同盟完了そして・・・
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すいません。とあるメール数件にヘコんでいました。
もう大丈夫です。ご心配お掛けしました。
拙い文章ではございますが、どうか楽しんでください。
季節は春―――といってもフィーグルの春は暦上での立春はなく、雪解けが始まり地面が見え始めた頃が春と言う。
ヘティスハークとフェリエを結ぶリアル〇もフレ街道は風魔法を応用した〈除雪〉が可能であり、街道はさながらミノルが日本にいた時の雪国で見られる数メートルの壁の迫力がある春の街道を思わせる雰囲気であった。
そしていよいよ、長年停滞していたヘティスハークとフェリエの軍事同盟の調印式が行われようとしていた。
会場はフェリエ共和国改め、フェリエ王国の議会場が会場となっていた。
フェリエ王国は王国と名前が変更にはなっているが、各種族の氏族及び種族長が貴族となって共和国だった時と同じ議会での承認なしでは、ほとんどの内政事情は決めることが不可欠となっていて、今までとほぼ変わりがないという。
しかし、有事や外交、まとまらない時などは国王であるフェンリル種代表が決定させるという、半分共和制を取りながら、半分は君主制と意外と面白そうな国の運営方法であるとミノルは見ていた。
だが、これは個人の利益重視を良しとせず、互いの補い合いながら仲良くいきましょうという国民感情を持つフェリエの民だからこそ出来る政治方法だとも思っていた。
そして初代国王となったのが、パディ・フェリエとなり、補佐役として先々代共和国代表レスタさんが就任する事となった。
「フェリエ王国樹立とパディ国王の就任おめでとうございます」
「ありがとうございます。ヘティスハーク国王陛下。国も私も出来上がったばかりです。いろいろとご教授願う時もありますが、よろしくお願いいたします」
調印式の前にして議会場で握手を交わす両国の国王とそれを温かい目で見るリュセフィーヌ。
意外にもこのフィーグル世界には、テレビが存在しており勇者が伝えたのであろうとミノルは推察。放送の仕組みはほとんど地球にいる時と変わらないが、一家に1個水晶のような魔道具があり、空中に平面の画面を浮かび上がらせる仕組みになっていた。
そして今も各家庭などで、調印式の様子を生中継で放送されていた。
「ふむ、同盟が組まれた事でこの大陸北部にはアドラは攻めにくくなることじゃろうの」
「そうだな、あとは人族のふるいがけくらいかな?」
リュセフィーヌは調印の様子を見ながら呟くと、ミノルはついこの間決まった人族などのアドラ撤退の事について言及した。
実際には、アドラ公国寄りの人族や天使族、ドワーフ族の西エリア住民を一人一人の調査を開始している。
その理由は、フェリエ王国が最初に手掛けた政策で、ただ西エリアに住んでいたと言うだけで国外に追放はやはり乱暴すぎる。
人族や天使族の中にもフィーグルの民との確執もなく、手と手を取ってお互いに仲良く暮らしましょうと言う人達や、もともとアドラ聖教が大嫌いという人達もいた。
すでに越冬用で開放していた街には解放時から公国派と融和派に真っ二つに分かれており、喧嘩が絶えずに駐留していた衛兵が苦労したという経緯もあった。
既に公国派は雪解けを待って公国へと退去を始めていたが、融和派は居住の継続を願っており、監視付ではあるが居住を許されていた。
首都への居住は、間諜や草などの危険性等、厳重な審査を実施後、徐々にではあるが戻ってきていた。
「審査が厳しくとも住みたいという人族がいるというのは妾も驚いたがの」
初年度から10年間の居住制限があり、毎年の実態調査や、家族の増減報告、収入の確保はもちろんの事軽度の犯罪でも即退去させられるという、数十項目に渡る厳しい制限がつけられているが、、それが経過すれば制限が撤廃されて正式な市民となる事が出来るという。
これは今回の内乱に関わらなくとも、内乱を起こしてしまった連帯責任と言う事で二度と起こさない為の予防策でもあった。
そしてこれには副次的な効果があり、調査にあたる人員の確保と言う事で、出戻りの人族たちも仕事に就く事も出来るし、治安の維持にも繋がるといった効果もあった。
出戻りの人族等への差別が心配しされてもいたが、もともと住んでいた住人達は「よく帰ってきた」と諸手を挙げて歓迎もしたし、逆に差別的な事をするとみんなからフルボッコにされると言う”種族融和”をモットーとするフィーグルの民ならではというところもあった。
「まあ、フェリエ王国がすることじゃ、妾はもとから部外者じゃからの、政治には何も言えんの」
リュセフィーヌは腕を組みながら口をへの字に曲げながら再び呟いていた。
「まあまあ~私達は~あくまで~お手伝いだったし~平和になったから~良いんじゃないの~?」
アーデルハイドの一言に「じゃの」と返事をして、そのまま調印式の様子を見ているのであった。
そして調印式も大詰めに近づいており、互いの同盟文書に調印していた。
「これで俺達のゴラス大陸の用事も済んだことだし、次に移りますか。」
ミノルは、調印も終わって互いに握手をした後、両国の国王による演説が始まっている中にリュセフィーヌ、アーデルハイド、ディーフェリアとアリステリアが席を立ち、議会場を後にするのだった。
