希望
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「・・・」
「「・・・」」
俺は伏せの状態のまま気まずい雰囲気が流れていた。
何を言っていいのか分からず、とりあえず沈黙を貫くことにしたのだった。
「あの、ミノル殿?何をなさっているのでしょうか?」
エリュシュラ姫だったかな?俺に言っているのだろうと思いながら答えた。
「ええと?伏せ?」
俺は答えると、エリュシュラ姫は驚いた表情をしながら答えるのだった。
「何を申されますか!いと尊き御身が我らに伏せているなど!ささ、おもてを御上げください。」
「エリュシュラ姫、そう畏まらずともよいのだ。妾達は既に領域を失った唯の龍族じゃ。それにの、いつものように妾の事はリューでよい。エリー。」
エリュシュラ姫は俺に顔をあげるように促し、リューは昔から仲が良かったのだろう略称で呼び合うよう言っていた。
俺は《身体構成》をかけて人型になって殿下と王女に近づいて挨拶をした。
「お初にお目にかかります。リュセフィーヌ・ドナクレアの婚約者。ミノル・カツラにございます。以後お見知りおきを。」
そう言って、右足を引き、右手を体に添え、左手を後ろに腰を叩くように添える。アーデルハイト嬢から教わっていてツ級の中世ヨーロッパの礼に似ていると言う。
エリュシュラ姫は「まあ」と嬉しそうに笑った後、カーテシーで挨拶を返してきた。
次にテンベルト殿下が俺に挨拶をしてきたので同じく挨拶を返した。
俺の後ろでアーデルハイト嬢が「よくできました~」と言っていた。
暇な時間等にこれでもかと言うくらいアーデルハイト嬢から教育をされてきた俺には今の言葉がちょっとうれしかった。
「さて、挨拶もそこそこだが早速陛下への謁見に伺おう。」
そう言って俺達は衛兵の案内で城ネイへと進んだ。途中で殿下が「失礼」と挨拶をして後ろの矢野氏達の方へ行き「久しぶり」とか「げんき~?」などの声が聞こえてきたので、どうやら矢野氏とアーデルハイト嬢も知っている同士のようだった。
俺は何か一人だけ疎外感を感じてしまい寂しかった。
城内に入り謁見と言っていたので、てっきり本とかで読む謁見の間なのかと思って、間違えないようにとアーデルハイト嬢直伝の挨拶を頭の中で復習していたが、大きな会社の会議室のような場所に連れていかれた。
中には大樹らしき樹木を縦に切った長さ10m位を天板にしたテーブルがあった。
俺達4人は下座に位置するところに座った。初めは真ん中の席に生かされそうになったが、リューが断っていたのでそちらに座ったわけだ。
俺は地球にいた時の客先からの発注請負の是非の結果待ちを思い出してしまい緊張してしまった。
暫くすると扉が明けられ8名の男性が入室してきた。
初めに入ってきた男性がリューを見ると「おお!」と慶びの声をあげ、足早に近づき両手を掴み会話を始めた。
歳は40半ばに見えるが、エルフなのでもっと言って年齢は上だろうなと推察する。
髪は茶色で目が青く身なりはきっと高いんだろう青いチャイナ服に金色の見事な龍の刺繍が施されており、多分この人が王様なんだろうと思った。
「よくも無事で!リュセフィーヌ嬢が討ち取られた報が入った時はあの戦闘に行かせるべきではなかったと自分を責めた事はなかったぞ。アドラの城門に晒された首を見た時などこの世の終わりと感じたものだ!」
「御心配ありがとうございますセルディス陛下。確かに私は勇者にて討ち取られました。しかし運良くここにいるミノルに助けられて肉体の再構成に成功して戻ってまいりました。」
リューに紹介を受けてセルディス陛下に挨拶をしたのだが、陛下は俺の名前を聞いた途端に笑顔が消えた。そして真顔で俺の事を着目し始めたのだ。
やはり親子なのだろうか?テンベルト殿下とエリュシュラ姫にも同じ表情で見られていたものなと俺は思っていたのだった。
先程と同じように口上と礼を取ると「大儀である」と一言告げて再びリューと会話を開始したのだった。
・・・・・なんか素っ気ない。
「陛下、話は尽きないようですがそろそろ・・・・」
50代くらいのナイスミドルな男性が咳払いをして着席を促していた。
先程までの挨拶でこの男性はこの国の宰相で名前はヘントセンさん。
俺は思わず喉が痛くなりそうだなと思ったが、失礼なので顔に出さないように気を付けた。
そして改めて各々の自己紹介をしていったが俺が古龍の仲間入りをした事を聞くとエルフの人たちは驚き謝罪してきた。どうやら俺の事をどこかの竜人族か龍族と勘違いしたらしい。
しかし俺は「別に気にしてない」と土下座までしようとする人たちを止めていた。
「久しぶりです王太子、ではなく陛下ですね。」
「おお!やはり双槍の舞踊殿であったか!あの時は世話になった。」
「私もお久しぶりです。陛下。」
