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「フィーグルだよ!」全員集合!②

お待たせしました。


本日中が間に合いませんでしたすいませんm(__)m

 聖堂内が騒然となっている中、メーフェは参拝者達に「友人が直接聖堂内に転移してきた為」と説明し聖堂内は落ち着きを払い、聖堂を去っていく。

 ただ、参拝者のだれもが「何だ、()()メーフェ様のイタズラドッキリかと思ったよ」と言いながら去る姿にオースティン達は苦笑するのであった。


 「それってひどくない!?」


 メーフェは参拝者に向かってツッコミを入れていた。


 ミノルはフィーグルにいた際にメーフェの行動がちょくちょく上がってきていた事と、初見にベットで行儀悪く寝そべっていたのを見ていた為、別段驚きはしなかった


 毎日同じ時間、同じ言葉を言っていたメーフェは時々であるが、参拝者を使って「聖堂に強盗が襲ってきた!をやらせてみた!」や、いつもの口話中に教壇の背後から大波が押し寄せてくる幻術を使ったりと、中々のはっちゃけぶりを見せていた為、冤罪というよりは、自業自得である。


 しかし参拝者とメーフェのやり取りは笑顔で行われており、尊ばれる現人神というより、身近な教会にいるねーちゃんという感じで、ミノルは何故か笑みがこぼれるのであった。


 そんなやり取りの中、ミノル達はメーフェの執務室へと案内をされ、執務机の席に着くメーフェは貰った封筒を開き手紙を見る。

 すると、手紙から眩い光と供にメルディアが執務室内に浮かんで現れる。


 「ひさしぶりねメーフェ何星霜ぶりかしら?」


 「メルディア…」


 「あら?メルディアおねえちゃんって呼んでくれないの?」


 「ちょ!幼少の頃の話よ!?」


 「あら、いいじゃない。私は姉で貴女は妹。それ以上に何があって?」


 「……メルディア姉様で妥協して?」


 「…まあ、いいでしょ」


 どうやら手紙ではなく、境界を跨いだ何かしらの通信手段なのだろうとミノルは推察していた。

 姉妹の会話が続く。


 「それで?あの3姉妹に聖域から追い出されたとミノルさんから聞きましたけど?」


 「う゛…だって、3女神(あいつら)ったら自分勝手だし自己顕示欲は神一倍強いし神魔大戦の時だってさ、やめろって言ってるのに世界巻き込んじゃってもういい加減にしろっての」

 

 「それを抑止させる為に"監査役"っていう役目も持たせたのにこっち(地球)にまで波及しちゃったんだけど…」


 「それだって止めたかったわよ!あたしも調査に乗り出したんだけど、いつの間にか"監査役"と"女神"の権能を剥奪されちゃってて気が付いた時には身動き出来ない状態になっちゃってたのよ~」


