勇者達との決着
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今回から数話(現時点3話)展開が遅くなります。
拙い文章ではございますが、どうか楽しんでください。
俺はセリナに導かれるままに元身体に戻った。
だが何だろう?この腹から湧き上がるムカムカと言うかイライラと言うか・・・。
吉良に騙され、赤部に騙され、勇者にコケにされて、痛い目もいっぱい体験して、俺は何なんだ?何か悪い事をしたのか?
・・・そうかこの身体か、この身体になったからこうなったのか。
リューのせい?・・・一端はあるが違うな。
やはりあいつらのせいだ!俺の記憶にある。自分とは違う皆とは違う「異端」を排除しようとする世の流れ。
大きな力を持って自分が神になったつもりで理不尽を平気で押し通す奴らにそれの傍らに寄り添い同じく理不尽をする奴ら。
怒る、怒る、怒る!怒る!!怒る!!
そうだ!それらはすべて消してしまえばいい。そうすればまた暖かく、静かで、穏やかな暮らしがあるんだ。
それジャアケシテシマオウ
―ワガイカリトトモニ、スベテヲケセバ、アノセカイガマッテイルノダカラ―
俺は目を開ける。敵だ。敵があそこにいっぱいいる。
俺は叫んだ。腹の底に沸々と湧き上がる怒りを吐き出したくて力いっぱい叫んだ。
まだだ。まだ足りないこの怒りを何かにぶつけたい!そうだ、俺に理不尽な仕打ちをしたやつらにぶつけてやる!
「ルルルルルルル・・・コロス!コロス!ワガゲキリンニフレシモノヨ・・・ワガイカリヲウケトメヨ!」
身体が軽い。ものすごく力がわく。どれ、身体をめいっぱい動かしてみようかな。
ん?あの建物にいるのは・・・伊部だ!敵だ!遠い!身体に湧き上がる力の一つが届く!それ!
あれは?何十ヶ所も俺と同じ気配がする。そうだ!俺の身体をもてあそんで薬を作ろうとしたんだ!俺の安全と引き換えだったのに!許さない。約束は破られたんだ。全部処分させてもらう。それ!
いた!赤部と朝尾だ!呑気の酒飲んでるぞ。何か仲間もいっぱいいるな。許さない!それ!
少し気が晴れた。でもまだいる。すごく遠いところにいるから届かないな。行くか?いや、目の前にいる俺を怒らせたコイツ等を全部潰してからだ!
そして俺を怒らせた罰を受けてもらうんだ!そして目の前にあるもの全部壊して静かにさせるんだ!
ん?横で誰か喋ってる?だれだ?俺の怒りを止める奴らは・・・・ってリュー!リューだ!無事だったんだ!何?聞こえない。
「・・・・め・・の・・・・・のじゃ!」
「のじゃ?」なんだそれは?それよりもこいつらを!この世界を静寂な世界にするんだ!
「止めよミノル!怒りを鎮めるんじゃ!このままでは世界のすべてを滅ぼすぞ!」
当たり前だ!すべてを消して静かにさせるんーナビゲーション精霊覚醒します。宿主「古龍「理の司」」現在逆鱗状態にあり。鎮静化の為、魔導「静穏」展開ー
「ミノル!ミノル!ミノル!妾じゃ!リュセフィーヌじゃ!ほれ、妾は何ともないじゃから落ち着いてたも。後生じゃ。な?ほら。良い子じゃ。いいこじゃ。」
リューは俺の目元でしがみつきながら、あやす様に頬を擦り付けている。
『・・・・・リュー?』
「!!そうじゃ!妾じゃ!戻ったか!ああ、良かった、いい子じゃ。」
俺は!・・・・・あれ?何だったっけ?あいつらぶっ飛ばして・・・そうだ!赤部やあいつ等の事で頭にきて、そして潰しておかなきゃならないんだと思っていたんだが、なんであんなに頭に血が上っていたんだろう?
一生分キレたような感覚だ・・・・今は落ち着いたな?・・・よし!
