再会と勇者の帰還
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少々長いですがお読みいただけると幸いです。
拙い文章ではございますが、どうか楽しんでください。
俺とリューは市ヶ谷の建物から飛び去ってホテルへ帰ってきた。
もちろん人目の付かない所で身体組成で目立たないように羽とか尻尾は消しておいたさ!
そして風呂に入ってホテル内のレストランではなく、ホテルの近くにある居酒屋に俺達はいた。
「お疲れ様でした。リュー、サポートありがとうな。」
「なんのなんの!ミノルは十分に戦えていたの。」
そう言ってビールで乾杯をした。俺は身体は9歳でもすでに45歳という年齢になっているが、ホテルのレストランは個室もないので、俺が酒を飲む事が出来ない。
と言う事で居酒屋なわけだ。
「でも何だったんだろうな。あいつら。」
「むう、あちらの世界にもおるぞ?同じような輩がごまんとおる。」
まあ、何処にでもいると言う事だな。
そういえば、「復活」を使っていたなと思い出していた。「復活」と「蘇生」は全く違う。
死亡から生き返ると言う事は同じだが「蘇生」は腕がなかったりと身体部位に欠損があると生き返りはするが欠損部分がないまま生き返る事で、致命的な欠損がある場合は使わない方が良い。
「復活」は魔導寄りの魔法で欠損どころか身体が半分無くても「再生」させて生き返るのだ。
しかし、これには触媒として1人分の魂魄が必要になる。
「蘇生」は膨大ではあるが魔力さえあれば行使は可能だが、「復活」は事実上1人と魔力が必要になる。
「あれだけの復活って何処から触媒を持って来たんだ?」
「簡単じゃ。これの前に死人がたくさん出たじゃろ?未だに留まっておった魂魄がいたのでな?使わせてもらったと言う事じゃ。」
俺は「ああ、なるほど」と言って納得するのだった。
居酒屋でさんざん飲み食いをしてホテルへと帰り、ベットで寛ぎながらテレビを見る。
市ヶ谷での騒ぎはニュースで流れていたが、閣僚などが集結した時などの場合にテロが発生したとの想定で訓練がなされた。
「ほほう。あのアカベという総理も考えたもんじゃの。」
「俺達の事は触れていないね。でもネットでは大騒ぎになってるね。」
リューにネットで掲載されている画像を見せる。「も少しきれいに撮ってほしい」と、ぶーたれていたが俺とリューが並んで歩行している最中にコレだけ綺麗に撮れていればいいんじゃないかな?と思っていたりもした。
翌日、大臣の秘書経由で連絡をしておいた俺達は返答待ちの状態で、スーパー銭湯に来ていた。
どうやら「エステ」にハマったらしい。普通のエステに行けばいいのでは?と言ったら
「料金が高いだけじゃ!スーパー銭湯にある「えすて」と何にも変わらん。それに御馳走もあるし薬湯なんかに浸かるとな、えもいわれん極楽なのじゃ!」
そちらもお気に入りの理由だそうで、異世界にも、勇者が伝えた大衆浴場があるらしいが、地球の方が、設備が充実していると言った。
もしかして、ただの「銭湯」だけじゃないのかなと俺は思っていた。
スーパー銭湯の個室を借りてゆったりしている所で俺は一つ聞いてみたいことがあった。
「なあリューさん?フィーグルには戻るつもりはあるのかな?そして戻る方法があるのかな?」
イチゴ牛乳をクピクピと飲んでいたリューがコトンと瓶をテーブルに置いて言った。
「こちらに来たのは偶然が重なってじゃが、本来は可能じゃ、じゃが使いたくない。」
何と異世界に渡る方法はあったが、片道で150人の生贄が必要となる。しかも転送みたいに魂魄だけでなく、最低「術師」以上の魔力を携えていて肉体ごと必要になるという。
しかも決められた異世界を固定するためには更に倍の人数が必要になるというとんでもない代物だった。
じゃあ「アドラ神聖公国」は?と聞くと13年に一度の星の配置と神族との契約で召喚時には、連中が輪廻の輪からいくつかちょろまかして使うらしい「チート(ズル)」をしでかしているとの事。
「んー。1個人を消滅させなければ使えない術か・・・知識では必要かもしれないが、使いたくない代物だな。」
しかもこの地球にどれだけ「術師」以上の能力を持っている人なんて判らないし、科学が発展したこの世にいるかどうか判ったもんじゃないからな。
「その他に方法は?」
「あるの。極めて低いが神族の使っている方法を逆利用する方法じゃ。」
地球とフィーグルの異世界越えの回廊は存在しているのでランダムな異世界越えにはならない。
その回廊を使用することにより、魂魄のみの使用なので生まれ変わることの無い魂魄を回収して使うから現在の生を謳歌する人たちには影響がない。
しかし問題なのはどこに回廊が発生するかと、地球との時間のズレでフィーグルの星の配置がいつなのかが分からない事。
「難しいな」と俺も頭を抱えたくなってしまう。地球にとって俺とリューはどこからか紛れ込んだ異物。伝説の世界のようにおいそれとは存在できないのだ。
伝説だとほとんどが討伐対象だし戦いは怖くはないが俺だって争いがなければ、それがいいに決まっている。
「いっそ伝説の地にでも訪ねまくって手掛かりでも探した方がいいのかな?」
俺は何か方法がないか考えていると「そんなことよりえすてじゃ!」とリューはいしそと部屋を出て行ったのであった。・・・・花より団子?