 メルディアの容赦ない追及に溜まっていた不満が爆発してしまい、逆ギレを起こしたかと思ったら、さめざめと泣き始める。


 「まったく…過去に別次元で類似例があったから、それを参考にこちらも干渉できる範囲で対処しておいたから。ミノルさん、話をお願いします」


 「おお!?」


 メーフェが落ち着くのを待ったメルディアは話をミノルに振るとミノルは変声をあげてしまう。

 とりあえず、ゴホンと一つ咳払いをしてミノルは説明を始める。

 同行したエリザベスと技術官が以前ミノル達に見せた図面をテーブルに広げ、ミノルの話に沿って途中にフォローを入れながら話は進む。 

 メーフェは図面を見てふむふむと相槌を打ちながら説明を聞きふわふわと浮かぶメルディアに詳細な説明を聞いていた。


 「計画は分かった。じゃあ、こちら側に門の建設をするにあたっての次元リンクの調整にあたればいいのね?」


 「そうよ。そうそう!これからはその門の正式名称は"転移門"とし、通称は"ゲート"と呼ぶことにします。どお?いい命名でしょ?」


 「「「「「「「「………」」」」」」」」


 「姉様?安直すぎ?」


 ミノル達はあえて沈黙していたが、さすが姉妹でメーフェはツッコミを入れる。


 「むううう!?とにかく後は任せたわよ!ゲートが出来たら遊びに行くから覚えてなさい!」


 「えぇ~~」


 頬を膨らませながらメルディアは通信を切るとメーフェはげんなりとしていた。

 ミノル達は気持ちを切り替え、これからの話をしていく。


 「メーフェ様、とりあえず同行者の紹介をしていきますオースティン・レトバルト、元第43次勇者とその奥さんでヴィオラさん。

 そしてこちらがムンチャイ・マッカラーン、元第39次勇者です。

 この子はミク・イシイ、私が地球にいた頃の知り合いの子で、フィーグル絡みで巻き込んでしまって連れてきました。」


 ミノルの紹介で4人はメーフェに挨拶をする。


 「お初にお目にかかります。私は地球出身の龍族エンシェント種でエリザベスと申します。そして後ろに控えるのは同じく地球出身のハイエルフ族で――――」


 「ビセルティスと申します。ビセルとお呼びください」


 「エルマントレイと申します。私も呼びが長いのでエルマンとお呼びください」


 「私と2人はゲートの建設と魔法、こちらでは魔導ですね。地球側の技術官兼連絡係として派遣されました何卒よろしくお願い致します。妹様」


 ミノル達に続いてエリザベス達が挨拶をしていく。


 「ありがとう皆さん。エリザベスさん達はこちらでは絶滅種になっている人たちですね。久しぶりに見ました。

 今日はもう午後に入ってしまいましたし、これから準備をしてドナクレア島へ向かうには少し遅いでしょう。今日はこちらにお泊りくださいな。

 ミノルさんは王城に挨拶をするのでしょう?使いを出しておきますのでお待ちくださいな」


 先程までグダグダだったメーフェは居住まいを正しミノル達に挨拶をする。

 ミノルは少し残念キャラが入っているなあと思いつつも口に出すことはなかった。


 「ありがとうございます。そうそうオースティンさんとムンチャイさんは地球とフィーグルでの戦いに参加する為、以前の感覚を取り戻すべくこちら(フィーグル)に来ました。

 ヤーノと同じく"使徒"としての認定をお願いできますか?」


 「ああ、そういうことでしたらお安い御用ですよ。アーデルハイドが古龍となってしまって使徒が減ってしまっているのでこちらも助かりますといいたい所ですが、お二人の主要活動域はどちらになるのですか?」


 ミノルはメーフェにお願いをしたが、そんな質問が返ってきたので不思議に思い「なぜ?」とメーフェに尋ねると答えが返ってきた。


 「私はあくまでフィーグル世界にいる者に作用する権能です。ですので、地球へ行くと私の恩恵が届かず、力の行使に関して難儀する可能性が高いのです。あの3女神の様に地球の神々と協力できれば、あるいは私の恩恵が続くかもしれませんけど…」


 「メルディア様にはそんな力はありませんし、地球生まれの幻想種にも"眷属化"なんて能力ありませんしねぇ。メーフェ様、なんとか彼らに力になる事が出来ないのでしょうか?」


 オースティンとムンチャイはがっくりと肩を落とし、唇を噛む。

 フィーグル対地球の戦いにおいて、主戦場が地球だった場合、フィーグル側は極少数となり、完全なアウェイ戦となる。

 したがって彼らが求めるのは完全無欠な一騎当千、いや万を求められる程の武力を持つ必要がある。

 地球へ戻った勇者だけではなく、オースティン達と同じく地球に転生して表立っていないが、どこかに生きている先代の勇者達が居るはず。

 また、地球の神々もただ見ているだけではないはず。自分たちの使徒を作り上げ、挑んで来る者がいるはずなのである。

 

 そしてもう一つ。

 オースティン達は龍族や神獣族の長命種による眷族化は避けている。

 それは長命になる事で物語などで聞く知っている者が天寿を全うして次々と死んで行くことによる孤独感、疎外感を危惧しており、自身の精神を保てなくなるのでは、と思っているからだ。

 あくまで"強力な力は欲しい。しかし寿命は人類としての天寿を全うしたい"フィーグルの世界観を持つ者ならば"なんという傲慢、勝手すぎる"といわれてしまうだろう。

 

 それが、使徒としての恩恵がちょうどよかったのである。

 使徒は勇者と同じ力を持ちながら、せいぜい人として生きても、ほんの少し寿命が延びる150年が寿命である。

 ちなみにヤーノは獣魔人族と結婚しているので獣魔人族350年~400年が平均的で、届かない寿命は"世界樹の葉"を使った青汁を飲んで、現在の肉体年齢を保つことで寿命を延ばしている。


