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ヘティスハーク王国出発

お忙しい中、通勤中、休日真っ最中の中、クリック&タップ誠にありがとうございます。


拙い文章ではございますが、どうか楽しんでください。

「それでは皆さん。お世話になりました。」


俺達3人は王城内で別れの挨拶をする。

外で別れの挨拶をすると、これからフェリエ共和国に潜入しようと言うのに盛大な見送りをされると、どこに間諜が目があるか分からないのでここで済ませるのだ。


「ミノル殿頼みましたぞ。」


「リュセフィーヌ様、また会える日を楽しみにしております。お気をつけて。」


テンベルト王太子とエリュシュラ姫が別れの挨拶をしてきた。作戦立案から2週間セルディス王とパーパド王子を始め2人を除いて全員出払っていた。

森で大氾濫に出遅れた魔獣のごく小規模な氾濫が多発したからだ。これは大氾濫の余波としていつも起こるらしく王子たちが対応していた。

セルディス王はアドラ国境付近にある砦で定例の巡視をしていた。

王族たちが、いつもの行動をする事で俺達が行動しやすいように配慮してくれたのだ。


別れを惜しみつつ俺達は王城を後にした。リューとアーデルハイド嬢、そしてディーフェリア・スイードとアリステリア・スミセの白黒コンビの2人のエルフと龍人モードの3人は動きやすい服装と肩掛けのバッグとリュック。フード付きのマントを羽織ってまさに旅人の姿で街を歩きある商会へたどり着く。


今回の商隊として王家御用達のマコーメ商会のトンス・マコーメ以下14名が同行してくれる。

マコーメ商会は本当の商売でフェリエ共和国に入国するついでで、いつも間諜や使者が便乗しているので特に問題はないとの事。


ちなみにマコーメ商会のエルフ達は俺達の正体は知らない。竜人族のフェリエ議会代表の親戚で今回の同種族の亡命者達を迎えに行く為と言う事で話は通っているらしい。


「初めましてマコーメ商会の会頭代理トンス・マコーメです。いやー美人さんばっかりで会頭の兄貴に恨まれそうだ。」


頭を掻きながら豪快に笑うこのエルフ。背丈は190㎝はあるだろうが、商人とはかけ離れたマッチョな商人である。なんでも元王国軍の中隊長で兄が商会の跡を継ぐので、自分は軍に入ったと言う事だったがトンスの伝手で王家の御用達商会の仲間入りが出来たが、手が回らなくなりトンスが実家の商会に舞い戻る羽目になったと言う事だ。


だがこの商会、他の商隊員もすごくマッチョな人ばかりで女エルフでさえシックスパックが見事な体つきをしていた。

何でも同じ軍の騎士家の次男や三男、そして息子に跡を譲った騎士家の隠居ばかりだと言う。

隠居と言っても見た目が30代後半と若く見えるし、まだ現役で剣を振って戦場にいてもおかしくはないような気がする。


「いやあ、ウチの商会は今から行くフェリエ共和国や他の商会が嫌がる所を主体として外回りしているもので自然と隊員がこうなっちゃうんですよ。しかも隠居と言っても現役としてまだイケるでしょ?じゃあ、孫やひ孫達の小遣い稼ぎってことで御隠居さん達も働いているんですよ。」