1週間後、俺とリューはとある有名ホテルの中にある料亭にいた。
スーパー銭湯から帰った俺達はホテルの従業員から1つの封筒を受け取っていた。
封筒の中身はホテルの宿泊と料亭の案内だった。
多分この間の「席を設けたい」の事だろうと思っていた。
「しかし落ち着かんな。俺こんな高級な所って全く縁がなかったからな。」
「ミノルは勉強せねばなるまいな異世界に行くと妾達は王族や皇族と同等の存在なのじゃから、お呼ばれした時のマナーとか身に着けておかねばならぬの?」
そんな会話をしていると赤部総理大臣、伊部防衛大臣そしてなぜか朝尾財務大臣が来ていた。
「数日ぶりです赤部総理、伊部大臣そして初めまして朝尾大臣」
リューが席から立ちあがり丁寧にお辞儀をしながら挨拶をしていて、俺はビックリしながらもリューに合わせて挨拶をしたのだった。・・・・いつの間に。
「ああ、堅苦しい挨拶は抜きにして今日は存分に楽しもうじゃないか、我々も明日はオフになっているからね。それにしてもすごいな、見た目では日本人と変わりがないな、リューさんとお呼びすればいいのかな?」
「それではお言葉に甘えまして失礼いたします。私の名前はリュセフィーヌ=ドナクレアと申します。フィーグルのドナクレア島を領域としていた古龍の生き残りです。」
すげえ!リューさんすごいです。日本式の礼の仕方ってそうやるんだ!知らなかったよ!
日本人であった俺は「マナー」なんて知らなかったしなんかもうびっくりしっぱなしじゃな!
・・・・あ、伝染った。
「やあやあ、君が勝良君かい?初めまして朝尾次郎だ。今日は赤部君に無理を言って参加させてもらったんだ。」
「あ、ども」と俺は握手を求められたので不甲斐無い返事をしながら握手を交わすのだった。
伊部大臣とも挨拶を交わし「あの時は失礼しました」とお互いにぺこぺこしてしまったが、遠征はこうして始まったのでした。
食事をとりながら、リューの世界の話、勇者達の話そして今現在の暮らし。時には悲しんで、時には俺達にために怒ってくれて、初めは堅苦しかったが、お互いに打ち解けて行き話は進んでいく。
「いや、な、この間は殺す殺さないだったが、日本の常識の中では理解が出来ないというのが正直な話だが、私の中では納得したつもりだよ。」
赤部氏はにこやかに言った。俺も勝手な言い分ばかりだったし世間を騒がせて申し訳なかったとの趣旨を話しはした。
俺たち以外の話をすれば、この件にかかわっていたのは、あの6人の他に内閣調査室と関連派閥だった。
調査室は関わった人員全て解雇。もし外部に漏らした場合は命の保証なしとなった。
同じく関連派閥の議員はこういう時のためにとっておいた「スキャンダル」をネタに議員を辞職。同じく~の保証はない。
以上で決着した。
そして日本人の戸籍については復活はマスコミに騒がれるとお互いにまずい、ので新しい戸籍を用意してくれると言ってくれたが、もはやこの体で異世界に渡る趣旨を伝えた。
この3人普通なら「頭がおかしいんじゃないか?」という内容に中々どうして理解を示す人たちだった。
「そうか、異世界には戻れるのかい?」
「方法はあるんですが、困難なことは間違いはないかと・・・」
そして赤部氏はこうも言ってきた。
「もし異世界との行き来が出来るならば、日本との国交を模索してくれないだろうか?」
そんなことを言ってきた。リューが「多分それが一番の交渉理由だ」と顔はにこやかにしていたが、念話で俺に教えてくれた。
