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ミノルと勇者②

お忙しい中、通勤中、休日真っ最中の中、クリック&タップ誠にありがとうございます。


執筆中に寝落ちしてしまいました申し訳ございませんでした。

皆さんは徹夜ぶっ続けなどしないようお気をつけください。



拙い文章ではございますが、どうか楽しんでください。

勇者 生田エリカ


 私のおうちは小さな葬儀屋を営んでいて、お父さんとお母さん、そして妹が3人いて私を含めて6人家族だ。

 ウチは自営業なのでよくお父さんの手伝いをさせられていて、学校では「線香臭い」といじめられたものです。

 

 そして手伝いをしていると人の”死”と云うものが身近にあり、故人を悲しみ、悔やんでは涙を流す人たちをたくさん見てきた。


 ある日の事、学校で私達はクラス転移というものに巻き込まれてフィーグルという世界へと転移させられてしまった。

 訓練等いろいろなことを叩きこまれて、遂に私達は戦場の真っ只中に投入されることとなってしまった。


 そこで見た地獄は忘れない。肉が切られ、家族の名前を叫びながら死んでいく人。恋人や同僚を思いながら戦い、殺して、そして自分達も殺されていく。


 私は怖かった。返り血で真っ赤に染まって帰ってくるクラスメイト達を見て何故この人達は人を殺すことが出来るんだろうと思っていた。


 私は勇者と言ってもほとんど攻撃魔法は持っていなくて、回復や補助魔法が使えるだけの支援しかできない勇者で、戦争にはあまり参加させられずに、戦争へ参加可能となる為に、上級の治癒や復活と言った複合回復の教練を教会でさせられていた。


 ある日の事、教練も終了して兵舎へ帰ってくると別の戦争へと参加していたクラスメイトを見て恐ろしくなってしまったのだ。


 彼らは獣人を何人殺したと、自慢げに話して笑っていたのだ。しかもその戦利品として獣人の女の子を連れてきていて、乱暴している事を知ってしまったのだ。


 クラスの人達は狂ってしまったんだ!人の死を何とも思わずに平気で、殺した人には奥さんや子供と言った家族が待っているはずなのに平気でそんなことしてしまうんだ!


 そう思った私はもしかして自分も狂ってしまうのかと、それだけは嫌だと怖くなってしまい、いつの間にかアドラ公国を飛び出してしまっていた。


 それからは、勇者であることを隠して冒険者として暮らしながらフェリエ共和国首都の近郊の町へ流れ着いた。

 首都では人族と獣人族が争っていて、西エリアに住んでいた獣人の人達は住む家も仕事も奪われ、郊外でスラムと言うところで暮らしていました。

 仕事もまともにはなく、その日の食費にすら困る状況で衛生などの環境も悪く、死亡する人が絶えない場所でした。


 私が今住んでいる町ではそういう人達を保護したり、身寄りのなくなった子供達をスラム等から探しては、引き取って世話をしている施設がありました。

 私はそこで働き始め、冒険者の賞金で運営の足しにして獣人達と一緒に暮らし始めました。


 獣人の人達はとてもやさしく人族である私を家族のように接してくれて、一緒に笑い時には冒険者のパーティとして魔獣の討伐クエストをこなしたりして、フィーグルで私の新しい安住の地として暮らしていました。


 施設で働いて5年が過ぎた頃、スラムの新たな孤児たちを保護していた時だったのでしょう教会の関係者に見つかってしまいました。

 

