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赤い髪の冒険者と季節の女王様  作者: Lika
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 湖の神様(魔人)の元に訪れた冒険者達。


幸いにもナゾナゾに正解し、春の女王の呪いを解除してもらえる事になりました。


もっとも正解したのは私なんですけどね。


「結果オーライだ」


冒険者は偉そうに踏ん反り返っています。役に立たないんだから。


「うるせえ!」


『じゃあ解呪するふ。動いちゃだめふよ』


巨大なビーバーは前歯を春の女王の前に突き出しました!


咄嗟にクエレブレはビーバーの頭に牙を突き刺します。


『い、いたいふ!』


『す、すまぬ……つい……』


ビーバーは頭を抑えつつ、気を取り直してやり直します。


『動いちゃだめふよ』


巨大なビーバーは前歯を春の女王の前に突き出しました!


咄嗟に冒険者は巨大な植木鉢を召喚し、ビーバーの頭の上に落とします。


『い、いたいふ!』


「ごめん、つい……」


ビーバーは頭を抑えつつ、気を取り直してやり直します。


『動いちゃだめふよ』


強大なビーバーは前歯を春の女王の前に突き出しました!


……………


『何もしないふ?』


「してほしいのか……」


ビーバーは拍子抜けしながら口を大きく開けます。


すると春の女王の体から黒い霧が出てきます。それを吸い込むビーバー。


『おわりふ。呪いは僕の大好物ふ』


「マジか、見かけによらず役に立つな」


冒険者と違って役に立つビーバーを称賛する一同。


「余計な御世話だ!」


しかし春の女王の表情は曇ったままです。呪いを解除してもらったのに嬉しくないのでしょうか?


トラゴロウは疑問に思い、春の女王に尋ねます。


「どうしたの? もっと嬉しそうにしたら?」


春の女王は俯きながら答えます。


「じ、実は……冬の女王にも同じ呪いが……アーヴァンク様! 王都へと赴き冬の女王の呪いを解除していただけませんか?!」


それを聞いた冒険者達は驚きを隠せません。


「ちょ、まて! なんだと?! 冬の女王も同じ呪いに掛かってるって……」


『なんと……それは我も初耳だ』


ドラゴンですら知らない事だったようです。


春の女王の頼みを聞いてビーバーは渋い顔をしています。


そりゃそうです。王都には騎士が沢山います。


「まあ、王都に行っても袋叩きにされるだけだ。冬の女王を連れ出すしかないが……」


しかし塔から出れば冬は終わってしまいます。


そうなれば冬の女王は命を落としてしまうのです。


『王都には行けないふ……人間にでも化けれたらいいんだけどふ……大魔法師様じゃあるまいし、僕はそんな事できないふ…』


『大魔法師……確かにバルクイナ様クラスで無ければ無理だな』



魔人は人間に化けて街に入りこみ、人々を襲う事もあります。


中には人間達に溶け込んで生活している魔人も居るくらいです。


ですが、人間に化ける事のできる魔人はごく一部。巨大な力を持つ魔人で無ければ出来ません。


バルクイナとは魔法を編み出した一人の魔人の事です。


その力は大地を形成し、この世界を作ったとも言われています。



冒険者は頭を抱えました。折角春の女王の呪いを解除したのに、これでは冬の女王と交代させる分けには行きません。


「なんで……あの時言わなかったんだ……分かってれば……」


冒険者は初めて冬の女王と会った時の事を想いだしました。


そういえば、国民や王様にも知られる訳には行かないと言ってましたよね?


「そうだ……なんでだ……?」


冒険者は春の女王へと尋ねます。


何故国民や王様に相談しなかったのかと。


「それは……」


春の女王は表情を曇らせました。再び黙りこんでしまいます。


そんな春の女王に冒険者はイラっとしました。


「おい、アーヴァンク。呪いは誰が掛けた物か分かるか?」


『んー? そうでふね、この独特な風味は……』


アーヴァンクは首を傾げながら考えます。


『きっとドラゴンでふ』


一同はクエレブレを睨みつけました。


慌てて首を振るクエレブレ。


『ち、違う! 我は呪いなんぞ掛けとらん!』


「じゃあ誰なんだ」


冒険者は再び春の女王へと尋ねます。


「い、言えません……これ以上……皆さんを巻き込む訳には……」


『あ! わかったふ! この風味はファーブニルの呪いだふ!』


ビクっと反応する春の女王を見て、冒険者は確信します。


「ファーブニル……今はこの国に居るのか?」


『居るも何も南の火山がファーブニルの家だふ。でもなんで女王様に呪いなんて掛けたんでふ?』


春の女王は震えていました。


次第に大粒の涙を流して泣いてしまいます。


「ごめんなさい……ごめんなさい……」


謝りながら泣いてしまう春の女王。しかし冒険者達は頭を傾げます。


「泣いてちゃ分からんぞ。ファーブニルに何か言われたのか?」


春の女王は泣きながら訴えるように冒険者へと話しました。


呪いを掛けられた時の事を。


「去年、秋の女王が塔に入っている時……私と冬の女王は共に過ごしていました……でも、そんな時ファーブニルが夢の中に出てきて……財宝を返せと……」


冒険者はファーブニルに関する逸話を思い出します。


元々は人間だったファーブニル。しかし財宝を守るために自分の体をドラゴンへと変貌させたのです。


それ以来何千年とファーブニルは財宝を守り続けています。


「財宝盗んだのか?」


「そんな事しません! 濡れ衣です……でも……私と冬の女王は呪いを掛けられ、返すまで呪い続けると……」


それが冬が終わると命を落とす呪いだったのですね。


「もし、呪いの事を国民や王様に話せば街を襲うとも言われました……だから私は……旅に……」


冒険者は納得しつつ、手の骨をポキポキ鳴らします。


「わかった。私に任せろ。お前達はもう王都に帰れ。クエレブレ、悪いけどおくってやってくれ」


『まて、それは構わんが……貴様、まさか……』


冒険者は楽しそうに笑っていました。その顔を見てクエレブレは焦ります。


もしや、この冒険者は一人でファーブニルの元に行くつもりなのかと。


「あ、そうだ。もう一つだけ聞いていいか、春の女王」


冒険者は春の女王へと質問します。


「は、はい……なんでしょう……」


「季節を巡らせる事を辞めて冒険したいか? もししたいなら冬の女王共々連れてってやる」


春の女王は首を振りました。


その表情は穏やかに、冬の女王と同じように。


「私は、辛いと思った事はありません。確かに外の世界には憧れますが……それよりも、私は国民の笑顔が……私の(もたら)した春で皆が喜んでくれることの方が嬉しいのです……」


冒険者は渋い顔をします。


到底理解できなかったからです。今まで自分の気が向くままに生きてきましたからね。


「女王というより……聖女だな……。まあ、これ以上はヤボかな……」


冒険者は馬に跨り、出発の準備をします。


「アタシも行くわよ、あんた一人じゃ……」


「大丈夫だ。あ、そうだ……無事に冬の女王の呪いを解かせたら合図送るから」


そのまま冒険者は走り去って行きました。


一行は首を傾げつつも冒険者を見送ります。


『ふー……いっちゃっふー……僕のお嫁さん……』


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