新しい姿
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遅れて申し訳ございません。
拙い文章ではございますが、どうか楽しんでください。
「ふむ、飛んでいくよりは遅いのじゃが、飛空船もなかなか快適じゃの」
「そうそう~こうやって~お酒飲みながら~向かうのも~乙なものなのよ~」
「……ちょっと恥ずかしいですけど、なかなか快適ではありますね」
「ミノルさん。ここもオイル塗ってください」
「あ、そこの兵士さん。私達ににワインの追加を持ってきてください」
アリステリアの一言に兵士の一人は駆け足で倉庫に向かうのであった。
5人娘はそれぞれに飛空船での船旅を満喫しており、今日も甲板に出てビーチチェアにもたれながら日光浴を楽しんでいる中、ミノルはディーフェリアにサンオイルを塗りながら、なぜ軍艦でこのような事になってしまったかを疑問に思っているのだった。
「あの、皆さん?600人もいる男所帯の中で、そのような格好でのバカンスはいかがなものかと――」
「何を言っておるのじゃ?妾達に手を出そうものなら命がないというのに、そんな輩が居るわけなかろう?」
「でも恥ずかしいと言えば、恥ずかしいですけどね」
ミノルの言葉に命知らずなどいないと答えるリュセフィーヌにミノルの言葉にフォローを入れるセレスティアは説得力に欠ける水着姿でビーチチェアに寝転がって居るのだった。
――――――――――
時は3日ほど遡り、アドラ軍の軍港および関連設備を全壊させて魔大陸へと飛び去った一行は、休憩場所である無人島へもう少しというところで、前方を飛行する3隻の飛空船を発見。
ミノル達が船に近づくなり飛空船より魔法と大砲による攻撃を受け、撃墜しようとしたが乗組員の中には敗戦国からの戦奴である可能性があった為、3手に分かれての乗っ取り作戦へと変更した結果、見事にビンゴ。
戦奴の中にはフェリエ王国や、ドナクレア島からの略奪品とされた者達が乗船しており、犯罪奴隷を残し全員を奴隷紋を解除すると瞬く間に占拠。
逆に正規のアドラ軍兵は奴隷紋をミノル達に施されて飛行船は鹵獲品としてそのままローグインへと向かう事となったのであった。
ちなみに、犯罪奴隷と普通奴隷の区別は行使紋が違っており、契約奴隷や占領地奴隷には刻めない〈絶対服従〉と〈刑罰〉が刻まれているということをミノルはリュセフィーヌからレクチャーをされているのだった。
――――――――――
「リュセフィーヌ様。もう間もなく魔大陸が見えてまいります。半日ほどでローグインへ到着予定です」
ドナクレア島出身の竜人種の男性が報告してきた。
「うむ、ヌシ達はそのままローグインの王都へ直行せよ。妾達は港町の解放に移るとしようかの。セレスとアリス、リアはこの船の指揮を頼むの」
「「「了解」」」
リュセフィーヌはそれぞれに指示を出し、5人は「準備じゃ」とシャワーを浴びに向かうのだった。
「ノベルさん。リューって昔からああだったのかな?」
「さて、私は直接話をしたことはありませんでしたが、もっと周りを近づかせぬ雰囲気を持っていたと記憶しております。今は、丸くなられた様子で驚いているところです」
ミノルは竜人種のノベルと名乗る男性にドナクレア島時代のリュセフィーヌを聞いて、「そうか」と答えるのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
ノベルという竜人と話しながらも俺は感じていた。
―あの先で、勇者の反応が2人とヤーノの存在を感じる―
リュー達は今、シャワーを浴びている。
いついかなる時でも女と云うものは、きれいな状態で戦地に赴くべきと――それが女としての矜持であると言っていた。
「さて、俺も準備はしておこうかな。セリナ、あの魔導式のフォローお願いできるかな?」
『はい、ミノルさんの記憶を共有しているだけあって、イメージと魔導式の構成がうまくいきました。ですがそれによる弊害も発生してしまいました。』
「弊害?」
俺はセリナの言葉に耳(?)を傾ける。そういえば"魔導"式と言ってたな。身体構成と何かの掛け合わせで済むものじゃないかと思っていたが、どうやら展開用の式が複雑化してしまったのかと推察していた。
『はい、古龍としての能力を今まで以上に引継がせなければならなくなってしまった事が主な原因とされますが、あとはアドラ神聖公国の"神々の刻印"内でも古龍の能力が行使できるように作り上げた為、魔導式になってしまいました』
「なるほどね。了解した」
龍人モードでは本来の1/300程度の能力しか発揮できない為、何とかならないかと思っていてリュー達に能力の増大を相談していた。
