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龍vs龍

お待たせしました。


前回まで―――

ドナクレア島へ集結したミノルとゆかいな仲間たち(笑)

古龍他家が人族へ宣戦布告する中、ドナクレア家も宣戦布告を決意する。

 聞いた言葉に間違いがないか、もう一度確かめてみた。


 「ミノル?今何と言ったのじゃ?」


 「うん。俺、魔王になりたいって言ったんだ」


 「「「「「はあ?」」」」」


 妾の婿殿は何を言っているのじゃ?

 魔王じゃと?馬鹿も休み休み言え!アレはそんな言葉だけでいう程、生易しいものではないぞ。

 世界に漂う瘴気のほとんどをその身一つで浄化させる為に生き、徐々に浄化しきれないケガレを蓄積し、最期には正気を失うほどの凶器と絶望を(まと)い、自害もしくは殺される事によってケガレを消滅させるのじゃぞ?

 それだけではない!気が狂うほどの瘴気を吸収するために皇魔族は身体の造りを変える程なのじゃぞ!?


 「……だめ…じゃ。」


 「え?」


 「だめじゃ、だめじゃダメじゃ、ダメじゃダメじゃダメじゃダメじゃダメじゃダメじゃ駄目じゃ駄目じゃ駄目じゃ駄目じゃ駄目じゃ駄目じゃ駄目じゃ駄目じゃ駄目じゃ駄目じゃ駄目じゃ!!!!」


 「リュー…だめか?」

 

 ミノルは妾の叫びに驚いて目を丸くしておるが、それだけは許せんのじゃ!

 そんな子供のような上目遣いをしても無駄じゃ!

 …その仕草少しはかわいいぞ。 

 だが駄目じゃ!


 「貴様何を言っているのか分かっておるのか!?皇魔族は確かに尊い。己の身を犠牲にしてフィーグルの民を守っておる。じゃが、彼奴らは数世代にも渡り、死ぬその間際まで耐えうるように体を改造し、狂気に苦しみ、まだある寿命を次の世代の為に散らすのじゃ!生きたかったであろう!ともに喜びや悲しみを分かち合いたかったであろう残りの魔生を途中で諦めるのじゃぞ!妾は許さん、絶対に許さんぞ!!」


 ひい爺様から聞いていた。

 妾達が神魔大戦以前にその役目を担っていた事、皇魔族よりもケガレの受容量は遥かに高く、狂気の塊となった古龍を倒せば勇者が出来る。勇者は畏怖と尊敬の念で世を正しき道へと導く担い手となり、古龍の肉体は世の経済を潤し、魂は英霊となって地を豊かにする。

 しかし大戦中、古龍族が極端に個体数を減らし、これ以上の浄化の担い手としては絶滅してしまう。

 そこで提案されたのが、当時魔人族の中で瘴気の浄化能力が極めて高い一族がおり、その一族をもって古龍の持つ義務と責任の一つを背負わせて欲しいと―――。

 初めはフィーグル世界の防人として妾達がいるのじゃから、汝らは地を豊かにするだけでいいと固辞したのじゃが、それでも折れない民に根負けし、浄化の権能を譲渡する事としたのじゃ。

 それが今の皇魔族じゃ。

 時を経て皇魔族をトップに繁殖能力の高い妖魔族、魔獣を生み出し、浄化の権能を拡大し、大戦後の荒廃した世をここまで富ませる事に成功した功績があるのじゃ。


 これが妾の知る歴史の一部じゃ。

 ミノルも覚えがあるはずじゃ、権能を譲渡したとしてもある程度の浄化能力を妾達は持っておる。

 腹の底に溜まったケガレが一気に噴き出す現象"逆鱗"を――

 逆鱗(あれ)は体内のケガレを龍がつく種族全てが持っている苛烈な破壊衝動の解放を以て強制的に浄化させる力じゃ。

 ほんの僅かなケガレを浄化させる為に一つの大陸を消滅させる程の破壊衝動は妾達も望んでいないんじゃがの。


 とにかくじゃ!そんな命を散らすような事は絶対にさせぬ!

 古龍という無敵ともいうべき力を持ったが故の増長か?

 とりあえずは話を聞いてみるかの?