――――――――――
時は少し遡る
雪深く冬真っ只中の3月中旬、リュセフィーヌは、いつもより早めの帰宅をしていた。
「ふう、ようやく王国準備の草案が出来上がったの。あとは議会で決定していくだけじゃ。これで妾の仕事も終わったの」
風呂に入り夕食を食べながらリュセフィーヌは溜息を漏らしていた。
「もう字なんて~暫く見たくない~」
同じく草案作成の手伝いをしてきたアーデルハイドもワインを飲みながら愚痴を漏らしていた。
「まあまあ、お金が貰えるから文句も言えなかったしな。――かという俺もヘティスハークに教えた戦略の訓練や敵戦力の弱点などのレクチャーに大わらわだったけどね」
ミノルも軍務関係の手伝いに駆り出されようやく終わった事を報告していた。
ただし違っているのは、重装歩兵の充実であり、魔力がエルフよりも劣る獣人達は放出系より、強化系の高速移動と種族随一の身体能力を生かした戦術が得意だった事と、中長距離よりも接近戦が得意とする種族が大半だったことから、火縄の弱点である水魔法の放出は必須とさせて、大盾や金属鎧の充実を図っての戦略立案だった。
他には、重装歩兵の敵陣飛び込み完了後に、金属鎧を素早く脱げるようにワンタッチでキャストオフ出来るように改造して貰う事にした。
「ミノルよ。これで大陸北部の増強ができたわけじゃ。そろそろアドラへの侵攻を開始するかの?」
「それも魅力的なんだけど、これからの被害は最小限にしたいのを優先したいし、やっぱり最大火力である勇者の戦力削減が必要かな?とも思うし――」
「それじゃあ~いっその事~魔大陸に~行かない~?」
リュセフィーヌとミノルが今後の行動をについて話し合っていた所に、アーデルハイドから魔大陸に行ってはどうかと提案をしてきた。
「それに~ついでで~墜としておきたい物もあるの~」
そう言いながら、いつもの間延びする話し方で説明してきた。
メーフェの情報では、現在魔大陸に勇者が5人派遣されており、残り16人が一気に11人まで減らす事が出来るし、ゴラス大陸からの勇者増強が困難である事、ゴラス大陸から魔大陸までアドラが使う航路を使えば、運が良ければ飛行途中で撃墜可能であり、今後の制空権が取り易くなると言ってきた。
「そうじゃの!飛空船が減れば物資や食料を大量消費する海路を取らざるを得ない。春先じゃから空路の遭遇率も高そうじゃしの」
リュセフィーヌもアーデルハイドの案に乗ってくる。
「そうだね。俺たちは別方向からの援護射撃になるからね。ヤーノと合流も出来るし良いんじゃないかな?」
ミノルがアーデルハイドとリュセフィーヌに続いて賛成の意を述べてきた。
こうしてミノル達は、魔大陸へと次の行動を移す為に話し合い山脈街道のログハウス、ヘティスハーク国境砦、アドラ公国軍に見せつけるように魔大陸へと砦から飛び去り、途中にある無人島で休憩し魔大陸のローグインに上陸し、ヤーノと合流する計画としたのだった。
翌日、フェンリル種の長老達とセレスティア、パディに魔大陸へと次のステージへ移る趣旨を伝え、春に行われる調印を見届けた後、旅立つことを伝えるのだった。
長老達は「暫くはフェリエ王国で何とか出来る」と快諾してくれて、今回の賃金支払いが少なかった事を理由に戦力としてセレスティアを貸し出すこととした。
「すまぬのう。我々も国費が削られていた上に王国樹立に向けてさらに出費が多くてのう」
「なに、気にすることはないのじゃ。セレスを借りるだけでおつりが出るくらいじゃ」
長老の申し出に感謝するリュセフィーヌであった。
――――――――――
ミノル達は議会場前の広場で 《身体構成》と《顕現》でミノル、リュセフィーヌ、アーデルハイドが龍化する。
広間に集まっていたヴォルシナの住民たちは3匹一斉に揃った古龍を見て式典のイベントと勘違いをしたらしく、歓声と万歳が沸き起こっていた。
既に出発の準備は完了しており、アリステリアとディーフェリア、そしてセレスティアが旅衣装と荷物は魔法袋に入れて待っていた。
セレスティアはリュセフィーヌの背に、アリステリアはアーデルハイドの背に、ディーフェリアはミノルの背に乗った。
「何もこんな日に出発せんでも良いじゃろうに」
見送りに来ていた最長老がリュセフィーヌに名残惜しそうに声をかける。
「見送りの宴は昨日じゃったからの。それ以上の見送りはなしじゃ。今生の別れではないしの」
最長老の言葉にリュセフィーヌはすでに済ませたから良いと断りを入れる。
「長老の皆様。セレスティアさんをお借りいたします」
ミノルは長老達にセレスティアについて礼を述べた。
「それじゃあ~しゅっぱつ~」
アーデルハイドが号令を掛けると3人は空に飛び立つ。
「大婆様~。行ってきます!」
地上を離れながらセレスティアは最長老に声をかけて手を振っていた。
3人はそのまま上空へと上昇し、ミノルは途中で昼でも見えるように輝度を強くした色とりどりの花火をイメージして50発ほどブレスを吐く。
晴天に次々と花火が咲きヴォルシナ住民から歓声が聞こえてくる中、ミノル達は魔大陸に向けてフェリエ王国を後にしたのだった。
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回も楽しみにしていただければ幸いです。
次回は明日12時を予定しております。よろしくお願いいたします。