そうトンスが言った横からロケットを開けて見せてくれた隊員が、顔をほころばせながら言ってくる。

中に写真が入っている訳ではなく、数枚?のホログラムが浮かぶ。


「これが今年生まれた孫で、こっちが3歳のひ孫そして・・・・・」


ホログラムを見せながら緩み切ったマッチョおじさんがすごいのではなくその映像に驚く。

一家全員の写真に写るのは、ズラリと並んだその人数まるで団体写真のような40人ばかりの写真。

スマホのように指で拡大しながら見せてくれるのだが、息子たちや孫たちもすごく子だくさん。

エロフとはよくも言ったものだ、


こうして商隊と合流して、俺達はヘティスハーク王国を後にしてフェリエ共和国の首都ヴォルシナを目指した。


「う~。頭痛は治ったけど~まだふらついちゃう~。」


アーデルハイド嬢は荷台に乗りながら、まだ収まらない余波に不調を訴えていた。

ここまででようやくわかった人もいただろう、アーデルハイド嬢は古龍として生まれ変わっていた。

あの作戦会議の後に眷族として受け入れようとアーデルハイド嬢の告白にOKを出したのだ。



  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

時は遡る



作戦会議が終了した後俺は、リューとアーデルハイド嬢達がエリュシュラ姫と茶会をしている所に足を運んだ。


「ティータイムを邪魔して済まない。良いだろうか?」


「んむ?ミノルか、どうした?」


ショートケーキを食べていたリューが俺に声掛けに気付き尋ねてきた。


「ん?まあ、その、こないだのアーデルハイドの件なんだけど。」


そう言いだすと途端に周囲に緊張した空気が漂い始めた。


「あら~それは何より~それで~?」


俺はつばを飲み込み話し始める。


「あ、ああ。まずは受け入れようと思っている。理由は簡単かな?俺も既に地球へは戻れない体になってしまっているし戻るつもりもない。もう家族と言う人はリューしかいない。そしてリューは家族がもっといた方がいいと言う。ただでさえ個体数が少ない古龍が6人もいなくなってしまっている。」


俺の受け入れに表情が明るくなるリューとアーデルハイド嬢。

続けて話す俺に耳を傾ける。


「もう1つアーデルハイド嬢にも既に家族と呼べる人達がいないし、たった一人、人族の中で暮らすのはすごく寂しい事だと思う。毎夜うなされる俺にリューと交代で朝までずっと抱きしめてくれていていたことも最近知ってしまった。」


エリュシュラ姫が2人に「ごめんなさい」と悪戯っ子のように舌を少し出しながら謝っていた。


「その親切と心配してくれる心に答えるのが俺としてのケジメだと思う。どうだろうか?」


俺は間数具にリューとアーデルハイド嬢を見て答えたのだ。


「ん~。ちょっと堅苦しさがあるけど~嬉しいわ。うけいれてくれてありがとう~」


そう言ってアーデルハイド嬢は俺に抱き付いて頬をスリスリと俺の頭にしてくる。

横では「ようやくだな」と胸を撫で下ろすような溜息をするリューと、「あらあらごちそうさま」と微笑みながら言ってくるエリュシュラ姫がいるのだった。

そのまま俺は茶会に強制参加となってティーカップで乾杯をさせられた。


「ところでこの間、生々しくも胎がなんて言っていたがどうしてだ?」


「ああ、それはじゃな、妾達、古龍は妊娠可能周期が非常に長く妊娠しづらいのじゃ。」


「なるほど。ちなみにどれくらい?」


「15年じゃ。」


俺は吹き出しそうになる。15年に1回じゃそりゃ増えないわけだ。


「かと言って性交は毎日でも可能じゃがな。体内出産では1年と半年。卵生だと2年と3ヶ月で子供が孵る。卵生は有精か、無精かは生まなければわからん。しかも1周期に1個もしくは1人じゃ。」


中々シビアな世界と思う。家族を増やそうとするならば確率を高くすると言う事か。


「それじゃあ、眷族の儀式で増やせばいいんじゃないのか?」


「そうもいかん。眷属ならば星の巡り、魔素の状態、色々条件が重なれば何度かできるが、眷族の儀式は1人に生涯1度きりしか出来んのじゃ。

妾は儀式も無しで強引にミノルを眷族にしてしまったが、それでも1回じゃ。

もう2度と使えん。

本当に心から眷族が欲しいと願わないと成功もせんがな。」


なんとまあ、ものすごい世界に足を踏み込んだと思いながら、もしあの時、俺が完全に死んでいたならリューは、あの世界でたった一人きりになってしまっていたことにもゾッとしたのだった。