返って来た返答は昔から同じことが研究されて来ていたが、サイズ変更する程度位の研究結果しか出ておらず、龍人モードでもそれなりに力があった為研究は停滞しているとの事で、もし研究を進めるならばゼロからやり直しをしなければならない事と、今の俺には古龍としての"格"が低くノービス程度の魔導しか研究出来ないと言う事だった。
――――――――――
少しだけ時は遡る
ミノル達は軍港の破壊に成功し、アドラ兵達に見せつけるように魔大陸へ進路をとって飛行していた。
「リュー、言われていた魔力結晶抜き取ってきたよ。…それにしてもでかいなこれ」
「私も~取ってきた~」
「うむ、アディよ結晶を4つばかり妾に寄越すのじゃ。…ふむ、天災級の結晶じゃの。まあ、それ位はないと長い航路は動力源として持たんじゃろうしの」
リュセフィーヌは直径2~3mは軽くある魔力結晶を手に取りながら説明を始めた。
滑らかな丸い球体に加工されているが、本来は楕円の形で少し歪になっているのだが、魔道具などの動力として使う場合、そのままでは放出する魔力に箇所によっては偏りが出てしまう為、効率的に魔力を採取できないので、満遍なく放出できるように加工、本来の6~7割程度の大きさまで削る必要がある。
「この大きさじゃと上位の災害級位じゃが、加工前はそれより一回りはでかいはずじゃからの。加工を考えるとそうなるのじゃ」
「さらに加えると~魔獣から~取り出された直後は~魔力石なので~魔力結晶に~加工もするから~本来の大きさは~倍の大きさになるのよ~」
アーデルハイドが追加してくると、魔力石は魔力を凝縮させているだけで、一度使うとただの水晶のような石になってしまい、呪いや魔術の展開用媒体にしかならないという。なので繰り返し使えるように、特別な魔力窯で加工を施すと半分のの大きさになるとアーデルハイドは説明した。
「なるほどなあ。…んで?これをどうするのかな?リューは魔道具の作成にでも使いたいのかな?」
リュセフィーヌは"魔"の司を所持しており、錬金術が使えることを知っているミノルは作成に使うのかと予測していた。
実際、セレスティアやアリステリア、ディーフェリアにもアミュレットや武具への錬金加工をしており、聖剣クラスを凌駕する武具と化していた。
「いや違うぞ?これをな、こうするのじゃ」
リュセフィーヌはそう言いながら、魔力結晶を口に放り込みポリポリと音を立てて食べてしまった。
「んぐんぐ…んく。うむ!美味いのじゃ。ほれ、16個残っているじゃろ?初めは5個づつで良かろうの。それを食べるのじゃ。6個は残しておくのじゃぞ?説明はあとじゃ」
「「魔力結晶を…食ってる…」」
ミノルとアーデルハイドが口に手を当てながらつぶやいていた。
リュセフィーヌはミノルとアーデルハイドに魔力結晶を食べるよう促し、魔力結晶を食べる彼女に驚きながらもミノルとアーデルハイドが魔力結晶を一つだけ口に放り入れて咀嚼をする。
「んくんく……ん~!!おいしいよ~?なんで~?」
ミノルも目を見開きアーデルハイドのように驚きながらも、次々と魔力結晶を食べて行き、すべてを食べ終わり、満足したかのようにホッと一息ついたのだった。
「…なんでだ?ほんのり甘くて、上品な砂糖菓子を食べているような感覚で、五臓六腑に染み渡るというか…」
「もしかして~龍族が~魔獣を~食らう理由って~これの事なの~?」
「そうじゃ」
ミノルがぺろりと口を舐めながら感想を述べるが、古龍の姿なので何気に獰猛な仕草に見えてしまう。
続いてアーデルハイドが何かに気づいたようにリュセフィーヌに質問を投げると、肯定の返事が返ってくるのだった。
リュセフィーヌの説明は続く、龍族には腹ごしらえの意味もあるが、魔獣の体内にある魔力石を好んで食べる。
年月と研鑽を重ねても同様で、魔力石は自身に取り込むことによって、より強い個体へと進化し続ける事が可能であり、種族最高位の神種へと魔獣達も理性はないが本能で目指しているという。
そして魔獣などの生き物から得られる魔力石もしくは魔力結晶を食らうと、年月と研鑽を重ねるよりも一段飛びで格を上げる事が出来る。
しかも魔力結晶は魔力石よりも効能が高いとリュセフィーヌは説明をするのだった。
「もちろん人種も魔力石を持っておるし、魔獣が街を襲うのはそこに魔力結晶がたくさん使われているからの。神災級以下は喉から手が出るほどのごちそうがあるわけじゃ」
「そうなのね~それで力が~漲って来るのがその訳なのね~」
「そうなのじゃ。妾も古龍の上の下といったところじゃからの。魔力結晶は欲しかったのじゃ。ミノルはようやく"あまちゅあ"になった所かの?そしてアディは中の上といった所じゃ」
「それじゃあ、俺は少しくらいの魔導研究に頭を突っ込む事が出来るのかな?」
「うむ、中級の入り口位であれば出来るの。その証拠にミノルの体の文様が区規則な文様から少しばかりハッキリしておるじゃろ?」
