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使徒 矢野英二

おお忙しい中、通勤中、休日真っ最中の中、クリック&タップ誠にありがとうございます


仕事が忙しくなってしまい土日関係なく働いております。

更新できず誠に申し訳ございませんでした。


拙い文章ではございますが、どうか楽しんでください。

「ヤーノ!そろそろこのアジトを引き払わねばならなくなりそうだ。アドラ軍の諜報部隊がこのあたりを頻繁にうろついてきやがった。」


 継ぎ接ぎだらけの汚れた衣装を着込んで、ホームレスに扮した警戒班のコボルド種の男性が、ヤーノに報告を上げてきた。

 

「ありがとう。意外に見つかるのが早かったね。仕方がない、大事な作戦の前に潰されては叶わないからね。みんな、重要書類以外はすべて破棄、2時間以内に準備して深夜の闇に紛れて街外れの森のアジトに移動をする」


「「了解!」」


 獣人、魔人、モンスター種の面々はヤーノの支持を受け素早く準備に取り掛かる。

 ヤーノは半年前、人種の商隊に紛れて魔大陸に上陸し、この魔大陸の玄関口であるローグイン国の港町コーワンに入り込むことに成功した。



   ―――――――――――


 元々魔大陸は北側のシバレヤ氷河地帯と南側のスコーウ森林を古龍の領域に挟まれた大陸で、中央は魔族の支配する帝国が存在する大陸となっている。帝国は18の種族が王となり国を支え、肥沃で広大な平地を利用した農業・林業・水産業に特化した国で特に農業技術は魔道具や魔法を駆使して地球の農業技術をはるかに凌駕した産業として食料自給率は1800%と恐ろしい数値を弾き出している。


 地球のファンタジー世界でいえば魔族は、野蛮で争いを好み、狡猾で謀略や奸計で人々を貶める存在とされているが、フィーグルではまったく当てはまらず、デーモン種やヴァンパイア種も血を啜り肉を食らうといっても、森の間引きで得た魔獣の肉のステーキが好きなくらいで、血で塗れた手などでもなく土にまみれた手が好ましく麦わら帽子に野良着に長くつと、想像するとおよそ似つかわしくない滑稽な格好と想像してしまうが、彼らにとっては最も美しいとされるくらいである。


 当然、自衛の為ならば剣を取り、鎧を着て戦に臨むが、剣よりも鍬や鉈、人を斬り殺すよりも斧を手に取って木を切っている方がまし、等と生活に密着した産業が好きな、実に平和的な種族達であった。


 その中でローグイン国は水産業と製塩業が盛んで、この国が産する水産加工物は非常に有名で魔大陸のみならず、他の大陸にも名前が轟くほど有名である。

 ローグイン国の王であるシュリカ・ローグインは見た目は地球でいうバフォメットのような姿ではあるが、クサヤにコメで出来た酒と沢庵、お茶菓子にはヨモギ団子が大好きと非常に温厚な平和と民を愛する賢王であった。


 そしてアドラ神聖公国に魔大陸では一番近い地形と、戦争に必要な塩が産出され、古龍の領域でもないこの国が、一番最初に狙われるのは自明の理であり、他国からの玄関口である港街であるコーワンはドナクレア島効力を成し遂げたアドラは攻勢を強め、2年前にとうとう占領されてしまっていた。


   ――――――――――


 

 半年前に潜入に成功したヤーノは、命からがら落延びていたコーワンの領主で狼人種のタネコマ氏と次女で第1夫人であるカーラと再会し、領地奪還の為に抵抗を続けているゲリラ部隊と合流して今なお戦い続けていた。

 ヤーノは地球へ送還されてからもフィーグルへの帰還を模索し続けながら、兵法や戦術を一生懸命に学び、自身もあらゆる武術の道場に通って研鑽に努めており、今回のミノルとの出会いで願っていた帰還が果たされコーワンへと里帰りを果たすと、地球で得た知識を駆使して魔大陸へと攻め入っていた勇者"小田みのり"と"葉月真由"を圧倒。