「朱霜の聖女・・・・殿」
一瞬周囲がざわめく。セルディス王も驚いていた。
先代とはいえアドラ神教の象徴たる人物であってドナクレア戦役停戦の立役者でも警戒するのは無理もないかもしれない。
しかし、リューからの説明により皆は安堵の吐息を漏らしていた。
侍女からのお茶が配られると再び話が始まった。
リューが一度殺されたことから始まり、俺との関係や経緯を話していく。
矢野氏や歴代の勇者、アーデルハイト嬢との経緯。
フィーグルから転移してきた勇者たちの愚行に地球からフィーグルへの転移、そしてここまでの話もした。
ヘティスハーク国の人たちは驚きそしてアドラ公国へのに憎しみを新たにしていた。
「いやはや、ドナクレア嬢もここまでで、ずいぶんな経験をなさって来たものだ。」
ヘントセン宰相は「すごいな」と言う一言を付け加えて椅子の背もたれに、もたれながら言った。
「それでは次にドナクレア嬢が戻ってくるまでの現在の戦況を説明いたします。」
そう言ってヘントセン宰相は壁に大きな世界地図を広げて同行してきた軍司令部の作戦部長に説明させた。
「まずはこの我々のゴラス大陸から説明を・・・」
――――――――――
フィーグルの最大の大陸であるゴラス大陸には中央に最大勢力のアドラ神聖公国があって南東に天使族が王のオッズベイ国。
南西に白獅子の獣族王が支配するザンパース王国。
北東にフェンリルの女性代表をするフェリエ共和国。
その隣山脈を挟みヘティスハーク王国がある。
アドラ公国は隣接するすべてに宣戦布告し現在も紛争状態にある。
ゴラス大陸の西側に位置する魔大陸。
ゴラス大陸に比較的近いドナクレア島。
これらにも宣戦布告し現在も紛争状態にあるが、2年前にドナクレア島領域守護者のドイン・ドナクレア始め継承候補者を討ち倒し現在は植民地の状態にあった。
北半球のジグ大陸、コーグ大陸。
南半球のモース大陸、シッペ島の3大陸1島があるが宣戦布告は受けていないが、緊張状態でどこかの国が支配された時には宣戦布告がなされる可能性を秘めていた。
そして現在ヘティスハーク王国隣のフェリエ共和国が、人族、天使族と一部のドワーフ族が反旗を翻し内紛状態。裏にはアドラ公国の影が見え隠れしている事から、共和国の陥落は時間の問題。
もう1つ以前より占領と解放を繰り返している魔大陸の属国の港湾国ローグインも陥落寸前と言う状況となっている。
どの戦局もアドラ公国が優位に立っており、その要因として勇者の参戦が影響を与えている。
勇者が持つ強大な火力によって少しづつではあるが国境を後退させていると言う。
――――――――――
「・・・以上となります。」
俺はよくもまあそんなに戦火を広げたと感心してしまった。
「2年前より悪化していると言うわけじゃな。それでも資金が良く持つの。」
リューは自分の故郷が、植民地にされていて悔しいだろうが一軍人として振舞っているんだろう。机の下に隠れている右手が強く握られ震えていた。
「戦争奴隷、及び住民も奴隷化しての売買、そして財貨の略奪、違法薬物、新兵器の鉄砲と大砲の闇取引が主に収入源になっています。」
「バカな!住民まで奴隷化させたら領地経営が成り立たなくなるぞ!」
「占領地はアドラの代官が経営領民はすべて占領地の奴隷です。」
「・・・・・なんてことだ。奴隷を馬車馬のようにこき使って死んだら新たに奴隷を据えるのか。」
作戦部長とリューの会話に思わず俺は「人口減るぞ」と思わず呟いてしまった。
「ミノル殿の言う通りです。その為なのか3週間前わが国に無条件降伏の勧告が来ました。」
俺の一言にヘントセン宰相は答えると、リューは「理由は?」と一言言って尋ねた。
「不当に扱われる奴隷と人族の解放及びアドラ神教を邪教と称する異端者の粛清だそうです。」
「自分らが不当に扱ってるじゃん。自分の事棚に上げてよくそんなバカげたこと言ってくるよな。」
再び宰相の言葉に俺は呆れ返るしかなかった。
「回答期限は?」
リューが再び宰相に尋ねる。
「今日から丁度1週間後です。」
俺は時間に余裕なのかそれとも逼迫しているかは分からなかったが、答えは決まっていた。
「その時だったのだ。先触れでドナクレア嬢が生きていると解ったのは僥倖であった。」
セルディス王が俺達に話してきた。
「フィーグルの守護者たるリュセフィーヌ嬢、ミノル殿どうかこの我に力を貸してほしい。お主たちが最後の希望なのだ。平にお願いする!」
俺とリューはお互いに見合いながら頷く。
「陛下、どうかお顔をお上げください。妾達はそこまでせずとも協力は惜しみません。こちらこそよろしくお願いしたい。」
リューがそう言ってセルディ王に笑顔で答えるのだった。
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