 「仕方がない――と言えば言い訳になるが、使徒として難しいのであれば、私は長命種になってでも力を得る事に拘らない。家族との別れも済ましているし、子や孫の死も受け入れよう。勇者達との力に拮抗できるのならば!」


 ムンチャイがソファーから立ち上がり、ミノルに向かって眷属化の道を選ぶことを願うのだった。

 しかし、オースティンはムンチャイの覚悟に驚き、尊敬の念を抱きながらも、どうしても踏み切れない自分に苦悩していた。


 執務室内に重苦しい空気が流れ始めた時、部屋をノックする音がする。


 「ミノル様、ヘティスハークより謁見の許可が下りました。メーフェ様と共に王城へ来て欲しいとの事です。まもなく迎えの馬車も到着する予定です。御用意をお願いいたします」


 「わかりました。オースティンさん、奥様とよく話し合ってから決めましょう。まだ時間はあるのです。

 それからでもいいじゃないですか。私はこれからミノルさんと王城に行かなければなりませんのでしばしの間失礼いたしますが、部屋は係の者に案内させますのでゆっくりしていってくださいね」


 こうしてミノルとメーフェは王城を向かい、残された7人はそれぞれ部屋へと案内されるのだった。

 

 その日、ヘティスハーク城内で謁見をしたミノルは多少の被害が出たものの大きな被害もなく、ヘティスハーク王からは感謝されっぱなしだった。


 ヘティスハーク王からリュセフーヌがドナクレア島にいて領域の解放作戦の真っ最中で、ミノルが地球から帰ってくるまでに4か月も経過しており、気配の消えたミノルの行方を捜してトーグレ家の協力の元、目下捜索中とのことだった。

 ミノルは夕食会の招待を受けたが、解放戦線や捜索されていることもあり明朝早くにも出発したいとの趣旨を伝え「また機会があれば」と断ったのであった。

 謁見も終わり、帰り際に砦から帰ってきていたパーパド王子と出会いここでもお礼をされた。

 

 理由としては、捕虜となっていたアドラ公国軍の捕虜が一掃された事。


 捕虜の身代金要求に公国は「戦争で死んだものとしているから好きにしていいよ」との文書が返送されており、捕虜を養うにも食費やら経費がばかにならず、戦争奴隷としても王国内も隣国のフェリエも戦争奴隷が飽和状態で買い取りてもなく「いっそこのまま公国に返しちゃおうか?」と思っていた所に大規模魔法が実施され、捕虜がすべて越界門に人柱として持っていかれたそうだ。


 「いや~助かったよ!」


 と、大喜びのパーパド王子であった。


 この後、教会へと戻ったミノルとメーフェは明日の出発準備を終えて未菜やオースティン達と夕食後、早朝出発という事もあり、早々に寝床に着くのであった。


 ◇◆


 ――感じる!感じるぞ!――

 ――よかった生きていたんだ。本当に良かった!――


 城内のけたたましいサイレンの後作戦指令室へと向かっていたリュセフーヌは、突如としてミノルの存在を感じ取っていた。

 はじめは僅かな気配であったが、今ではしっかりとミノルだと断言できる位まで感じ取る事が出来ていた。

 リュセフィーヌはその気配を感じるたびに湧き上がる喜びに打ち震えていた。


 司令部では、なぜヘティスハーク王国から巨大な力場が発生したことに疑問を持ち、各地へ散らばっている情報部員へ調査に向かうよう指示している中、


 「この気配はミノルじゃ!ヘティスハークにいる理由は分からぬが、間違いなくミノルじゃ!」


 後ろに控えていたエレーナとレダは涙を流しながら自身を両手で抱き締め小さく震える彼女(リュセフーヌ)の発する言葉に、表情は崩していないが胡散臭そうな視線を送る。

 ドナクレアからヘティスハークまでの遠く離れた距離では龍族はもちろんの事、古龍でもミノルという個人の気配を察知する事は出来ないからだ。

 今でさえ巨大な魔波がドナクレア島まで届けば感知するくらいで、もしスキルシステムを使ったとするならばステータスの知力と探知スキルにのみカンスト、全振りをしたとしても「~に~位の生命体を探知」不特定多数を感知できるかどうかというレベルであった。

 