リュセフィーヌの言葉にミノルは自身の体を見ると確かに不規則な黒の稲妻のような模様から細い木の根っこのような模様が消えて、太くハッキリとした稲妻に変化していた。
ミノルは「よし!」と短く言葉を発しながら魔大陸を目指すのだった。
ちなみに格とは――――
フィーグルの民の各種族が持つ能力の事であり、ある程度の強さになるとそれ以上強くなることができなくなってしまい、格を上げる事によりさらに身体能力や魔素などのコントロール能力が上がったり増えたりすることである。
人種や天使族も持ち合わせているが、格を上げるには苛烈とも云うべき研鑽と長い時間が必要な為、フィーグルの民よりも寿命が短い人種には一番寿命が短いとされる獣人達の450~500年には遠く及ばない。
そこで女神達は"格"を基にしたステータスシステムを作り出し、経験値という形で短期間で安易にレベルやスキルレベルを上昇させる事が出来るものを作り出して、自分達を信仰する者達のみに祝福という形でシステムを使用させることに成功する。
これが瞬く間に広がり、アドラ聖教と女神は強大な力を得ることになったのである。
――――――――――
「いやはや、魔力結晶の件がなければ作る事すら出来なかったな」
『すいません。私の休眠中に姉様が教えてくださっていた物と思っていました』
リューから聞いて知ったのだが、古龍同士で研究をする場合はイメージだけ伝えて作って貰う事は出来ず、基本となる式を作ってからそれを持ち込んで「こういうのにして作りたい」と他者へ持ち掛けないと話が進まないそうだ。
俺自身の格も上がったことだし、セリナと相談しながらおおよその魔導式が出来たので、一昨日にリュー達に持ち込み相談すると、あっという間に出来上がってしまって少しばかり拍子抜けしたのも今にして思えば笑える話であった。
「それじゃあ、魔導展開しましょうか!」
そう言いながら、魔導式を展開する。
『はい!……ミノルさんからの魔導式を確認。これより補助魔導を展開、起動します。………魔導式安定、それでは展開します。魔導式名起動』
俺の体が淡い光に包まれながら変化していくのを感じる。
目線がノベルさんを見上げていた状態から同じ高さの目線へと変化したので、多分2mちょいと云ったところであろう。
そして光が収まるのを待って自分の手を見てみると、ドラゴンのような鋭い爪と鱗だらけの腕に龍化した時の銀色の鱗に黒く稲妻のような模様をしていて、指は無骨な太い指ではなく、人の手を思わせる形へと変化していた。
「ミノル様。鏡を展開しました。どうぞ―――」
ノベル氏が水鏡を展開してくれた事に感謝しながら、上から下までじっくりと見た後、横姿や後姿をして確認をし、背が高くなったことに少しばかり嬉しさを感じたのだった。
竜人は人の姿に少々の鱗、羽と尻尾に縦長の瞳と角の龍4:人6の人種寄りの姿と、龍が猫背になった2足歩行になった感じで逞しい体に腹の出ていない胴長短足のズングリムックリといった感じの龍7:人3といった龍寄りの2種類が存在する。
生まれ方は胎生で後者の姿で生まれてくるが、戦闘スタイルで〈身体構成〉をするという。
基本、竜人族は魔法剣士なのだが、魔道とスピード重視が前者で、防御を得意とした重装歩兵寄りのパワー重視型が後者となるとノベル氏は言っていた。
そして俺はというと、筋肉はしっかりとついていて、背筋がピンと伸びて足は長く腰も括れがあるが、龍としての姿は保持している龍6:人4といった所であった。
もともとドラゴニュートという言葉も種族もフィーグルにはなく、地球の言葉を仮で付けた為、これについてはみんなと相談しようと思っていた。
ノベル氏に感謝しながら、水鏡を解除してもらい俺はそのまま小さな時の服が破け放題となってしまった為、急いで船室へと急ぐのだった。
「うまくいったよ。助かった、セリナありがとう」
『いえ、これもミノルさんが私に余っていた命の雫を分けて戴いた結果ですから。一部ではありますが龍の姿を取り戻せた事もあります。逆にこちらこそ感謝したい所です』
セリナに感謝しつつ船室へと戻り魔法袋から今までの服数着と魔鉄鋼の鎧を取り出し、《創造》を展開して自分に合うように作り直していった。
そして着替える時になって気づくのだった。
「なぜだ!せっかく大きくなったというのに!肝心なモノがないぞ!どこ行った?」
おなじみの股間にあるものがすっきりと消え去っており、何もない状態に俺は驚愕していたがよくよく考えてみると龍化した時もなかったのを思い出し、せっかく大きくなったのに久しぶりの大人の息子を見たかったのだが、残念に思うのだった。
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