神戸に行こう!
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お待たせしました。
本日もう1話目投稿です。
拙い文章ではございますが、どうか楽しんでください。
「良しと!お待たせしました!これでばっちりです」
「お疲れ様。本当に良かったのかい?」
石井家より転送したミノル達は、未菜の要望により都内の銀行へと立ち寄っていた。
それは、会社の口座、美菜の個人口座からすべての金額を引き落とす事。
多分石井家の面々の通報により、会社の口座は閉鎖され、今ある石井夫妻の口座は凍結されるであろうと、夫妻の口座には手を付けず、会社の口座は元々未菜と健三の稼ぎで手続きがとれるかわからないが、会社の閉鎖を届け出る予定である。
その他郵送で何とかなるものは、手続きを終わらせることができるが、電話連絡をして、付き合いのある行政書士に任せる事となった。
「そろそろ私の手配が来そうだし、お父さんとお母さんの遺品は全て回収したし、もうこの世界には未練はないかな…」
未菜は少し悲しそうな表情をすると、ミノルは彼女の頭を撫でるのであった。
「まあ、仕方がないというか、決めたのであれば俺がフォローするよ」
「ありがとう、ミノルさん」
「そういえば、俺の事さっきまで"おじさん"と呼ばれてたのに呼び方変えたね?」
「ああ、どう見てもミノルさん9歳児でしょ?それに対しておじさんって呼んじゃうとちょっと変だしね」
「そっか、別にどう呼んでもいいんだけどね。さて、お昼ご飯かってみんなの所に行くか!」
「そうですね。あ、あそこのモ〇バー〇ーで買っていきましょ!」
ミノルか未菜に手を引かれ、移動準備をしているオースティン達の昼食を買う為、ファーストフード店に向かうのであった。
「おまたせ~」
「おお、おかえり。準備は完了したぞ」
「あとは神戸に向かって飛ぶだけね」
「美菜殿ありがとうございます」
大〇区の昭〇島にあるグラウンドで、気球用のゴンドラに改造を施していた3人は、美菜の買ってきたハンバーガーとフライドポテトを食べながら出来上がったゴンドラを眺める。
オースティンの知り合いで滑降用に使われていた6人乗りのゴンドラで4人乗っても十分なスペースがあり、中には石井家回収で持ってきたアウトドアチェアが2つ並びの2列で向かい合っており、真ん中には簡易テーブルが置かれていた。
それでも中は十分な広さがあり、これなら数時間の旅も楽なのかな、と思われる。
「あのロープを角に絡めて固定して、このロープを首にかければ、頭に固定できるようになっている」
ゴンドラを見ながら図解を地面に書き、要領が分かったところで、ちょうど食事も終わる。
とりあえず周囲に〈認識阻害〉と〈隠遁〉を展開すると、実は龍化をしてその場に伏せる。
「ふわ~でっかい!そしてかっこいい!」
皆がミノルの古龍の姿に感嘆の言葉を挙げる。
「いやいや、俺よりリューのほうがでかいし、アディなんかきれいな青い身体をしているんですごいよ」
「それでも幻想世界の生き物ってのを実際に見ると興奮するわね!」
ミノルの言葉を遮るように、ヴィオラはカメラで撮影しながら鼻息を荒くしていた。
ミノルはゴンドラをつまんで、頭の上にちょこんと乗せると、ムンチャイとオースティンが手際よく角にロープを括り付けてゆく。
最後に顎を少し浮かせるとロープをくぐらせて縛り付けると、オースティンがミノルに顎の動きに支障がないか確かめてもらう。
「あー、んー。ん、大丈夫だね」
「ミノルさん。ゴスロリ帽子被ってるみたいで、なんかコワかわいい」
「なんだよそれ…」
美菜とミノルの会話に3人はくすくすと笑うと、ミノルはムズ痒い恥ずかしさを覚えるのであった。
「さて、それでは皆様。東京発の神戸経由、フィーグル行きの古龍便にお乗り願いま~す」
ミノルのおどけた声にオースティン達は笑いながらゴンドラへと乗り込む。
「とりあえず超特急で音速超えるけど、横Gとか、空気抵抗は障壁春から問題ないからね」
4人が頷くと、ミノルは立ち上がりって羽を広げる。
《飛行》を展開して地面を蹴り、羽をはばたかせると、ほんの数秒で上空500mまで上昇する。
ミノルはいつものジェット概念の魔導を展開すると、一気に加速し神戸に向けて飛び立って行くのであった。
この日、昭〇島で子供と散歩をしていた親子は、グラウンドに現れた巨大なドラゴンを携帯で動画を撮影する。