 『もしかして"貝の絆"の効果なのかしら?』


 改めてリュセフーヌを見るレダはそう思ってしまう。

 眉唾物と思っていた彼女(レダ)は貝の絆について知識では知っていたが、実例もほんの数件あったとしか本で読んだことしかなく、俗説の類であろうと自身では完結していた。

 

 数十秒後に消滅した巨大な力場はそれ以降感知できず、そのまま警戒を怠らない事と軍官に命令しておくと、そのまま午後の軍議へと会議室へと移動する。


 午後からの軍議は突如、鼻息荒くやる気を出したリュセフーヌと共に滞りなく軍議は進み終了した。

 その後、リュセフィーヌは「ミノルを迎えにいく」と城を飛び出そうとするが、家臣達に引き留められて渋々私室へと戻るが、「街へ視察に行く」と言って出ようとしたり、あまつさえ私室の窓から脱走しようと茶を運んでいた侍女に見つかり捕まってしまう。


 「離せ~離すのじゃ~!妾はミノルを連れてくるだけじゃ~!ちゃんと戻ってくるから~。ミノルもどうやらこちらへ向かってきておるのじゃ!なに、途中で合流して一緒に戻ってくるだけじゃ。な?な?ちょっとだけじゃ!ちょっとだけでいいから許してたも~~~」


 翌日、うれしくて眠れなかったのか、飛び(逃げ)出さないよう四六時中監視を付けたせいなのか目の下にうっすらと隈が出来ていたリュセフィーヌが外に出(脱走し)ようと侍女たち数名に取り押さえられて、手足をバタバタとさせて暴れている。


 尤も古龍が本気で暴れれば、城などあっという間に瓦礫の山となってしまうのだが、そこのところは分別がついているようである。

 その日の午後、執務室でそわそわとするリュセフィーヌを軟禁しつつ、政務へと就かせたエレーナは扉の向こう側が何か騒がしくなっていることに気付き扉を開こうと近づいたその時、勢いよく扉が開かれる。


 「ねえねえ!リューちゃん!ミノルさんの気配がするんだけど何?こっち(ドナクレア島)に近づいてるんだけど!?」


 入室してきたのはアーデルハイド嬢で、そのままリュセフィーヌの座る机に周りの応接セットを跳ね飛ばさんばかりに足早に近づく。


 「おお!アディも気づいておったか!?そうじゃ!ミノルじゃ!ミノルが生きておったのじゃ!!」


 「お……御二人共、落ち着いてくだひゃ()い…アーデルハイドひゃま()ひぇんひぇん(戦線)を抜け出し、どう()てここへ……」


 アーデルハイドが開けた扉でKOされたエレーナがよろよろと立ち上がり、鼻を抑えながら2人へ視線を向ける。

 

 「大丈夫よ~戦線は~兵站の補給と~解放した街の~治安正常化で~進行が止まっているから~2、3日は空けても平気~」


 「アーデルハイド様の為人(ひととなり)は存じております…キャラは作らなくてもよろしいかと?」


 アーデルハイドは「ちっ」と舌を打つと、ソファーへ座り、レダにお茶を求める。


 「なん…ですと?"貝の絆"は1対1ではない…多対1も適用なのか……ハーレム……逆ハー…」


 レダは何やら考察しており、リュセフィーヌの傍で考え込む姿勢から微動だにしない。

 仕方なく自分で茶を入れるアーデルハイドに気付き動こうとしたが、いいよいいよと手を振る彼女(アーデルハイド)に制止される。


 「リューちゃんも気付いてる様だから言うわ。私達が感じているのは間違えなくミノルさんのモノ(気配)よ。貝のなんちゃらだっけ?それかどうかは分からないけど、いつの間にかミノル()の存在を確認する事が出来る様になったの。私も大規模魔法(あれ)があってからミノル()の気配が消えて不安になっていたのも事実。貴女達だっていくら戦争とはいえ伴侶の死別って嫌でしょ?生きているか死んでいるかわからない不安。それが生きているなんて知った時の喜びは理解してもらいたいわね」


