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魔法の改善、色気もない朝チュン

お忙しい中、通勤中、休日真っ最中の中、クリック&タップ誠にありがとうございます


お待たせしました。短い内容ですが、本日2回目の投稿です。


拙い文章ではございますが、どうか楽しんでください。

 ボルガノの代官屋敷の一室、普段は会議室として使われていて、人数にして20名が集まる事が出来る部屋にて一枚の行使紋で書き込まれた羊皮紙の魔方陣を見てミノル達は議論していた。


「ここはこうして…いや、これだと所持者は守り切れないか……」


「〈反射〉ではなく対象の変更じゃからの、ここをこうして…こうとするのはどうじゃ?」


「対象の~変更を~ある種族へと~限定だから~これも加えないと~」


「そうじゃな。するとこの連結式は…こうじゃな」


 さらに数枚の行使紋の術式が加わり、議論が重なる。


「起動、展開タイミングも向こうの行使を感知させねばならないので、これも入れないといけませんね」


「こうなると、魔力行使が弱い人にはかなりきつくなって展開が中断してしまう恐れがありますね」


 アリステリアとディーフェリアが追加の要綱を示唆してくる。


 ◇◆

 

 ボルガノに於いての結果は、解放に成功した。

 昼前には決着し、飛行船に乗ってきたコーワン兵とドナクレア島避難民からの志願兵は、ボルガノに到着すると、事前に組織した部隊ごとに各門へと散開して、投降兵の捕縛作業に従事していった。

 城壁警備や朝礼に出られなかったアドラ兵も捕縛され、現在は逃げ出す事の無いように隷属紋を施されて、緊急措置として村一つを借り上げられたモーム村に隔離されていた。

 また、アドラ軍の正式装備をしていない一般人に紛れた間諜も、コーワン諜報部員によって次々と捕まっており、これもまたモーム村へ連れていかれる事となっていた。


 モーム村はローグイン軍によって、猫の子一匹すら逃げ出させないといった厳重な警備を施されていた。


 勇者3人はというと、勇者ミノリはリュセフィーヌによって〈復活〉で蘇生したが、1度殺された実感はなく再びセレスティアへと挑み、あっけなく縦半分に真っ二つで即死。

 続けて2度目は死んだ実感があり、膝が震えつつも果敢に挑む。

 1度目の復活で同時に蘇生し勇者ワカコの「マユは生きている」に反応はしたが、信じられず、今度はリュセフィーヌへと目標を変えて挑むが、攻撃のすべてを片手で往なされ、棍の一撃で両足が吹き飛び、心臓を手刀の一突きでえぐられて死亡。

 3度目はすでに怯えきってしまい、戦う気力もなくリュセフィーヌ達の質問に、「ヒイッ!」と短い悲鳴で後退あとずさりしつつも、質問に答えようとしたが、質問の答えが秘匿事項に触れたらしく、勇者ヒデオ達によって仕掛けられていた自爆魔法が展開して爆散。

 4度目に《再誕》が展開され着衣が乱れ、レイプ目になるミノリを見るリュセフィーヌは


「なぜか妾が、いかがわしい事したような感じの"しちゅえーしょん"を受けるのじゃが……」


 と言いつつも、無抵抗となったミノリに対して亀甲縛りをもって捕縛したのであった。


 勇者ワカコはコーワンの死にかけと、リュセフィーヌの処刑によりすっかりおとなしく、セレスティアの質問に応じていたが、これまた自爆魔法が仕掛けられていた為に爆散して《再誕》の展開によって蘇生していた。

 再び蘇ったワカコに自爆魔法が仕掛けられていたことを伝えたが、仲間を疑う行為に忌諱きい感を覚え信じなかったが、目の前でリュセフィーヌの質問に答えていたミノリが爆散し、驚愕したのち、クラスメートへの憎悪の表情と言葉の述べながら、「何でも話すし、今後の戦力として戦いたい」と言って捕縛され、連行されていった。