 脱走兵として手配がされていたらしく私は捕縛されてしまい、アドラ公国へ強制送還されてしまいます。


 そこで待っていたのは獣人や亜人を蹂躙する事に快楽と自己顕示欲に溺れた勇者達がいました。


「私は戦争や殺し合いなどしたくはありません!アドラ公国には敵対はしませんからあの施設に返してください!あそこには苦しんでいる獣人や亜人の人達がいるんです!」


 私は戦争には参加したくないと拒絶しました。


「そうか、そんなにあの施設に戻りたいんだ。じゃあ脱走兵をかくまった罪であの施設に人達は全員処刑だな」


 私は驚愕していたのです。同じクラスメイトの新庄英雄や結城恵一そして担任の木村先生までそんなことを言いだしたのです。


「施設は何の関係もありません!だからあそこの人たちには手を出さないで!」


「それなら態度で示してもらおうかしら?貴方がこれから勇者としての責務を全うするならば、あの施設には手を出さないし、援助もすることを誓いましょう。ですが、その責務を全うできなければ施設の人々も施設も脱走者をかくまった罪で排除します。よろしいですか?」


 私達を召喚し、新庄英雄の恋人で勇者管理統括官として任官している第2公女が私に条件を突き付けてきた。


「‥‥‥わかりました。それで施設が壊されなければ私は従います。」


 私のせいで、あの場所を壊してしまうのだけは、避けなければならないので、私は勇者として復帰する事になった。


 そして今、私は窮地に立たされていた。

 とてつもなく強く勇者3人がかりでもまだ余裕を見せる小さな古龍の子供に翻弄されて、ケンジは倒され、そして今私も殺されることになるだろう。


 私が死んだら、施設は無事なのだろうかと思いながらも意識が遠くなっていくのだった。



   ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 ナオの意識が覚醒していく。


「あれ?私…確か…!エリカ!」


 自身が倒される前にエリカがミノルに倒されたことを思い出し、体を起こし周囲を確認する。


「ああ!エリカ!そんな…エリカ!エリカ!エリカあああああ!」


 周囲は暗く月明かりが木々の隙間から所々に照らされている一角にナオが見たエリカの無残な姿に彼女の名前を何度も呼ぶが、反応が全くない。

 エリカは両手を縛られた状態で木につるされており、武具で最高を誇る白銀の鎧は袈裟斬りの様な形で爪の様な跡を残して裂かれており、彼女の足元には見る影もなく捻曲がり、折れた聖杖が転がっていた。

 彼女はつるされたまま下を向き、足元からは血が滴って血溜まりが出来ていた。


 足元に溜まっている血から、既に致死量にまで達する失血死と見た目からも判断が可能であった。


「ぐっ!くそ!エリカ早く治療してくれ。ナオか?エリカはどうした?」

 

 ケンジも気が付いたらしく、エリカへ治療を促す催促の声が挙がって、その声に気付いたナオはまだミノルがどこかにいる事を警戒しながらケンジへ近づく。


「ケンジ、エリカがやられたわ。ヒールポーションは…無さそうね。御免、MPもほとんどないし、私ヒールしかできないし、ちょっとの回復しか出来ないからそれで我慢して」


「エリカがやられた?くそったれ!あのガキ龍め、回復役を先に倒したのか。エリカも使えねえ奴だったな」


 ナオのヒールで傷だけは塞がったケンジがエリカの不甲斐なさに毒を吐いていく。


「ケンジ!エリカは頑張ってたんだよ?使えないなんてよくも言えたものね!最っ低!」


「ああ?使えねー奴を使えないって言って、何がわり―んだよ?おかげでピンチになったじゃねーかよ!そもそも使えない状態だったら、エリカは始末される予定だったんだ。まあ、殺されてくれたんで俺が手を汚す必要はなくなったんだがな。」


