていった。
それからすぐに司法解剖が行われ東野の頭脳は解析され、記憶のデータ化が行われた。
「俺は助かったのか。」
白い天井を見上げてそこが病院だということに気がついた。
「いや。残念だが、お前は生きていない。正確に言うとな。だが特殊な液体によって満たされている。お前も殺した奴を憎んでいるだろう。」
「何を言っているのかさっぱり分からない。兎に角俺は一度死んだと言うことで良いんだな?」
「その通りだ。君の身体を使わせてもらった。殉職したことによる保険金は降りたから安心しろ。」
「兎に角意識はある。人造人間といったところなのか。今の俺は。」
「そうだな。肉体を再形成した。申し遅れた。私、医師で人間改造研究家の大村と申す。」
「大村、俺はどのように変わったんだ。」
「能力を使ってみたいか。」
「ああ。人造人間というものがどんなものか試させてもらいたい。」
「右手の時計を外せ。」
「こうか。」その瞬間、青い義手が姿を現した。
「不自由がないな。まるで真の腕のようだ。」
「待ってろ。今、敵を準備する。」
「分かった。」
「今から40の敵を倒してもらう。奴らは生命体ではない。安心して倒してくれ。」
「分かった。行くぜ。」
青い右手の拳でテスト用の兵器に向かって進む。
「オラァ!クールに決められるほど冷静な俺じゃもうねえんだ!」
1人をパンチ一撃で撃破すると
「こうか?」念じることによって爪を伸ばした。鉤爪となった右手で刺したり、引っ掻いたりしながら敵を倒していった。
「よっしゃガンモード起動!」しかし起動はしなかった。
「そうは行かないか!ネイルアロー!」すると爪が弾丸のように敵に突き刺さり一気に倒すことができた。
「これで仕事が終わった。」
「よくやった。知っての通り、疾怒が世の中を脅かしている。少数精鋭だが、その影響力は国家を脅かすものだ。西から来る西条蓮太郎という男と協力して、この世から疾怒を無くして欲しい。」
「西条蓮太郎?確かインテリヤクザの典型な者だったか。俺はそんなものと連携出来ない。」
「西条は、インテリヤクザのふりをした立派な刑事だ。逃げに逃げられなくて組織の幹部となってしまったのだ。西条は浪華連合の総長であるが、その組織力をもって西の疾怒勢を追い詰めている。」
「そうなのか。偏見なのかも知れないな。分かった。共に疾怒を追い詰めるバディとなろう。」