茶会も終わり夜になるとリューとアーデルハイドが部屋に来て儀式の準備に取り掛かった。


「それでは眷族化の儀式を始める事とする。」


夜になりリューから宣言が発せられる。

儀式の方法は深夜12時頃に値する月が夜空の頂点に達した時、古龍にしかできない龍語で刻まれた行使紋を4m×4mの絨毯の上に隙間なく刻んでいった。

そに上にアーデルハイド嬢が仰向けに寝て準備完了。次に俺の血を塗ったナイフを用意する。


「心臓に刺すのじゃ。」


「え?」


「アディの心臓に刺して息の根を止めるのじゃ!」


アーデルハイドを殺さなければいけないらしい。

驚きながら躊躇する俺にリューは説明を始めた。

何でも生きたまま古龍とさせてしまうと以前の俺のように人としての因子が残ってしまい完全な古龍に至るまで最低でも400年かかるらしい。

それまでは身体能力、防御力や魔導展開は半人前で下位の龍族程度の力しか奮えないと言う。


だから一度人として肉体を完全な死の状態になった直後に儀式行使すると完全な古龍として生まれ変わる事が出来るとの事だ。


「タイミングを間違えると半人前と同じ状況になるから気を付けるのじゃぞ?」


俺は覚悟を決めて「分かった」と一言言いながら、アーデルハイド嬢の心臓へとナイフを刺した。

「ぐっ」と短く苦悶の声を出すアーデルハイドが顔を顰めながらも笑みを浮かべて俺を見る。

そしてナイフを抜くと刺した傷口から大量の血が溢れてくる。


「生まれ変わるためと言っても結構苦しいわ、ね、そうれじゃ、あ、おねが、い・・・・・」


苦しそう中ををしていたが、眠るように目を瞑り死亡するアーデルハイドを注視しながらリューが再び説明を始める。


「ミノルの血で死んでからも心臓は動いてアディの血を抜いていくのじゃ。そして心臓も止まり手の先、足の先まで死が行き渡ったその時にミノルの手首を切り、そこから滴る血をアディの心臓の傷に妾か良いと言うまで魔力を込めながら注ぐのじゃ。」


俺は、リューに頷き手首を切る準備をする。

1時間くらい経過しただろうか、リューが「そろそろじゃ」と声を掛けて数分後、「今じゃ血を注げ」と静かに告げる。

俺は手首を切りぼたぼたと落ちていく血に魔力を注ぎアーデルハイドの傷口へと滴らせていく。

不思議なことに俺の血はまるで水銀のように衣服には染み込まず吸い込まれるように傷口へと滑り込んでゆく。


「もう大丈夫じゃ」とリューが俺の手首の傷に<治癒>をかけて傷口をふさいでくれた。

アーデルハイドもいつの間にか傷口はなくなり青白かった顔から赤みを帯びた血色の良い顔になっており静かな寝息を立てていた。


それから4日間眠ったままのアーデルハイドは羽が生え、尻尾が生え、頭には龍角が生えてすっかり俺達と同じ姿になっていた。

5日目の朝に目を覚まし、自分の姿を鏡越しに「龍だ~」と言いながら回転して全身を見ていた。

魔法行使を今までしていたので俺のような訓練は必要はなく、強力になった肉体の調整をこなしていた。

そして4日前に古龍の魔導知識を流されて頭を抱えながら転がるアーデルハイドを見る事になる。


  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

時は戻る



「解せぬ」と俺は呟く。


「なに~?腕なんか組んじゃって~眉毛に皺が寄ってるわよ~?」


改めてアーデルハイド嬢の姿を見る。

何故だ。何故なのだろうか、アーデルハイド嬢は古龍になった。感じる魔力が以前より遥かに桁違いな魔力を感じる。

同じ地球人なのに、この差は何だと叫びたい。茶髪に艶のある胸のあたりまで伸びるストレートヘアに、お胸は変わらぬ大きさ、いつものほんわかとした柔らかい笑顔。

しかし以前のアーデルハイド嬢は17~18歳くらいの大人になりかけの女性であった、しかし今は背丈が180㎝とリューと同じ位の高さまで伸び、腰のくびれが目立つ見事な均衡の取れた体で年齢は20代後半辺りと色香漂うお姉さまになっていたのだ。


俺はてっきり俺くらいの幼女になるのかと思っていたのにこの不公平感。

アーデルハイド嬢を「ぐぬぬ」と歯ぎしりしながら見ていると


「仕方なかろう。アディはそれでも130は越えてるはずじゃ。ヌシの倍以上じゃ。まあ古龍で言えば、その歳じゃと姿と年恰好は同じくらいになるじゃろうて」


リューは「あたりまえじゃろ?」と一言付け足して笑みを浮かべて話す。


「これでミノルちゃんをもっと抱きやすくなった~」


「呼び方「ちゃん」になってるし!」


「あははははは!これで子供はミノルだけじゃの?」


「むがー!」


俺の抗議の叫びが木霊しながら商隊はどんどんと進み山脈の中の街道へ向かい進んでいく。

街道までは3日街道へ入って途中で国境の関所を通りながら1週間で抜けて、さらに4日の距離で首都に到着の予定だ。

その間にアーデルハイド嬢の羽や尻尾の動作訓練と飛行訓練をしながらの旅になる。


「そろそろ~アーデルハイド嬢じゃなくって~アディって呼んでよ~」


「悔しいから絶対嫌だ。」


「なんでよ~」


もがく俺を抱っこしながら呼び方を変えるよう提案するアディでした。




最後までお読みいただきありがとうございます。


次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。

今後ともよろしくお願いたします。


次回更新は 17時ですよろしくお願いします。

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