決行準備と勇者達
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ゴブリンのおっちゃんの件から翌朝、俺は固まっていた。
ああ、昨日はなんかガキみたいなマネしちゃったなあ、何か駄々こねてる子供じゃんって思いながらベットの中でまどろんでいた。
「あれ?あん時なんか頭に血が上って・・・?」
俺の記憶があれからの後の事がすっぱりと消えている。
なぜだ?と思いながら体を起こそうとすると動かない。
左手以外はしっかりと誰かに抑え込まれている。人?そう思ったのは暖かいからだ。
起きたばかりで、暗闇に目が慣れていなかったが、ようやく見える様になったので確認をしようとしたが、顔も何かに覆われているかのように見づらい体勢になっているようだ。
仕方なく動く左手で何なのか探る事にする。
まずは俺が抑え込まれている人と思われる物が誰なのか確かめようと顔の所に手を持っていく。
するとものすごく柔らかい感触が手の平に伝わるので何度も確認した。
クッションに埋もれているのかと掴もうとしたその時、
「あん」と女性の甘い声が聞こえてきた為、俺はまさかと思いつつ少々強引に身体を引きはがしにかかる。
身体を少し捻じって、ようやく上半身が自由になったので上半身だけ起こした。
宿の鎧戸が開けられていなくてまだ暗かったが、隙間から入り込む光で確認することが出来た。
リューが俺に抱き付いていて眠っていたらしい。
「んー」と言いながら寝返りをうって仰向けになる。まだ俺が起きたことに気付いていないらしく、すぐに寝息が聞こえてくる。
よく見ると俺の顔があったであろう位置にはリューのお胸が存在しており、俺は先程の柔らかい感触はリューの胸だったことに、顔が熱くなってきている事に気付く。
しかし次の瞬間後ろから誰かに引き込まれ、再び身体を抑え込まれてしまった。
咄嗟に顔を右手で守ろうとしたため、顔を一緒に柔らかい感触がまた俺を襲ってきた。
「んゆー」という声からアディだと気付き柔らかい感触はアディのお胸だと気付くが、頭がパニックになりどうしていいか分からないまま体が固まってしまった。
仕方がなく抵抗せずにいると、女性特有の匂いなのだろう、花のような甘い香りが俺の鼻腔をくすぐり、段々と眠くなってきた。
一度はパニックで目が醒めてしまったが、再び眠気が俺に襲い掛かり、そのまま眠りについてしまった。
それからどの位の時間がたったのだろう。
「ミノルさん。ミノルさん。起きてください。朝になりましたよ?」
誰かに声を掛けられたので目を開ける。
「さあ、リュセフィーヌ様、アーデルハイド様、起きてください。」
声の主はディーフェリアとアリステリアだった。
まだ完全に覚醒していない俺は、寝ぼけながらに体を起こす。
ディーフェリアが鎧戸を開けるとまばゆい光が飛び込んできたので、目を数回瞬かせる。
「おはようございますリア、アリス。」
「はい、おはようございます、ミノルさん。」
俺は2人に挨拶をして、起き上がろうとするが、アディに下半身を抑え込まれて動けない。
「アディ、起きて、動けない。」
「んゆ~・・・。あい。」
ようやく解放されたので、這いつくばりながらベットから抜け出し、おぼつかない足取りで部屋のテーブルまで歩いて行った。
鎧戸は空けてもらったが、冬なのでガラス窓だけは閉めてくれたらしい。
朝日が俺に当たって体が温まる感じを受ける。
「ミノルさん、昨夜はお風呂に入っていないので、そのままお風呂に行ってください。」
アリスが俺にタオルと石鹸を手渡してきたので「了解」と行って受け取り、宿の大浴場へと部屋を出て行った。
体を洗い湯船につかるとようやく目が醒めて、そのまま先程の事を思い出していた。
どうも、何かしらが鍵となって俺は幼児退化してしまうらしい。
しかも記憶がなく、目を覚ますといつもリューとアディが俺を抱いて寝ている事が多い。