もしかすれば、エネルギー資源や金や銀などの経済資源も獲得できるとなれば、確かに数十名の命なぞ風前の灯火ってやつか、と政治の世界は怖いと感じるのだった。
リューはまた「良いんじゃないか?」とも念話で言ってきた。
しかし現在の状況を話した結果「もう少し安易な行き来が出来るようになったら」という条件で提案してきたので、リューは「了承いたしました」と言質を取ったのだった。
そして宴はまた明るく進んでいくと朝尾氏が
「ところで2人とも「魔法」は使えるのかい?是非とも見てみたいのだよ。」
と言ってきた。
なんでも連中が隠していた監視カメラの記録が最近発見されて、それを見た時に何もないバスが動いたり吹き飛ばされたりと不思議だったと言った。
俺はリューをチラッと見たが、コクリと頷き「それでは番のミノルがお見せします。」と言ってきた。
「俺かよ!」と思いながら「術」程度ながら手のひらから火を熾したり、風、水、土の「術」を披露した。
朝尾氏は見るたびに興奮しておりいたく気に入った様子だった。
「つ、次にですな、龍の姿を見せる事は出来ますかな?」
俺は「ぎょ」っとしながらもリューを見たが「良い」と頷くので「身体組成」をかけて元の姿に戻る。
朝尾氏は「ふおおおおおおおお」と言いながら「触っても?」と言ってきたので「どうぞ」と言った。
もう尻尾から羽から龍角もペタペタと触って鼻息が荒くて怖い。
「すまんな、朝尾君は漫画が好きでな、カメラの君が映った姿を見た時はすごく興奮してしまって、今回もどこから聞いてきたのか「是非参加させろ」と言ってきかなかったものでな。」
そう赤部氏はすまなそうに言いながらも俺の羽をペタペタ触って「すごいな」と言った。
最後には「私も是非」と伊部氏まで参加してジジイ3人に触られまくるという恐ろしい光景になってしまった。
「物語で出てくる幻想生物には心惹かれるものだ。」
と3人はつやつやした顔で「満足した」と書いてあってもおかしくない表情だった。
酒宴も終わりに近づき赤部氏はある包みを俺達に渡してきた。
開けてみると「スマホ」だった。
「これはあなたたちに何かあった時のために用意させてもらった。自由に使ってほしい。そしてホテルもそのまま宿泊しても構わない。君から許してもらった「試料」は現代の医学では画期的な治療薬になる。完成すれば日本の医学は世界のトップに躍り出る事も可能なんだよ。その先行投資だな。」
朝尾氏は「試料」によってこれから起こるであろう経済効果が計り知れない事を告げて、その報酬であるっ告げた。
「コレでも安いくらいだよ」とウィンクをしたのだった。
・・・・ジジイのウィンクはなんかいや。
そして最後に伊部氏が告げてきた
「次にだが、君との連絡役として「彼女」をつけさせてもらうよ。」
そう言って隣の部屋であろう襖が明けられると「彼女」は正座をして指をつき頭を下げたまま微動だにせず、そこにいた。
「吉良仁美君だ。っと、ああ!警戒しなくてもいい。もはや彼女は敵ではない。」
彼女を見た途端リューが警戒をあらわに龍角を出しており、術式展開の「キンキン」と角が音を立てていた。
頭をあげた吉良は見る影もなく目に隈がハッキリと出ており弱弱しい小さい声で「宜しくお願いいたします」と言ってきた。
どうやらあの記憶は消えずに毎日悩まされているようだ。
・・・・ざまあみろ!