『リューもう大丈夫だ。』
「そうか、よかった。ヌシは「逆鱗」と言って人族で云えば「堪忍袋の・・・」なんじゃったかな?怒りが収まらない状態になっていたのじゃ。最悪な場合この世のすべてを破壊しても収まらなかったはずじゃ。ホントに良かったの。」
そう言ってニッコリと笑って俺にスリスリと頬を寄せるのであった。
『ああそれなー』―ミノルさん、私の事は今は内緒にしてください。後で姉様には私からきちんと話しますので、お願いします。―
セリナは俺の脳内にそう話しかけぺこりとお辞儀をするイメージが浮かんだのだった。
リューは「?」と首を傾げて俺を見ていたので『何でもない大丈夫』と答えてから、改めて勇者達を見下ろしたのだった。
それでも龍化の記憶があるとはいえ目線が高くて見下ろすのがすごく大変だと思った。
『それで?形勢は逆転したわけだが、許されるとは思っていないだろうな?』
彼らを見ながら声を掛けると「ビクッ」と跳ね上がらんばかりに勇者たちは反応した。
「龍化したところで負けるわけがねえ!くらえ!」
勇者マサノリが果敢にも片手にアサルトライフル、片手にパンツァーファウストとハリウッド俳優真っ青の装備で攻撃してきた。それにつられて他の兵士や勇者ケンタ、アントニオも攻撃してきた。
『なあリューさん?』
「なんじゃ?」
『初めから龍化で戦えば、余裕で勝ったのではないのでしょうか?』
「それは当たり前じゃ。じゃがヌシは龍化はまだ先じゃったはずなのじゃ。だから人型で戦うしかなかったんじゃし?妾だけで片付けてしまえばヌシは成長せん。出来るうちに経験は積んでおかねばの。もしもの時は妾も考えてはおったのじゃぞ?」
「もしもがあったんですが」と言いたかったが、あえて口には出さずにそのまま攻撃は受けていたのだが、一向に止む気配がない。
痛くはない、だが痒いのだ。何というか触るか触らないかのあの感触、ムズムズしてしまっていた。
痒いのでムズムズしていると、
「おっしゃあああああ!効いてるぜえ!ドラゴンなんて勇者に掛かればこんなもんだぜ!」
「フハハハハハ!女神の使徒の力は偉大なり!」
・・・だめだこりゃ。
状況をよくわからないのだろう。他の兵士も「おお!」とか言って益々攻撃が激しくなっているのだが、やはり痒い。
『矢野さん、アーデルハイトさん。手を下ろしますのでそれに乗ってください』
「あ!はい!」
「あら~それじゃお願いね~」
攻撃は無視をして2人を手に乗せてそのまま頭の上に乗るように導いて乗ってもらった。リューは既に移動していた。
「ゴフ、な、何故、生きている?勇者からもらった石は効いていた、の、に」
よろよろと吉良が俺に向かって歩いてきたのが見えた。
『お前のおかげで、この力を得たわけだ。ある意味感謝か?吉良さん?』
龍になったせいだろうか?憎いとは思っても殺そうとは思わなかった。オーバーキル確定だから慈悲の心が出たからか?とも思っていた。
「ゆうううしゃあああ!うそつきいい!確実に葬れるっていうから私は協力したのにいいい!!!!」
『うるさい』
そう言って踏み潰してしまった。・・・前言撤回。
哀れ呆気なく逝ってしまった吉良を尻目にそろそろ決着はつけねばと勇者と皇子を除いて、敵兵士たちへ「土創造」「狼」「軍団」を展開。
おお!行使紋なしで考えただけで500匹のアスファルト製で体長1mの狼軍団が出来た。
―ミノルさんは「軍団」を行使しても現在40がやっとでしたのでフォローしておきました―
セリナはそう言っていたので「ありがとう」と口に出さずに礼を言っておいたのだった。兵士達は襲ってくる狼軍団に驚きながら銃を撃っていくが、ほとんど効かず、のどや腹を食いちぎられ絶命していった。
そして最後に残った勇者と皇子を見下ろしながら俺は言う。
『お前たちの攻撃は効かない。痒いだけだった。それでどうだ?最終的には逆の立場で数の暴力に翻弄された気分は。』
「ちくしょおおおおお!」
装備がボロボロになっても勇者マサノリは挑んできたが、俺は「光帯」で三日月型の刃を20個展開して襲い掛からせた。マサノリは数枚破壊に成功したが、「聖剣」が堪え切れなくなり折れた。
続けざまに両腕、両足に刺し抵抗できなくした。
『最後に言う言葉は?』
「助けてください。もうこんなことしませんから。許してください。」
『・・・そう言ってくるフィーグルの人達も助けてやるべきだったな。』
俺はそう言って首をはねた。首は地面を転がり頭をなくした身体は力なく地面に倒れた。
『次』
と俺は間髪入れずに言い放つ。
「なぜだ!なぜ神の偉大な武具がこうも魔龍に効かぬのだ!」
『己の私利私欲のためには、力は貸さないんじゃないかな?』
「・・・いくらだ?金はいくらでも払う!降参だ。捕虜としての待遇を要求する!」
『無理』
そのまま首をはねる。
『つg』「ちょっとまてミノル」
リューはそう言って頭から地面に降りていく。勇者ケンタはへたりと地面に尻をつき「たすけてくれ」と連呼していた。
「勇者ケンタよ。貴様「空間収納」をもっておるな?」
ケンタにスタスタと近づきながらリューは「空間収納」という言葉を聞いていた。
―「空間収納」は時空と時空の境目にある隙間を利用して武具やアイテムなどをリュックやバックを利用しなくても魔力の大きさに比例した量を収納できる「魔法」です。魔術師以上であれば訓練次第で取得できます。―
