作戦実行、その前に・・・
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お待たせしました。短い内容ですが、本日2回目の投稿です。
拙い文章ではございますが、どうか楽しんでください。
ミノル達は、事前にもらっていた地図印がついた場所へと向かうと、視線の先に煙が上がっているのを確認する。
既に日も沈み辺りは真っ暗であるが、視線の先に街の明かりが多く、広範囲に渡って灯っており、あれがボルガノだと確認しながら、右横を飛ぶアーデルハイドに合図すると、左へ大きく旋回し飛行しながら《龍人・改》を展開し、ドラゴニュートモードになり、少し離れた数個の明かりが灯っている村の前に着地をする。
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身体構成は新しいドラゴニュートモードが加わってしまい、魔法ではなく魔道として確立する必要ができてしまった。
今まで使用されていた基本式の身体構成の魔法よりも複雑化してしまった事と、古龍、ドラゴニュート、竜人、人種モドキの4つのモードに切り替える時に基本式が魔道になってしまった為、この時はこれ、あの時はあれと展開すると、魔力行使の効率が悪くなってしまう弊害が発生してしまった事もあり、リュセフィーヌが新しく創り上げてくれていた。
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「モーム村へようこそ」
村の入り口を守る雇われ冒険者へ、この為に急遽作ってもらった冒険者ギルドのタグを見せると、ミノル達に歓迎の挨拶をして村へと通す。
モーム村は魔獣の森とダンジョンへ来た冒険者の長期滞在用にできた村で、小さなコテージが数百と建ち並ぶいわゆる大規模キャンプ場となっており、軍事拠点としては歩いて1時間のボルガノに置いたほうが利便性もあり、アドラ軍からある程度の監視はされているが、あまり重要視されていなかった。
多方面にわたり戦火を広げたアドラ軍には広範囲に渡っての警戒をする人員もなく、ボルガノに注力するしかなく、モーム村は今回の作戦の一時的な宿泊場所として格好の場所であった。
実際それを懸念していた遠征軍司令が戦力強化のため、ミノル達に拿捕された援軍を要求していたが、それも失敗に終わってしまったのは、運がないとしか言えなかったのである。
いつもは夕食の時間で今日の獲物はどうだったとか、攻略階層はどうとかと酒を飲みながら騒ぐ冒険者と、それを買い付けに来た商人などで活気に溢れているモーム村は、アドラ公国の起こした戦争でコテージにもちらほらと空き部屋がみられていて、村そのものが寂しさを漂わせていた。
「ミノルちゃん~こっち~」
アーデルハイドはリュセフィーヌの気配を辿り、迷うことなく歩を進めており、ミノルはその後ろをついていくと複数の冒険者パーティー用、つまりクラン用に大きめに作られたコテージへと辿り着くと、そこには夕食の準備をするリュセフィーヌやアリステリアとディーフェリアがいて、ミノルに気づくと手を振って呼び寄せるのであった。
「お疲れじゃの。もうすぐ用意ができるのでの。もうちょっと待ってくれ」
「……リューの炊飯姿、初めて見た」
鼻歌を歌いながら鍋をかき混ぜるリュセフィーヌを見るや、ミノルは呟いてしまう。
「な!妾とて食事くらい作れるわ。蝶よ花よと育ったわけではないぞ?ふふん、食べて驚くでないぞ?」
「リューの作るご飯はおいしいのよ?古龍だからあまり作らせてもらえないけど、本当の趣味は料理作りなんだから」
「こらセレス!それを言うてはならんぞ!恥ずかしいではないか!」
ミノルの言葉に抗議するリュセフィーヌをフォローするかのようにセレスティアが言うと、照れ隠しをするように彼女にミノルはドラゴニュートじゃなかったら顔が赤いんだろうなと思うのであったが、それよりもセレスティアの姿に視線を持っていかれていた。
「セレスティアさんなの?その姿は……」
セレスティアの姿は、いつもの人に尻尾と耳がある姿ではなく、人狼と言うのが正しい狼が人の姿をした姿で、真っ白な毛並みにいつもよりふさふさの尻尾でドラゴニュートのミノル達と同じ位の2mの背丈、スカートは履いていないが、女性を思わせる暖色系の動きやすそうな服を着ていた。
「ふふふ。びっくりした?リューがね?ミノルさんが開発した魔道式を私用に改造してくれたんで使ってみたの。最もこれがなきゃ使えないけどね」
ミノルの問いにくるりと1回転しながら、セレスティアの現在の姿を見せた後、左手に光る腕輪を見せながら問いに答えるのだった。
「ん~~~?もしかして~《魔道昇華》と~《魔素変換》~?」
「リューが魔導式と併せて作ってくれたのよ。まあ、大量の魔素と魔道に耐えられる体を持っていないと使えないですけどね」
「でも~、アーティファクト級よね~?これって~1国の~年間予算並みの~値段するよ~?」
アーデルハイドがセレスティアの腕輪を見ながら鑑定をしながらはなすと、セレスティアは乾いた笑いをするだけで答える事はなかった。
「さあ、話はそれまでじゃ。料理が出来たの。皆食事をするとしようではないか。ミノル、そこの窯に入ってるパンを持ってきておくれ」
リュセフィーヌは鍋を持ちながらコテージへと行くと、ミノルも籠にパンを映して移動するのであった。
「ホントだ、おいしいね」
まだ春先で夜も寒いということで、シチューが作られていて肉と野菜がゴロゴロと入って豪快かと思いきや、デミグラスのようなスープがとてもよくあって、ミノルは思わずお代わりをしてしまう。
パンも地球でよく見るナンに似ており、シチューにつけながら食べるとちょうどよかった。
食事も終わり、リュセフィーヌたちが集めた情報を基に、地図へと兵の配置や住民を巻き込まない為の位置などを書き込みながら、明日の作戦について話していく。
ミノルは町の東側にある宿泊エリアを担当し、敵兵の制圧を図る事となり、西側の武器や防具などの職人買いはアーデルハイドが担当。
南側の歓楽街はアリステリアとディーフェリア率いる諜報部隊が、現地に潜り込んでいるゲリラ部隊と合流して制圧する。
最後に北側の政務エリアはリュセフィーヌとセレスティアが制圧する事となった。
後日本格的な制圧するための軍が追い付いて来るので、部隊長クラスなどの命令系統を殲滅し、そのまま
平の兵士へ投降を呼びかけて、従わなかった場合は容赦しない事とした。
「まあ、おおざっぱではあるの。じゃが、命令を下すものさえいなければ、後は有象無象な者ばかりじゃ。勇者以外は気負うことはあるまいて」
「こないだみたいな転送にも気を付けないとな」
リュセフィーヌの言葉にミノルが自身への戒めも込めて追加して話す。
「作戦は明日の日の出と共に実行じゃ。軍隊が朝の点呼を行う為に広場などに集まるそうじゃ」
アリステリアとディーフェリアが潜入中のゲリラ兵から聞いており、晴れた日の朝はそうやって点呼をするという。
ちなみに明日は十中八九晴れると、地元の農家からも情報を入手しているのであった。
「よし!それでは解散して各々明日に備えて準備するのじゃ」
食器を片付けて、各部屋へと移動する皆を見ながら食堂ではリュセフィーヌとアーデルハイド、セレスティアがワインを飲みながら一息ついていた。
「この作戦さえ終われば、魔大陸は解放される。負けることはないが気をつけねばの」
リュセフィーヌの呟きに2人も同意するのであった。
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回も楽しみにしていただければ幸いです。
次回更新は明日になります。よろしくお願いいたします。