「な、何を言っているのよ!エリカは仲間としてちゃんと!ぐっ!!」


 ケンジの言う言葉にナオは抗議をしようとした途端、彼女は頭を抑えながら蹲ってしまった。


「あぁ、コイツもそろそろ寿命か」


 ケンジが木に寄り掛かりながらも立ち上がり、ナオを見下ろしながら呟く。

 その言葉を聞いたナオは何の事かと思いつつも激しい頭痛に蹲ったまま立ち上がれずにいた。


「ナオ、何故かアイツはここに居ないみたいだから、早い所逃げようぜ」


「っつ!エリカの遺体だけでも持ち帰らないと…くううう!」


「アホかてめえ。一刻も早くここを離れなきゃなんねえのに、お荷物背負って行けるかよ」


「死体なんだから、空間収納に入れる事出来るでしょ?」


 ケンジは放置をしておくと言うが、生きていないものであれば空間収納に入れる事が出来る為、それをケンジに提案をする。


「知らねーよ。俺は御免だね。お前が勝手に持っていけばいいだろ?」


「それはどうだろうね。少なくとも彼女を持ち帰る事は出来ないと思うんだな?」


 ケンジとナオの会話に突然ミノルから横槍の声が入ると、2人に緊張が走り構えを取り、声の出所を確かめようと周囲を見渡す。


「はあ、さっきから気配は全く消していないのに気付かないとはとんだ勇者様ですね。呆れてものが言えないな」


 残念そうに溜息をつきながら、話すミノルに気が付き2人の頭上に顔を上げると、そこには木の枝に腰を掛けるミノルの姿を確認する。

 そして、そこから3歩バックステップをして応戦の構えを取る。


 ミノルは枝から飛び降りると羽をはばたかせながら、ゆっくりと着地して構えも取らずに2人を見る。


「俺がお前たちを見逃すと思ったのか?頭の中お花畑でいっぱいのようだな?」


 自分は見逃さないと、はっきりと2人に告げながら1歩2歩と近づいていく。

 2人は互いに頷きあうと、同時にダッシュをしてミノルに斬りかかったが、もはやそれまでのようでケンジの二刀は左手で掴まれ、ナオの弓も右手で掴まれていた。

 そして二人は驚き、掴まれた手を見ると肘から手にかけて銀色の鱗に覆われ、爪が鋭く、まるで爬虫類の様な手をしていた。


「驚いたか?龍人は羽と尻尾だけじゃないんだよ。任意で腕もこうやって古龍の身体を形成可能なんだよ」


 ミノルは、告げながら両手で掴む神聖武具に力を入れる、と金属が軋む音を立てながら剣と弓を握りつぶしてしまった。


「なっ!神聖武具が破壊されただと!」

「そんな!」


 二人は神から与えられた最強の武器がいとも簡単に破壊されたことに驚愕し、声をあげてしまう。


「熱っう!あちちちち。さすがに女神の作った武器だな。手もちょっと切れてるな」


 ミノルは手を繰り、ふうふうと両手に息を吹きかけながら呟き両手に〈治癒〉を展開する。


「私達の負けです。降参します」


「っ!てめえ!ナオ!何言ってやがる!」


 ナオの降参宣言にケンジは抗議を示す。


「てめえはまだ元気があるな」


 そう言ってミノルはケンジに〈治癒〉を展開して回復させる。


「チャンスをやる。俺はお前の攻撃から避けないしガードもしない。ガチの殴り合いだ。それで俺に勝てる事が出来たら解放してやる。どうだ?」


 ミノルの提案にケンジは頬を釣り上げるといきなりミノルに殴りかかった。


「おらおらどうした!ガキと俺とじゃリーチの差がるっての知らねえのかよ!」


 ケンジは殴り続ける、顔面や腹、足には思い切りローキックを食らわし、ミノルをサンドバッグのように殴り続ける。


「オラああ!」


 ケンジは両眼を潰しに指を二本ミノルの眼球目掛け突き出す。


「ふん!」


 ミノルは指目掛け拳を突き出すとケンジの指がつぶれ、そのまま腕が風船が割れたような音を立てて肘まで吹き飛んでしまった。


「あれ?あ、ああ、ああああああああ!うでがああ!」


 ケンジは呆気に取られていたが、吹き飛んだ腕から血が噴き出しているのを見ると、膝をつきながら絶叫する。


「うるさい」


 ミノルは一言言いながら、ケンジの胸に腕を突き刺してそのまま心臓ごと引き抜くとケンジの目の前で握りつぶす。

 叫んでいたケンジは、自身の心臓を見ると叫びは止まり握りつぶされたと同時に「あ…」声を発してそのままうつ伏せに倒れた。


 しかしこのままでは終らない。ミノルは〈再生〉を展開しケンジを蘇らせる。


「うう。あれ?俺は心臓を?」

 