 今は、ローグインの尋問を受けているだろうと予測される。


 勇者ヒロシはミノルによって切り落とされた腕を〈治癒〉によって無事くっつけられており、ローグイン軍に引き渡されたが、ミノルの報告で大量虐殺を目論んでいた事を知った兵達にフルボッコにされ、6度の撲死を体験して蘇生がなされていたが、さらなる情報を搾り取ろうと、今も拷問によって数度の蘇生をされつつ、尋問を受けているという。

 一滴で蘇生が可能とされる"命の木の樹液いのちのみず"を1.5ℓペットボトルサイズを持っていたローグイン軍に何度殺されてしまうのだろうとミノルは少々気の毒に思うが、自業自得だなと締めくくるのであった。


 ◆◇


 ローグイン軍に引き継いで、その場を任せたリュセフィーヌ達は、即座に代官屋敷に集まると、飛空船に同乗してきた第1王子のバンズ・デン・エントリウスへアドラが異世界ちきゅうとの越境門建設のためにフィーグルの民を巻き込んだ大虐殺を行う計画があることを告げる。


 バンズ王子は驚き、「対応を検討しよう」と長距離通話のできる魔道具を持ち出して、ローグイン王国宮廷魔法師団長と、魔法技術武官を呼び出し、今に至る。


 実際、この魔法技術は確立されていたが、フィーグル世界の天使族、人族合わせて7億人を抜く全人口は35億人しかおらず、展開すると半分以上が犠牲となり、さらに魔法が開発された当時は20億人に満たない人口で不可能とされていた。

 さらにこの魔法は勇者の初召喚時に開発され、使用されなかったものの、改良を重ねた結果、人柱となる種族を任意で対象とすることを可能としているのが、一番厄介なところであった。 


 しかし、魔法が開発されれば対抗魔法も存在する。

 〈対消滅〉か〈キャンセル〉の魔法を直接魔方陣に打ち込めば消滅可能で、個人に向けては〈時空抵抗〉という古代魔法があり、レジストが可能であった。


 今回は、展開されるアドラ公国には”神の庇護”により外部からの魔法は一切効かないし、首都内部は人族や天使族以外は力が半減してしまうという神の加護があり、事実上不可能に近いので直接の魔方陣を消滅させる方法は却下された。

 残るは個人用の対抗魔法だが、これはまさか使うと想われなかった為に開発が進んでおらず、展開用の消費魔力も高く、持続効率もものすごく悪かったのである。


 ミノル達は、近日中に行われる魔法に対し、個人用の対抗魔法を一般レベルまで使用可能とさせる為、ボルガノ解放から2日経った今も、昼夜問わずに効率化と種族対象を天使族と人族へ反射させる魔法を組み込んで、三日以内に作り上げるを目標に目の下にクマを作ってまで挑んでいたが、すでにタイムリミットは近く9割9分の時点で行き詰ってしまった。


「くっ!時間さえあればもう少し作ることもできたのじゃが、これまでじゃ」


 リュセフィーヌの言葉を皮切りに開発はここまでとなった。

 しかし、〈抵抗〉か〈レジスト〉のスキルもしくは魔法展開可能な能力をを持ち、中の上以上の魔力持ちで展開可能としたレベルに進化させることができたのはひとえにフィーグルの民を救うという目的があってこそなのであった。


 リュセフィーヌは効率化させるために構成された27の多重展開魔法を一つに纏めた魔方陣を《創造》すると、それを羊皮紙数十枚に焼き付けると、椅子にもたれかかり、一息つくのであった。