 少しばかりきつめの言葉だが、アーデルハイドの表情は柔らかく、決して嫌味を言っているのではない。

 互いに伴侶を持つレダとエレーナはそれが共感できる為、沈黙するのであった。

 アーデルハイドは戦線の状況、今後の軍の展開予定を伝え、その日はリュセフーヌと夕食を摂り、その日は城に泊まって明日の朝には戦線へ戻るとの事だった。


 2日目の朝、ミノルの捜索に出ていたトーグレ家の2姉妹が城へと戻ってきた。

 2人もミノルの気配を察知し、ドナクレア島へと飛行していたミノルと再会。

 ミノル()はゴンドラを携え、その中に女性2人男性4人が同乗しており、並行している見た事もない雌の龍族が飛んでいたという。

 ミノル()は人を載せている為、これ以上の速度を出す事が出来ないとの事で、あと1日かけてドナクレア島に到着するとの事。

 アリステリアとディーフェリアの2人も同行しようとしたが、リュセフーヌとアーデルハイドへ無事を伝える為に先触れとして先行し今到着したとの事。

 それ(先触れ)を聞いたリュセフーヌ達は安堵し、アーデルハイドも安心したと一言言ってそのまま戦線へと飛び立っていってしまった。

 後ろに控えていたレダは「4対1だと?…ハーレムルート……」と呟いていたという。


 3日目

 その日は雲一つない天気で風もなく、冬の足音が近づく比較的肌寒い秋晴れの日。

 再び書き換えられたドナクレア島の防御結界に、何者かが干渉したとの城内緊急放送がサイレンと供に響き渡る。

 彼――ミノルがドナクレア島に入って来た事を察したリュセフーヌは護衛兵団とアリステリアとディーフェリアを迎えに飛び立たせる。


 それから数時間後の午後の鐘を聞きながら数十頭の龍に囲まれながら、中心を飛ぶ見覚えのある龍がいた。

 報告の通り隣には見た事もない真っ白な龍族が飛んでいた。

 ドナクレア城外壁正門には、リュセフーヌと近衛兵団が待機していた。

 虹色の様に反射する銀の鱗をした巨体、炎を模した黒い模様が体を走り、体長の半分もあるかと思われる大きな羽と半分くらいの小さな羽、漆黒の規則的なリヒテンベルク図形を模した白き羽4枚をはためかせ地上へと降り立つ。頭部にはほっかむりをしたようにゴンドラを載せているのはではあるが、その姿を見るリュセフーヌはまるで子供の様にはしゃいでいた。


 ゴンドラを降ろし、人龍形態へ変化した姿は10歳程度の少年だった。

 リュセフーヌは近衛の制止を無視して少年に向かって駆け出し、少年を抱き上げてからはその場でくるくると回転していた。

 ひとしきりの抱擁を終えたリュセフィーヌは少年を解放すると再び向き合う。


 「あの、その…だな?」


 「ん?」


 少年はリュセフーヌを見ながらバツが悪そうに話し始める。

 リュセフィーヌは少年を見ながら首を傾げる。


 「心配おかけしました。ミノル・カツラただいま参上いたしました!」


 「心配かけおって!……無事でよかった」


 目尻に涙を溜めながらも満面の笑顔で答える。


 「とりあえずミノルよ!ようこそドナクレア島へ!我が婿殿!」


 これから起こるであろう苛烈な戦争を前に、微笑ましいひと時を過ごすのであった。



用語


貝の絆(読み:カイノバン)

異性同士でこれ以上ない相性を持つ同士の事を言う。古龍では肉体を失った者が相手の胎内(固有結界)に魂と肉体の一部を取り込ませ失う前の肉体を取り戻す事が出来る存在、の事を指す。大抵は番う。

※現時点でレダの知るアーカイブ(世界屈指の蔵書を誇るドナクレア島図書館)の書物に記載されている内容と現時点では設定しています。


魔波(読み:マハ)

魔法、魔導等の魔素を使用した場合(あらゆる魔法は魔素が必ず使用される)に発生する波。

フィーグル世界ではどのような探知魔法を使っても何の属性?どのような効果が?という詳細を把握することは不可能とされている。

①※水の波紋をイメージしていただくと解りやすいです。

②※発生中心から遠ければ遠いほど感知のタイムラグが大きい。


最後までお読みいただきありがとうございました。

ブックマーク、評価をいただき誠に有難うございます。

よろしければ評価もお願いします(希望)

皆様の応援が嬉しくこれからも頑張っていきたいと思っております。


次回も楽しみにしていただければ幸いです。

次話更新は10/06午後には更新したいです。

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