俺はてっきり部屋に忍び込んできたリューやアディが一緒に寝ているものだと思っていたが、この間アディから告白を受けた後に、エリュシュラ姫から俺が、夜に寝静まった頃になると何かにうなされて泣いていると言うのだ。
そうしてリューとアディが俺のそばに行き、添い寝をして宥めていたと言う。
しかも1度だけではなく何度も同じような事で夜になると添い寝をしてくれていたと言う。
だが、どんな夢を見ていたのか俺は記憶がないので俺はリュー達に感謝しておいたのだ。
「どうやら昨夜は、夢見ではなく、あのおっちゃんの時から幼児退行してしまったらしいな。」
俺は風呂から上がって、リューとアディに感謝しながら部屋へと戻ったのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
皆で朝食を摂り、宿を出て再び町の状態などの下調べに入る。
2日目以降からは、2手に分かれて調査をする。
西側エリアは《身体構成》を展開して人族と変わりがない姿になり、自警団の前を通過する。
人族や、アドラ聖教の教徒であるペンダントを見せると普通に通過は出来る。
さすがに、ドワーフ以外の亜人種(人族の魔族以外の呼び名)は通してもらえないので人族の姿をする。
西側エリアは、それなりに活気はあるのだが少しでも路地裏に入ると治安がすごく悪い。
下調べ中に何度も強盗に出くわしてウンザリするくらいの数がいる事が分かった。
今日も強盗達に襲われてリアに、これでもかとばかりに熨されていた。
「なんでこんなに強盗やスリとかが多いんだ?フェリエの衛兵は何やってるんだ?」
「ミノルさんが見ての通り、この強盗達は人族です。多分強制労働施設からの解放者でしょう。一応捕まりはするのですが、施設に連れていかれて勇者に施設を開放されるという、いたちごっこが繰り返されているようです。」
「ダメじゃん勇者。」
そう言いながら、教会を目指す。
教会に着いてからは周辺の警備などを見ておくが、やはり設立記念日のミサが近づいているのだろう、教団の騎士らしい兵士の人数が多くみられる。
また、教会の正面入り口には厳重な警備がなされていて教徒であるペンダントの提示や、持ち物検査、身体検査までさせられている。
例えお祈りに来ただけでも残らず、検査させられているようだ。
「まあ、外では強盗が蔓延っているからな。刃物でも持ち込まれちゃ堪ったもんじゃないからな。」
そう呟いていると、教会の中から4人組の男女が出てくるのに気が付いた。ここから彼らまでの距離は300m位あって〈遠見〉の魔法を展開したいところだが、肉眼での確認だけで済ませようと注視した。
「龍化だとこんな距離普通に見えるんだけどなあ。」
そんな愚痴を言いながら見ると歳が18歳位の黒髪で、東洋系の顔つきをしていた。
「おいおい、まさかここに居るのかよ。聞いてないぞ。」
「・・・間違えありません。あの4人は勇者です。」
さすがエルフ。この距離でもはっきりと見えるらしい。
少し隠れてリアがカバンから似顔絵を取り出す。
「勇者ユウトがリーダーで、勇者ケンジ、勇者ナオ、勇者エリカの3人ですね。フェリエから指名手配が出ている人物です。奴隷労働設備の連続破壊、代表と議員の殺人容疑など6件の容疑、あとは他国からも貴族殺害や王族殺害もありますね。彼らが原因で国が潰されたのは6か国ですね。」
「あらまー。テロ犯罪のオンパレードですか。フィーグルに来てやりたい放題だな。」
そう言って似顔絵をバッグにしまって再び監視をしようとした時、
「おい、お前ら。そこで何やっている。」
背後から声を掛けられて俺は驚き、後ろを振り向いた。
気配を感じなかった。近づいたことさえ気が付かなかった。リアでさえも気が付かなかったのだ。
「おいガキ。聞いているだろうが。答えろ!」
腕を組んで仁王立ちになった勇者ケンジが俺達の事を訝しげに見ているのであった
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