「リュー、お疲れさま。あとはこれを関係各国へ配るだけだな」


「うむ、ミノル達も解放戦線から続けての会議じゃ、しかも先日のアドラ撤退部隊の復活と再誕の連続展開もしたのじゃろ?それこそお疲れ様じゃ」


 ミノルとアーデルハイドは会議の途中で抜け出し、コーワンからの撤退で戦死したアドラ軍の兵士を生き返らせて、コーワンへと転移させていたのであった。


「復活は死体の損傷が激しくなければ1週間以内だけど、再誕は死亡から2日以内だからね。少しでもフィーグルの民を救う為ならこれぐらいどうってことないさ」


 先日の開放に続けてアドラ兵を全て生き返らせた理由は、ジェノサイド魔法が展開された場合の、対抗魔法として作られた今の魔法の為に、対象が身近にいれば成功率が上がるという〈反射〉の魔法と似ているのではないかという理由と、ミノルに囁くセリナの助言もあってアドラ兵を生き返らせたのであった。


 生き返らせたのに、フィーグルの民の為に人柱に使うという非人道的な行為に罪悪感を覚えたが、同じ命あるものを蔑ろにするアドラの民に対して、因果応報と自分に言い聞かせるミノルであった。


「よし、明日も朝が早い。皆お疲れじゃった!明日からが本番じゃ!今日はみな休んで体力と気力を取り戻そうぞ!」


 リュセフィーヌは参加した人達を労い、解散となったのであった。


 ◇◆


 翌朝、ミノルは目を覚ますと彼を抱き枕としていたリュセフィーヌとアーデルハイドがおらず、すでに起きたと思い、ミノルもベットから起き上がって、居間へと向かう。


「ふわ~あ…おはよう」


「あ、ああ、ミノルか。おはようだ」


「ミノルちゃん~おはよう~」


 いつもながらの挨拶で、お茶を飲むリュセフィーヌとアーデルハイドは変わりがないようには見えるが、何か落ち着かない雰囲気を彼は感じていた。

 不思議に思いつつも、ミノルもお茶を飲み、朝食を食べようとしたが、スープを飲む匙の手が止まってしまっていた。

 よく見ると、同席していたセレスティアもパンを持ったまま止まってしまっており、ミノルと同じ方向を向いているのだった。


「アリステリアさんとディーフェリアさん?つかぬことを、お聞きしますが、その姿は何でございますでしょうか?」


 アリステリアとディーフェリアを凝視するミノルは、思わず変な口調で2人に質問をした。


「何でと申されましても、いつもの格好ですが?」


「………何か問題でも?」


「いや、だって、その頭から出てる角と羽は何?」


 いつものポーカーフェイスでメイドの服装をしながら、抑揚のない口調で話す2人にミノルが突っ込みを入れる。

 ハイエルフとハイダークエルフの2人は、エルフ特有のとがった長耳が消えて普通の丸い耳をしており、代わりに左右の側頭部より8本のミノル達に似たような角が生えており、背中からは2枚の羽がハタハタと動いていた。

 そして何より、ディーフェリアは白、アリステリアは黒の鱗が特徴的な尻尾が、ピタピタと床を叩いていたのだ。


「妾も驚いておる。朝起きて食堂に来てみるとの、支度をする2人が龍人の姿でいて驚いておるのじゃ」


「2人から~感じてくる~魔力波動が~古龍なの~」


「さすがに私も驚いたわ。それで2人に何処の古龍?って聞いたら”トーグレ”だって……」


「はい?」


 2人も驚いていたようだが、セレスティアの発言により、ミノルは一気に目が覚めてしまい、おかしな返事をしてしまう。


「改めまして、アリステリア・スミセ改め、魔大陸北方を領域とするニルケット・トーグレの曾孫で、アリステリア・トーグレです。コンゴトモヨロシク」


「同じくアリステリアの双子の姉でディーフェリア・スイード改め、ディーフェリア・トーグレです。今まで正体を隠しておりました。申し訳ございません。そしてこれからも、よろしくお願いいたします。」


 緊迫と気合の入った朝に発生した驚くべき内容に、挨拶の後に丁寧なお辞儀をする2人を見て、間抜けな顔をした4人がいる朝から始まったのであった。





最後までお読みいただきありがとうございました。


次回も楽しみにしていただければ幸いです。


次回は明日の午前中を予定しております。よろしくお願いいたします。

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