 「?リューどうしたの?黙り込んでしまったけど…」


 「ん?ああ、突然怒鳴ってしまったようじゃ。すまなかったの」


 「ああ、相談しなかったのは俺も悪いと思っているよ。でもね、地球に行ってあんなことになって、もう勇者だけを片付けるだけでは済まなくなっているんですよ?」


 「……なるほどの、魔王を名乗る理由を聞かせてもらおうかの」


 「ああ、前提としてあるのが勇者を斃すことにある。だが、捕虜となった奴ら(ゆうしゃ)以外は越境門の開通でフィーグル世界(あっち)地球世界(こっち)を行ったり来たりとどちらにいるかわからない状態だって事、でもそれは地球側の天界の協力(ゲート)もあって解決しそうだけど、擦れ違いとなる可能性もあって斃すまでに時間がかかってしまう。次に、アドラ公国を始め人族圏は、先刻の議題にもあった通り宣戦布告をされていて火力、戦力的に圧倒的不利になっていても広げたい人族圏の拡張。そして地球側では神々の思惑、枯渇する化石燃料、レアアース等の地下資源、豊穣なる大地を支配し食糧問題を開発に来るはずだ。そして、2世界間の思惑の中に地球側で拠点を得た俺が、魔王を名乗る。地球側では小説やゲームの定番といえば"魔王"の存在で、それに対抗するのは勇者やドラゴンスレイヤーといった英雄が定番となっているんだ。だから地球側に俺という圧倒的戦力が乗り込み"魔王"を名乗る。そうすれば、地球側(あっち)では、俺を倒そうと軍隊を使って来るが、これまた俺によって返り討ちにする。そうすれば勇者の出番となってあの勇者(ばか)どもを倒せるという作戦なんだけど、どうですかね?」


 ―――ああ、だめじゃ。


 「つまり、妾達を含めたフィーグルの民が"悪"で人族や地球人達が"正義"ということじゃな?」


 「そうそう!もはや対戦は免れないのなら地球側で俺が敵を圧倒すれば"近代兵器じゃ敵わない!それじゃあ勇者に頼もう!"ってなるんだ!……あ、地球(むこう)の神々も勇者を作れるかもしれないけど、多分フィーグルで作られた勇者レベルだろうから安心していいんじゃないかな?」


 ―――ああ、だめじゃ。何を言っているのだ?


 「……そうか。()()()()()()()()()()()()というのじゃな?」


 「確率としては高いと思うぞ。フィーグル世界への戦火の拡大被害を少なくするのも含まれているんだ」


 ―――ああ、だめじゃ。何を言っているんだ?コイツ(ミノル)は何も分かっておらぬのじゃな。

 妾はてに持つ鎖を離し、エレーナへ目配せをするとミノルの首輪を外す。


 「ふ~、リューありがとう。理解してもらって―――」


 「エリザベス殿、転移門(ゲート)についての詳細は明日にしてもらえぬかの?」


 エリザベス殿、は妾の願いを聞くと仲間の2人と相談して頷く。


 「ミノルよ。2時間後、ドラゴニュートモードで練兵場へ参れ。戦闘できるように体を温めておくがよい。案内はそこの近衛に案内させる。いいな?」


 「なんで??リュー?……………リュセフィ――――」


 不思議そうに尋ねるミノルから足早に席を立ち会議室から妾は立ち去って行く。


 ◇◆


 ―――2時間後―――

 

 ミノルは近衛兵の案内で練兵場へと足を進め、ドラゴニュートモードに変化すると、控室でストレッチを行っていた。


 「ミノルさん、なんかリュセフィーヌさんの目が怖かったですよ」

 

 控室の中にはオースティンを始めとした面々が集合していて、エリザベスが心配そうに声を掛ける。

 

 「うん。なんだかリューの機嫌が突然悪くなって、訳が分かんないな?…といっても多分、俺がまた地球で戦うって言ったから心配して力を診るって算段じゃない?」


 「うむ、後は突然の婚約者という事で、配下の者達への御披露目みたいなものかもしれないしな」


 ミノルの予測にムンチャイが別予測を立てると、オースティン達も頷く。


 「さて、時間となったことだし、行きますか?みんなは観覧席で見ててくださいね」


 「時間です」の案内の下、ミノルは練兵場へと入っていく。

 練兵場にはすでにリュセフィーヌがおり、その隣には会議場に居た武官らしき鎧を着た人物が立っていた。


 「ミノルよ準備はできておるかの?」


 「ああ、準備万端バッチコイだよ!」


 「ふむ、良い返事じゃ。紹介しよう。こやつは妾の祖父ヘキサ・ドナクレアの庶子で名をシャムロックという、魔龍種じゃ。そしてこの2時間で術式を覚えさせ、生まれて初めてドラゴニュートモードを展開させる。」


 その言葉を合図にシャムロックの足元に見慣れた魔導陣が展開されると、グレーの鱗に1双の羽と2本の短い角、上半身は裸(?)にニッカズボンを履いた姿が現れる。

 スピード重視のスマートなミノルに比べてがっちりとした肉体を持つシャムロックは手足の動作を確認しながら軽く数回ジャンプする。

 