 ローグイン王国の支援もあり、4つの村と3つの街を解放していたが、残り一つの領都コーワンの奪還まで行っていた所で、劣勢となったアドラ上層部が勇者が3人とアドラ兵を追加してきた為、現在は劣勢となってしまっていた。

 そして春となり、さらに追加の軍隊が追加という情報を得たヤーノは、再びやってくる追加の艦隊の前に戦力を削ぐ作戦を決行しようと領都コーワンに潜り込んでいたのだった。


「撤退準備完了しました」


 全員の撤退準備も済み、残りの書類などに〈腐食〉を展開して自分達の居た形跡をなくすると、ヤーノとゲリラ部隊は移動を開始する。

 斥候のコボルド種を警戒に当たらせながら 慎重に移動しながらなんとか街外れの森の中にある洞窟に作られた秘密のアジトに到着し、部隊は一息つきながら互いの確認と周囲の警戒をしていく。


「旦那様、おかえりなさい。ご無事で何よりです。ですが明後日の作戦に間に合うのでしょうか?」


 秘密のアジトで出迎えてくれたのはゲリラ部隊の司令であり、ヤーノの妻カーラであった。


「ただいま。確かに街中のアジトを撤退したのは少々痛いところだな。明日の入港に警戒を厳しくしていると予想されるね。明後日にはローグインの軍隊が領都へと軍を進めてくれる事になっているから、少しでも内部から切り崩したかったけど厄介になってきたね」


 ヤーノは渋い顔をしながら彼女へ返答をする。

 アドラ軍は1万2千人に対してローグイン軍は6千と数的には不利であり、近代兵器を装備するアドラ軍に少しばかり不利な状況ではあった。ミノルとヤーノの考えた火縄対策の戦術は攻城対策としていささか不安材料が大きく、城壁の内側から切り崩す必要があった。

 

 情報によれば、明日の夕刻には追加兵が入港する為、敵軍の受け入れ態勢の忙しさに乗じて決行しようと計画しローグイン軍もこちらへ向かい進行しているはずであった。

 当然その進行を悟られないように、敵斥候をことごとくゲリラ部隊で駆逐していたし、駐留軍を拡散させる為に小規模の抵抗をアドラが占領している村や街で行っていたりもしていた。


「いっそのこと"ばくだん"ってのを使っちゃえばいいんじゃない?」


「そーそー。あいつらみたいに、どがーん!と、ぼがーん!とやっちゃえばいいじゃん」


 第3夫人である猫人種のアリサと第4夫人の犬人種のジュリアが進言してくる。


「アリサ、ジュリア。前にも言った通りだけど、僕の事をここまで導いてくれたリュセフィーヌさんとミノルさんに約束したんだ。近代兵器は使わないと。火薬などの近代兵器を使わない"フィーグルに存在する物を流用する範囲内で納めてほしい"と言われているんだ」


「そうですね。安易且つ大量に殺生できる代物は世の乱れを生みやすく、瘴気が増え続ける可能性がありますからね」


 ヤーノの言葉に第2夫人の皇族でサキュバス種のシャルロッテがフォローを入れてきた。

 アリサとジュリアは頬を膨らませながら「なんでよー」と抗議をしてきたが、カーラが2人を宥めていた。

 ヘティスハークに居た時に、魔獣の強力化やモンスター種が堕ちて森の生息数が増えていることに気づいており、これは近代兵器の導入による弊害が発生しているのではとヤーノは推測していたのだ。

 ミノルが瘴気落ちを知ることとなり、同じ考えに至るとメーフェ経由で可能性の一つである近代兵器の使用をやめさせるようにしようと言って来た事も理由の一つとして入っているのだった。


「とにかく、明日は僕が勇者達を挑発して引き離しておくから、軍港の一部の破壊を決行して敵兵を軍港に集めさせて、少しでも明後日の作戦をスムーズに実行できるように努めよう。それじゃあみんな、夜が明けるまで解散。少しの時間しかないが、体を休めてくれ」