また、飛行機マニアも昭〇島から飛び立つドラゴンを撮影し、ニ〇ニ〇や、〇うつ〇にアップされると瞬く間に履歴が100万越えを突破したのは、別の話である。
◇◆
アメリカニューヨークにある国連本部―――その一角にある会議室で日本、アメリカ、EUの各国代表が集まり話を続けていた。
内容は異世界、フィーグルにあるアドラ神聖公国、サトーレ王国、ジャニス王国、ペンタハーケン帝国の天使族、人族圏においての国交についてである。
「とりあえず計画通り越界門の設置には成功いたしました。現在は我が国とアメリカとの転送門の設置が進んでおります。そしてEUはどの国に転送門の設置が決まったでしょうか?」
日本代表が話し始める。
「我が国だ」「我が国だ」「我が国だ」「我が国だ」「我が国だ」「我が国だ」「我が国だ」「我が国だ」「我が国だ」「我が国だ」「我が国だ」「我が国はどこでもいい」
「………まだ決まっていないようですね」
さすがに全員が「ぜひ!」という姿を見て、アメリカ代表は呆れ顔で答える。
よく見るとイギリスは今回の会議には出席しておらず、さすがに今回の事例でEU復帰を果たすのかと思われたが、国民投票で決まったEU離脱で今更、参加表明されても…とは思っていた。
今回、国連で行われる緊急会議ではフィーグルとの対応を話すことになっていた。
現在、各国でもその対応をどうするかと騒がれているが、事前情報で地下資源はレアアースと石油、天然ガスのエネルギー資源が手つかずで、その利権に食い込もうという思惑が見え隠れしている状態であった。
会議まであと6時間―――。
フィーグルとの交渉は越界門の開通以前から進んでいて、日本とアメリカが中心となって進んでおり、そのおこぼれをEUが頂くという構造になっていた。
そして2国から漏れるおこぼれはEUが頂いても、まだ余る状態でその参戦に各国が躍起になっているということである。
表向きは異世界について、どう扱うべきかという議論になっているが、本音は今回の情報操作において亜人種が地球へ攻めてくる。そしてその発端となる越界門によって多くの地球人類が犠牲となってしまったという議論から、報復攻撃を行うか、それとも話し合いで解決するべきかとの議論となることは必至である。
もっとも、亜人種は話し合いに応じず、問答無用で攻めてくると、これも情報操作済みで、戦争は避けられないと9割9分決まると予想されていた。
「今回の事例により、低迷していた重工業がまた息を吹き返す事が出来そうですな」
再び戦争が起きれば兵器産業にもメリットがあり、今までテストモデルしか作っていなかったものを実践投入により、完成された兵器を作ることができると、各企業はノリノリで協力してきている。
「アドラの大規模魔法陣のおかげで、長年煩わしかったあの国々もおとなしくなりそうですし…」
また、今まで問題とされていた人口問題も今回の事例で間引きに成功し、日本、アメリカ、EUは仮想敵国の弱体化に成功し、今回の大規模魔法陣の展開により多くの重要人物の抹殺にも成功していた。
アドラ公国から持ち込まれた魔法陣には"〇〇国の人間及びその人種の血を持つ者"との指定で予定していた。
それにより、他の国より多くの人民の命がなくなった国々は我先に亜人種への報復をするであろう。
そして更なる人口減により、国は弱体化、隣国や独立を願っている地域によって国土も削られ最悪、国がなくなってしまう可能性もあった。
「これで経済も回復してくれると助かるが…」
実際的には希望観測なのであろう。
人口が減ることによる大量消費はなくなっていくが、その分労働人口が減ったことにより、賃金の上昇、そして個人消費の増大を見込んでいるが、異世界との接触がごく最近となっている為、現在各国で試算及び対策の最中であった。
今回は、自分達が世界の牽引役として君臨する為の通過儀式であり、まずはスタートといったところであった。
しかしこれが地球人類、そしてフィーグルの人族にとってジョーカーを引いてしまった事に気付くのはそれから半年の事であった。
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回も楽しみにしていただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
次回は近日中に投稿します。




