フェンリル種
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今回は短いですが昼頃に次話を更新します。
拙い文章ではございますが、どうか楽しんでください。
ミノルを抱き上げながら頬擦りをし、堪能したのか彼を降ろし、リュー達を席へと案内をウェイターに指示をする。
20名は席に着くことが出来る事テーブルの真ん中にリューを中心にそれぞれ席に着く。
反対側にはフェンリル種の面々が座り会食と言うよりも会議と言った方が早いのではとミノルは思った。
「さて、会食の前に話を聞くとしましょうかのう。ドナクレアの姫君。」
テーブルの一番奥の席に座っている年老いたフェンリル種の女性がワイングラスを3度軽く叩き透き通った音が部屋に響くと周囲の再会の喜びや和やかな雰囲気は一変して緊張した空気に包まれる。
「これはまた族長。いきなり本題とは無粋ではないかの?」
リューを鋭い目つきで睨んで凄みを聞かせた声で問う族長と、それを軽く往なしながら答えるリューが対峙していた。
「なあアディさんよ。なんか今にも戦闘が起きそうな雰囲気になったんだが?」
「大丈夫。族長のいつもの癖なのよ。」
「そうなのか?」とミノルはセレスティア代表に視線を送ると頷く。
「まあ、妾もまだるっこしい事は好かんからの。」
そう言いながら手を組み両肘をテーブルに乗せながら提案内容を語っていく。
元首として代々フェンリル種が治めているので、君主として国を治める事、もちろん国の運営は各族長との合議の上で行えばい。しかし国内において、こういった大きな内乱を招いて未だ纏まらずに解決には至っていないと言うのであれば、絶対的な命令を下す事が出来る君主としての役目が必要があるのでいささか矛盾したようではあるが、必要な事ではあるとリューは提案をしたのであった。
「もちろんどの制度にも一長一短があるが、必要なのではないかの?妾達古龍が領域を支配している方法と同じじゃ。」
族長を始め長老と呼ばれるフェンリル達は騒ぎ始める。そして長老の一人がリューに答える。
「しかしですなリュセフィーヌ様。我々は古来より合議制を摂って事を収めてきております。それを今更変えると言うのは酷というものではないのでしょうか?」
「何、妾は無理強いはせんよ。提案をしているだけじゃ。だがこのままではあの国の二の舞になる事を憂いているだけじゃ。ヌシらとこの大陸を二分していた”妖狐種”のようにな。」
その昔、ゴラス大陸は2種の種族によって支配されていた。北のフェンリル種、南の妖狐種である。
神魔大戦の後、ゴラス大陸に住み着いた人族と天使族が反旗を翻し内乱が勃発、次々と自身の国を立ち上げていき大陸全土は26もの国に細分化してしまった。
最後には当時の面影も無く妖狐種が治める国は小さなゲイルランダ王国として存在していたが、とうとうその国も無くなってしまい、流浪の民となってしまった。
今ではドナクレア一族の助けもあり、ドナクレア島の前人未踏の地である”魔龍の森”でひっそりと暮らしている。
「つい最近の話じゃ。妾もあの国を助けようとしたが、間に合わなんだ。責任は妾達古龍にもある。自身の領域にしか殆ど興味を示さずに閉じこもり、我関せずじゃ。だから神族の尖兵共にいいようにされているのじゃ。そう思って妾は親の反対を押し切って動いておったのじゃ。」
長老たちは黙って俯きながら耳を傾けていた。先日反対をしていたセレスティアも下唇を噛み締め悲痛な表情をしている。
尚もリューの話は続いた。
「以上じゃ。あとはヌシらの好きにすればよい。無理強いはせぬ。嫌だと言うなら妾達はこの国を出よう。妾とて故郷のドナクレア島を取り戻さねばならぬからの。」
話は終わりリューはワインでのどを潤すのであた。
「ふむ。耳の痛い話じゃったな。どうだ?長老達よわしらも一度流浪してみるか?」
族長の言葉に長老たちは狼狽えていた。族長自ら「滅びてもいい」というような言葉が出るとは思ってもみなかったからである。
「カッカッカ!すまんかったのう。意地の悪いことを言ってしまったな。リュセフィーヌよ。おヌシの好きににして良いぞ。」
「助かるの。大婆殿。」
「なに。儂は始めから賛成じゃった。しかしな、今のままで解決できると甘い考えを持っておる輩がいると言う事じゃよ。もはや昔のようには出来なくなっておる事に気付かん。」
ミノルは安堵していた。これで何の憂いも無く行動が出来ると分かると椅子の背もたれに体重を預けたのだった。
「それとセレスティア。お前は代表の辞意を表明するのじゃ。」
「ですが大婆様!私の後釜に沿える人材はまだ育っておりません。」
族長がセレスティアの代表を辞めるように命令をするが、セレスティアは次代を担う人材がいないと進言をする。
「次代にはパディ、おまえじゃ。」
「え?あたし?」
「そうじゃ。セレスティアは昔の伝統に縛られる嫌いがある。それに比べておまえはまだ若い。新しい空気をこのフェリエに吹き込ませるのじゃ。なに、パディのサポートにはレスタをつけるから安心せい。」
「え?私ですか?婆様いやですよ~。ようやくあの固っ苦しい代表譲れて清々していたんですから。」
パディを次代の代表に据える代わりに、先代のレスタが御目付け役として付けられることに本人が嫌がっていた。
「どうせ次代は遅かれ早かれ、お前の娘だっただろうが。教育なぞしていないだろうに。その罰じゃ。」
「そんな~」とセレスは情けない声を出すが聞き入れては貰えそうになく、肩を落とすのだった。
レスタの訴えを無視しながら族長は、手を2回たたくとレストランの従業員たちが次々と料理を運び込んであっという間にテーブルの上に並べられていく。
タイミングを合わせて作ったのであろう料理は湯気が立ち上り、部屋中に美味しそうな匂いが満ちていくのだった。
族長は席を立ち、新たに注がれたワイングラスを片手に挙げて
「それでは、リュセフィーヌ様、アーデルハイド様、ミノル殿。フェリエ共和国の為に手を貸してくだされ!」
「「「「古龍とフィーグルと共に!」」」」
乾杯の掛け声が掛けられリュー達も乾杯をするのだった。
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