 ヤーノの号令で集まていた部隊長クラスの面々は作戦に備えて各々の舞台へと戻っていくのだった。

 秘密のアジトでは明日の作戦を前に食事をしたり、仮眠をとる者も居たりとごくわずかな平穏を享受する中、一人の鼠人種がアジトを抜け出し領都へと向かっていくのだった。


 森を抜けて1時間、コーワンの北門の通用口を叩く鼠人種に門番が気づき中へと入れていく。

 鼠人種と門番の一人は衛兵所へと入っていき、中にいたアドラ軍の衛士長の部屋をノックをすると「入れ」と言葉があり、2人は入ると衛士長らしき人種が傍らに立っており、椅子には装飾が施された高価な鎧をまとった人種が座っており、鼠人種は話を始める。


「む?貴様か。何か情報を持って来たんだろうな?」


「へい。将軍様もお元気そうで何よりです。早速ですが、ゲリラ軍は明日に入港する船の妨害を実行する予定です。実行は昼前で特攻隊長が勇者様を引き付けているうちに、軍港の一部を破壊する予定です。」


「ほう、確かに現在は領内と城壁に警戒を割いていて、領都の奥に位置する軍港は手薄になっているな。よく教えてくれたな。それでは約束通りゲリラ部隊殲滅が出来次第、貴様の望みであるコーワンの領主権を認めさせるよう上層部へ進言しよう」


「へへへ。ありがとうございます。これ以上アジトを離れると怪しまれますんで、これにて失礼します」


 鼠人種は将軍から金貨の入った袋を受け取ると、下卑た笑いを浮かべながら部屋を出ていくのだった。

 

「将軍。よろしいのですか?あのような下賤な獣人を領主に据えようだなんて」


 衛兵長は鼠人族の出て行った入り口を見ながら、将軍に尋ねる。


「ふふふ。貴様は知らんだろうが、元々あ奴らゲ氏族はここの領主だったのだぞ?」


「あの者が?」


 将軍はうなづくのであった。


「本来ならば、アジトの本拠地にも侵攻したいが、あの鼠人族には記憶のプロテクトがかけられていてな。本拠地を話そうとすれば、やつ自身が消滅するようになっておる。有用な情報をもたらす間諜を失う訳にもいかなくてそのままなのだよ」


 そういいながら将軍はワインを飲むのであった。

 

 鼠人種の男は重たい金貨の袋を持ちながら、領都内の隠れ家へと向かっていた。

 本来、コーワンは鼠人族の長であるゲ氏族が納める領地であった。

 しかし、アドラ神聖公国の領土拡大計画が始まった頃、アドラの使節の侵攻が成功すればローグインの王とさせてやるとの甘言に惑わされてローグイン王国を裏切りアドラ神聖公国の第1次遠征軍の侵攻を手助けした事に始まるが、ローグイン軍の兵力に圧倒されて敗走。

 のちに、ゲ氏族の裏切りがばれて領主1人の処刑のみで、一族全員の処刑は免れる事に成功したが領主の座と、氏族の権限を剥奪されて貴族位から小作農まで格下げとなっていた。


 一度は栄華を誇った鼠人族は隷従の懲役刑を食らい、プライドをいたく傷つけられた領主の息子は、ローグイン王国を逆恨みするようになってしまっていた。

 そして10年前に懲役刑も終わり、隷属の契約紋も消えた息子は再び領主の座へと返り咲く事を強く望み、再びアドラ神聖公国の間諜として暗躍していた。

 しかし、半年前にあと1歩の所で、領主の娘と結婚しており、行方不明となっていた異世界の勇者が帰還してきた。

 

 すると瞬く間に息を吹き返した時には絶望したものだが、情報を流し勇者の増員も得られてゲリラ部隊の弱体化に成功しつつあり、明日のゲリラ殲滅さえ済めば、領主の座へとのぼり詰めることが出来そうになった事で足取りは軽くなっていた。


 ゲ氏族の息子は隠れ家に袋を隠すと、再び秘密のアジトへと鼻歌をしながら戻っていくのであった。

 


最後までお読みいただきありがとうございました。


次回も楽しみにしていただければ幸いです。


更新は休みも取れましたので本日もう1話を予定しております。

よろしくお願いいたします。

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