「ありがとう」とセリナに行ってリューとケンタを見る。
「あ、ああ、転移の時に女神から「スキル」でもらってる。」
「ならば魔法袋を持っておるな?」
ケンタは「持っている」と言った。
―魔法袋は魔力に関係なく決まった収納力しかないですが、だれでも使えると言う事で広く普及しているアイテムです。しかし価格が一般人では買えない金額になっています。―
「なるほど」と答えて見ていると、ケンタはいきなり右腕を空中に手を伸ばすと手首から先が消えた。
俺はビックリしながら見ていると消えていた手が現れてウエストバッグのような「モノ」を持っていた。
「中身は貴様の「収納」へ戻せ。そしてヌシの登録を解除しろ。」
ケンタは言われたとおりにバックの横にある黄色の宝石に触れると宝石が緑に色が変わって「完了した」とリューに告げた。
「これでいいのか?俺は解放してもらえるんだな?」
そうケンタは言うと
「そんなわけなかろう。」
その一言の後にケンタの首がはねられた。
俺はやり取りの間も周囲を警戒していたが警察どころか援軍も来ない・・・いや、遠巻きに囲んでいるのか?それとも何かの統制でもかけられているのだろうか?と思いながら見るとリューが皇子の死体をゴソゴソと探り始めた。
『ちょ、ちょ、ちょっとリューさん?死体からの泥棒は何というか・・・』
「遺体からの財産は勝者に権利があるんですよ。」
「そ~そ~向こうじゃ常識なのよ~。」
矢野氏とアーデルハイト嬢が「常識ですけど、何か?」と言うような顔をしていたので『ソウナンデスカ』と返事を返すしかなかった。
「あった!これか!今も魔素をどんどんと・・・・・・ってこれはまさか!」
何を探り出したのかは俺にもわからない。多分魔導関係の品だと思うがリューは手にした豪華な首飾りを見てうれしそうに目を輝かせていた。
―セリナ。人型に戻る方法を教えてくれ「身体構成」展開しても、戻れないんだ―
―わかりました。では「身体構成」と「擬装」を展開してください。「擬装」の教授完了しました―
俺は矢野氏とアーデルハイト嬢を頭から降ろして「身体構成」と「擬装」を展開して人型に「擬装」した。
そしてリューの元へと近づきどんな物かを見せてもらおうとした。
リューが俺に気が付いてネックレスを見せてくれた。
真ん中に10㎝の青い宝石、そして左右対称で赤い6~7㎝の宝石、一回り小さい赤の宝石、最期に無色透明の3㎝位の宝石で合計7個が台座に付けられ銀の細い鎖を編み込んだ太めの鎖で繋げられていた。
「これは?」とリューに聞くと喜びながら答えた。
「確立としては、ほぼ確定じゃな。これはな?フィーグルに戻るための魔「導」具じゃ!しかもこの龍結晶はな兄上なのじゃ!」
この首飾りが兄上と答えるリューから詳細を聞くと真中の龍結晶は次兄の「グイン・ドナクレア」の命の雫が溶け込んだ魔石だそうだ。
今回の戦闘において、多少?の苦戦を強いられたのは周囲の魔素が薄くて魔導の展開に影響があったと言う。
そして魔素の流れを「観る」と皇子のウエストポーチにリューと同等の魔素の支配力を持っていたので龍結晶であると推察。
だが皇子は戦闘では使用せず、そのまま魔素吸収の状態。
とすれば、魔素を大量に貯め込んで大規模な魔法に使用され、且つ皇子達が帰還する溜めに必要な「何か」とすれば、リューが手に持つ首飾りの他にはないと言う事である。
また、残念ながら龍結晶の次兄は蘇らないそうだ。心臓にある魔石に命の雫が溶け込むと魂魄は物質となってしまいもはや輪廻の輪からも外れて「グイン」は消滅するそうだ。
「龍結晶の横に並ぶのは帰還のための魂魄が封じ込められているのじゃ。これは使うわけにはいかぬ。むこうの世界の輪廻に返してやらねばの。」
「そして最後に」と、リューが勇者から取り上げた「魔法袋」の口を開き勇者2人と皇子の遺体を収納した。
「戦いに敗れて戦死した人を敵に送らねばならん。特に国の重鎮たる人族がいた場合は。昔からの「不文律」じゃ。最も、アドラはほとんどしないがな。」
また、リューは自分の血液から「魂魄封じ」の疑似的な石を作成えいていて今回と前回の魂魄を封じ込めていると言う抜け目のない事をしていた。
・・・・グッジョブである。
但し、魔素が貯まっていないので3~4日は必要らしいし、その間に本物なのか詳しく鑑定もできるから一石二鳥だとも言った。
「それじゃあ、何処かの温泉宿に泊まり込むとしますか?」
「身体構成」と「認識阻害」さえ展開しておけば、厳しい捜査でも最長で一週間は隠し通せるから大丈夫かな?とも思っていた。
「僕も既に自宅は引き払ったからね。」
「私は~年がら年中根無し草だしね~。」
こうして、フィーグルへ転移するまでの間、潜伏することを決めたのであった。
「ちょっと待ってくれ。俺の勝手ですまないが、立ち寄らせて貰いたい所があるんだ。地球でのケジメをつけたいんだ。」
そう言って皆にお願いをすると快諾するのであった。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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次回「渡った世間は鬼ばっかりじゃなかったんだ」
次回も楽しみにしていただければ幸いです。
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