 「これはすごい…ドラゴニュート種の様なパワーと人龍種のような関節の可動域を持つ魔導(これ)は素晴らしいですよ、ミノル殿!」


 表情は掴みづらいが、感嘆と称賛の言葉をあげていた。


 「さてミノルよ。ヌシにはこのシャムロックと戦ってもらう。もちろん本気でじゃ。殺す気で戦うのじゃ。……そしてヌシには勝てぬ」


 「なんだって?」


 リュセフィーヌの言葉に観覧席のミノルサイドのどよめきが起こり、シャムロック側の武官達は、さもあらんとばかりに頷く龍人達が見受けられた。

 ミノルサイドの面々は勇者でさえ敵わないドラゴニュートモードに、古龍より下位種の魔龍に勝てないとのリュセフィーヌの言葉を信じる事が出来なかった。


 「まあ、よくて惜敗、普通で惨敗じゃ」 


 「リュー、どういうつもりだ?」


 ミノルはトーンを落とした声でリュセフィーヌのに尋ねる。


 「何、簡単じゃ。ミノルは最初の頃は弱かったが、ここ2年は負けを知らぬ上、そして上手く行きすぎじゃ。細かいことは戦いを終わってから教えてやろう」


 「俺が増長しているとでも言うのか?」


 ミノルは目を細めリュセフィーヌを睨みつけるが、本人はまったく気にしていないようである。


 「さて、のう。空間拡張で1km×1kmの拡張空間の上、妾の結界魔導で囲っておるから、互いに全力で戦うがよい―――それでははじめ!!!!」


 リュセフィーヌの掛け声とともに、ミノルは腰を落とし半身に構える。

 15~20m前に構えていたシャムロックはミノルへと飛び出し、ミノルは釈然としない中、全力をかけた試合が始まるのであった。



――龍について――ランク順上(上位:個体数少)→下(下位:個体数多)

古龍種(読み:コリュウシュ)

龍の中で最強種。神のが討伐可能であるが最強種であるが故の驕りからの隙をつけば、稀に勇者群団での討伐が可能。(正々堂々はデコピン程度で全滅してしまう)

基本魔法行使「魔導:全属性」龍語魔法:極級まで全て


属性龍(俗称)/「属性」龍種(読み:ゾクセイリュウ/"例:水属性"水流種:スイリュウシュ)

古龍と同じく"領域"を持つことができるが、ほとんどは古龍種の上級幹部となる龍が多い。勇者集団(多)で討伐できる。

基本魔法行使「魔導:全属性中級/該当属性古龍クラスまで」龍語魔法:至級および属性ごとの特殊


古代龍(俗称)/エンシェント種(コダイリュウ/エンシェントシュ)

神魔大戦初期にフィーグル世界では絶滅した種。腕力などの物理破壊能力、対物理体制が龍種程度しかない。非常に知能、記憶力が高く、古龍の右腕として重宝されていた。

基本魔法行使「魔導:全属性上級」龍語魔法:至級および特殊魔法カウンター


魔龍種(読み:マリュウシュ)

"領域"保持不可。一匹狼を貫くか、領域外で同族、同種で集団コロニーを形成している。勇者集団(少)で討伐できる。

基本魔法行使「魔導:全属性下級」龍語魔法:上級まで可能


龍種シュウシュ

領域外で魔龍を含まないときは小さな集団コロニーを形成している。たまに単体で生息。龍討伐に特化したドラゴンスレイヤーパーティー、勇者パーティーで討伐可能。

基本魔法行使「魔導:全属性下級」龍語魔法:中級まで可能


「属性」種 (読み:「」シュ"例:火属性"炎種:エンシュ)

ここまでが言語理解、発音が可能な種。ドラゴンスレイヤー個人、勇者個人で討伐可能。

基本魔法行使「魔道:全属性上級」龍語魔法:下級まで可能


「属性」竜 (読み:「」竜"例:火属性"火竜:カリュウ)

言語理解可能であるが、発音は不可。冒険者クラス(レイド討伐)で討伐可だが、生きた長さ=強さなので最強はSクラス

基本魔法行使「魔道:全属性下級」龍語魔法:初級まで可能


竜(読み:リュウ)

言語理解可能であるが、発音は不可。幼竜から飼育し、飼育種族の言語に慣らさなければ、理解しない。

冒険者(パーティ中級以上)に最も狩られる種で「ちょっとひと狩り行ってくる」で討伐可能。

知識を持つインテリジェンスドラゴンとしてもっとも個体数が多く、騎竜としても使われる種。

飛竜、地竜、水竜などと生息圏に属した呼ばれ方をする。

基本魔法行使「魔道:各性下級3属性まで」龍語魔法:不可


竜(獣or魔獣)「読み:リュウ」

もはや野生動物と同じで、「リュウ」の付く個体で最大級の繁殖力と個体数を持つ。

魔獣は瘴気落ちの為、攻撃的。獣は瘴気落ち前で警戒心が強く、人の気配を感じると逃げる。代表種としてワイバーンやサーペントがあげられる。

基本魔法行使「魔法:各性上級2属性まで」龍語魔法:不可


次回も楽しみにしていただければ幸いです。

次話更新は10/11夜には更新できればと思っております。

出来なかったらごめんなさいで、翌日朝までお待ちください。

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