 体を起こしたケンジは自分の胸を見て無事であったことに不思議を覚えつつミノルへと顔を見上げると、ミノルは突然ケンジの側頭部に蹴りを入れる。

 ケンジは側頭部に衝撃を覚え目を回したが、視界が戻っていくと呆気に取られていた。

自分は寝転がっていると思ったが、目の前に体は膝立ちのままの自分の身体がある事に驚く。


 「――――!――!――――!」


 ケンジは声が出ない。自分は首から上がミノルの蹴りによって引きちぎられた事に気が付き叫びながら意識が消えた。

 また再び〈再生〉が展開しケンジは再び意識を取り戻す。


「あ、あ、ああ、た、たす、助けて、たすけてくれえええ!」


 ケンジの懇願もむなしく再び蹴りが脇腹に入ると、左に蹴り飛ばされ地面を何度も転がっていき止まると嗚咽を漏らしながら起き上がろうとする。

 そしてケンジが見た数メートル先には、下半身だけが残っており、自分の腹部を見ると腹から下が無く今度は上半身が蹴りによって引きちぎられた状態へとなる。


「あああああああああああ!ぎゃあああああああ!」


 もはや、現実から遠ざかった悲惨な光景にケンジの精神は崩壊寸前であった。


「たすけてええええ!反省しましたあぁぁ。お願いですからあぁぁ」


 泣き叫ぶケンジに近づき、しゃがみ込むミノルを見て「ヒイッ」と短い悲鳴をあげて逃げようとするが、上半身だけでは逃げる事もかなわす、震えながらも助命をミノルに願った。

 するとミノルはケンジの髪を鷲掴みにしてそのまま下半身へと引き摺りながら移動する。


「お前が殺したフィーグルの民も命乞いしたんだよな。それをお前はどうしたんだ?」


「痛い痛い!髪引っ張らないで!もうしませんから!絶対しませんから!許してくださいいいい!」


 涙や鼻水、涎だらけになりながらケンジは懇願する。


「お前だって同じことをしたんだろう?だったら同じことを俺が代わりにやってやるだけだ。」


 引き摺りながら懇願するケンジを振り返るミノルは怒りに満ちており、それを見ただけでケンジは言葉が出なくなってしまう。

 そして膝立ちのままになった下半身ミノルは蹴り倒し、今日半身を近づけて〈治癒〉を展開する。

 

「すいません!すいません!すいません!もうしません!心を入れ替えます!」


 服も鎧も無残な姿になってになったままだが、身体が元に戻ったケンジはその場で土下座をして、ミノルに許しを請うのであった。 


「許しを請うのは俺にじゃない。死んでいった人達にだ。…まだたりないな」


「ひいいいい!ナオ!一緒に謝ってくれ!たのむ!頼むからああ!」


 ケンジはナオにしがみつきながら助けを求めたが、目の前で起こった凄惨な状況に腰を抜かし粗相をしてしまいながら、思考が停止してしまっており、返事が出来なかった。


「情けないな。それでも勇者か?潔く罰を受けるのが男ってもんだろ?それなりの事をしたんだから覚悟は必要だよな?」


 再びケンジに近づくミノルは殺気を放ち近づいていく。


「待ってください!もうこれ以上はやめて下さい!」


 ミノルは立ち止まり声のする方向へと向きを変えて、祈るような姿勢を取りながらミノルへと懇願するエリカの姿を見るのであった。




最後までお読みいただきありがとうございます。


次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。

今後ともよろしくお願いたします。


明日も最低1話は入れますのでよろしくお願いします。

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