伊部氏曰く、件の問題があったにしろ「龍」の体に詳しく体に異変があった場合、医療行為において彼女をおいて他にはいない事。
曲がりなりにも組織の隊員で戦闘における訓練も積んでいて、さらに今回の任務の為にSPとしての訓練も積んできたという。
リューは落ち着きを取り戻し
「そういう事ならよかろう。妾も鬼ではないのじゃからな。もしものことがあったら容赦はせんぞ?」
そう言って吉良を受け入れ、吉良は「はい、覚悟はしております」と言ったのだった。
赤部氏ら2人もホッとした表情をして、これにて酒宴は終了したのだった。
「おお、すげえ・・・・・」
翌日から、総理のお言葉に甘えて某ホテルを利用させてもらう事にした。
ただ案内を受けたのはスイートルーム。
あまりに豪華すぎて俺は落ち着かなかった。リューは「妾の自室くらいじゃな」と言っていたが、この子はどんだけセレブなのかしら?・・・・などと思ってしまった。
吉良には同じ部屋に泊まり込んでもらうようにした。
俺は嫌だったが
「妾達を守るのならば別の部屋にいては困るのじゃ。」
リューさんの鶴の一声に俺は逆らえることも出来ず、どのみち1部屋空いている事だしそこに泊まり込むことになった。
だがここで問題が発生。俺が刷り込んだ記憶が悪夢となって毎晩うなされてしまう。
そうすると俺らも寝不足になってしまいリューに頼まれて嫌々刷り込みを消した。
・・・ドラゴンって敵でも仲間になると寛容になるのかな?
吉良は涙を流しながら「ありがとうございます」と膝立ちでまるで紙にでも祈るような姿勢で礼を言われて気持ち悪かった。
よほど寝不足だったのか、それから3日間眠り続けたのでした。
それから2週間が過ぎた。
ガチムチのおっさんはまだ沖縄にいた。
多分結城の件でそのまま滞在になったのかそれとも、元々沖縄がホームなのかは不明である。
吉良に聞いても彼女は案内役だったらしく詳しくは知られていなかったという。
こんな事ならヤツの部下1人くらい生かしておくべくだったかな?とリューと2人で反省していた。
そうして日がな1日を過ごしているとリューの雰囲気が少し変わっているのに気付いた。
俺はどうしたのかと、リューに声を掛けようとすると、
「ミノル。もしかしてフィーグルの勇者が地球にいるのかもしれんの。」
「なんだって!じゃあ敵が向こうから来たと言う事か?」
「いや、正確に言うなら(元)勇者じゃ。」
そう言いながら、俺が良く見るWeb小説を見せてきた。
前はたまに暇つぶし程度だったのだが、最近はリューも読むようになっていた。
「この作品を読んでみよ」
俺は指定された作品を読んでみるが、いつもの転生物の小説だった。
「これが何か?」と尋ねると
「この作品の世界観がフィーグルの世界とそっくりなんじゃ」
そしてリューは語る。
Web小説でも普通の転生、転移物は「チート」で「無双」で「スローライフ」か「めんどくさがり」だそうだが、これはフィーグルで勇者になったが、敵国が可哀相すぎて勇者達を裏切り敵となって戦う物語で、ある人物にそっくりなのだという。
「これでは老衰で死んでしまったが、あヤツは行方不明になっている以外は相違がないのじゃ。」
「そうすると地球に戻って来てこの小説を書いたと?」
「そうじゃ。もしそうならばフィーグルに帰る手段を何か知っているかもしれんの。」
手掛かりをすべて探ってみるかと、この間話をした手前とりあえずコンタクトを取ってみようと試みるのだった。
作者にメッセージを送るための入力フォームに『フィーグルについて聞きたい。』と1文だけ。
数時間後、メッセージが返ってきた。内容はこうだ
『メッセージありがとうございます。
フィーグルについてですが、貴殿がどうしてこのワードを知っているのか大変興味があります。
つきましては・・・・・・・・』
「「びんご」じゃ!」
リューはそう言って翌日、本人に会うために準備をしておいた。
俺とリューは翌日待ち合わせ場所に向かいそして見つけた。青い帽子にグレーのセーター、そして茶色のカーゴパンツ。手には自分の文庫本。
俺は彼に近づき「ジミーさんですね?」と声を掛けるとその人は俺に気が付き「はい」と返事をした。
「初めまして私はカツラミノルと申します。突然のメッセージに驚かれたと思いますが。」
「ええ、ええ、懐かしい名前です。貴方はもしかしてフィーグルからの「迷い人」なのですか?」
「いえ、違います」とジミーという人物に伝える。そして俺達が滞在するホテルに案内をしてロビーで待つ事10分後。
「やはり貴様だったか「ヤーノ」久しいのう。」
リューが彼の事を「ヤーノ」と呼び、ジミーは「え?」と後ろを向くと「ドナクレア嬢?」と言った。
そして彼は席を立ちリューに向かって歩いて行きリューが差し出した手を両手でしっかりと握って嬉しそうな顔をしていた。
「お久しゅうございますドナクレア嬢!12年ぶりです!この地球へは何故に?」
「12年か、いや時間のズレがやはりあるな。妾の時間では57年ぶりじゃ。」
「57年・・・」ジミーはものすごく驚いていた。「ここでは」と俺が2人を俺達が泊まっている部屋に案内をした。
「改めて、久しいのヤーノよ。壮健であったかの?」
「はい。おかげさまで。ドナクレア嬢もお元気そうで何よりです!それで話は戻るのですが、どうして地球へ?」
そう聞くヤーノにリューは語った。
ドナクレア島の占領、家族全員の死亡、自身の肉体の事、再生の事、そして勇者の悪行を、今までの経緯を。
それを聞いたヤーノは「まさかそんな・・・」と再び驚いていた。
「じゃが良い事もあったの。妾の番を得る事が出来たからの。」
「そうですか、悪い事ばかりではないのですね。あっとそうだ初めましてミノル殿。第47次勇者の矢野英二です。」
こうしてフィーグルの関係者に出会う事が出来たのでした。
そして今度は矢野氏の経緯を聞いた。
第47次勇者召喚計画
矢野氏の他にオオコシ・ナオキ、コイマ・ミヨの3名が召喚された。召喚された直後はドナクレア島との戦争が始まりで2年後停戦条約が締結され、ドナクレア島との交易や近隣諸国への天災級の討伐遠征などのクエストをこなしていた。停戦の5年後にリューと初めての出会いがあり、友人としてドナクレア家に招待されたり、公国との橋渡し役として日々を過ごしていたそうだ。
ところがある日公国が魔王国の港湾国との戦争を起こした。今代の魔王は瘴気に害されてはおらず、平和王として君臨しており何故宣戦布告をしたのか疑問に思ったそうだ。
調べた結果、宗教の拡大、大きくなった公国の労働力確保に沿岸の小国に白羽の矢が立ったという理由だった。
小国は獣人の国で漁業が盛んで穏やかな国だったという。身体能力が人族よりも高く奴隷として高く売れるそうだ。
獣人は通常、力が正義として好戦的だが、この国は争いを好まず他国に迷惑をかける国ではなかった。
このことを当時の公国代表の大公に進言したが、取り合っては貰えず、戦火を広げる公国に嫌気がさし、出奔して小国に味方をして公国と戦った。
戦争も終結に近づいたころ小国で3つの村人が全員消える誘拐事件が発生し犯人は公国で村人を助けに公国へ救出チームと乗り込んだが、実はこれが罠だった。
兵力として最高の火力を持つ勇者が邪魔だった。そして誘拐した村人から魔力持ちを選び送還術の魔法陣へおびき出し救出するはずだった村人を犠牲に地球へ送り返された。
そして現在に至る。
「僕も愚かだったんだ。勇者だから大丈夫だって驕りがあったんだ。もう少し注意していれば村人は死なずに済んだのに・・・。」
「そうじゃったのか。妾はてっきり殺されてしまったのか、どこかで幽閉されているものじゃとばっかり思っておったの。」
2人が話す内容に少し重くなってきたので、気分転換にお茶でも飲もうと提案し、テレビをつけた。
『えーここで速報が入ってきました。4年前学園でクラス全員が行方不明になっていた事件で進展があったようです。』
俺はそのキーワードに「ん?」と思わずテレビに釘付けになった。
『こちら中継です。ただいま病院にて入院中の3名の少年ですが、4年前にクラス全員が神隠しにあったように忽然と消えた事件がありましたが、その21名の内の3名であることが判明いたしました。これにつきまして・・・・・・・・・・・・』
「なん・・・・・・じゃと・・・?」
俺達はそのニュースに固まったままになるのだった。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ブックマーク、評価をいただき誠に有難うございます。
ポイントもどんどん上がって、とてもうれしく感謝の念に堪えません。
皆様の期待に沿えるように頑張っていきたいと思っております。
また次回も楽しみにしていただければ幸いです。
翌 7時投稿です宜しくお願いします。