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ステータスを引き継いで転生しました  作者: まにまに
第1章
12/13

閑話:会話

閑話なので短めに...

上も下も右も左も───全てが白く染まった空間で、唯一色を持つであろう存在ひとが二人。互いに向き合って座っている。


周りと同じ色のイス、テーブル、ティーカップ、受け皿。


全てが溶け込み同化していた。


「ねぇ、まだ見つからないの?」


ゆるく波打つ白銀色の髪を片手で弄びながら、ねっとりとした甘い声で言う。形のいい眉を顰めているところから見ると、大分、御不満のようだ。


「まぁーだ。なんせ、世界は広いからね。それに、介入にも制限があるし、そう簡単には見つからないよ。」


対するは、ティーカップを優雅に傾け、いたずらっ子のような顔で肩をすくめる。

それを見て、更に女性は整った顔を顰めた。


「んもう、焦れったいわね。私が介入できないから、頼んでいるのに!!本当・・に探してるの?」


「心外だなぁ、俺がそんな不真面目だとでも?安心してよ、ちゃんと探してるって。」


「・・・遊んでばっかりな奴のことを不真面目って言うのよ。それに私、貴方が働いている所見たことないわ。」


「あ、ばれた?」


「隠す気なんてないでしょう?知ってるわよ。」


カチャリ、とティーカップが音を立てる。


「何度も言うようだけど、大事な事なんだから早く見つけて頂戴。他の奴らの手に渡ってしまったらと思うと、気が気でないのよ。・・・いつも玩具オモチャはそっちに送ってるでしょう?その分は働きなさい。」


「はいはい、働けばいいんでしょー働けば。全く、人使いが荒いんだから。」


そう言って、カップの中の液体───これまた周りと溶け込むような真っ白なミルク───をぐいっ、と一気に飲む。


「いい?絶対あるから!よく探してよ・・・見つかったら報告、もちろん一緒にね。」


「はいはーい、ごちそーさま。」


「本当にわかってるの、それが無かったら私も貴方も・・・。」


しつこい女性に煩わしそうな表情を浮かべる青年。ガシャン、と乱暴にティーカップを置いた。


「うるさいなぁ・・・俺はただ強い奴に会いたいだけなの。何なら、君から殺ってもいいんだよ?」


「それは勘弁して、流石に貴方には勝てる気がしないわ。・・・とにかく、頼んだわよ。」


「しつこいなぁ、わかってるよ。」


気だるそうにため息をつく女性。


「私だって、好きで貴方に頼んでいる訳では無いのよ。他にいないから仕方なくよ、仕方なく。ほら、貴方は力だけはあるから。」


「力だけって、失礼だなぁ。まるで俺が脳筋みたいな言い方だね?」


「あら?違うの?」


そう言って微笑む女性。今度は青年が顔を顰めた。


「・・・君とは一生気が合うことはなさそうだよ。」


「あら、初めて意見が合ったわね。私も同意見よ。」


青年は無言で肩をすくめると、目の前の空間に手をかざした。


「じゃあ、遊んでくるから。またね・・・巨乳ババア。」


「なっ・・・!!」


女性が怒鳴ろうとした時にはもう遅く、ただただ見知った白い空間があるばかり。

わなわなと握りしめた拳が震える。


「あんの糞ガキ。ほんと、相変わらず生意気ね・・・!!」


女性はしばらく怒りの表情を浮かべていたが、ふとダラリと腕を下げた。

青年がいなくなったことにより、静寂となった空間にただ一人ぽつんと佇む。


悲しげに目を伏せる。


「・・・やっぱり、ひとりは寂しいわね。」


女性はそう呟くと、ティーカップの中に角砂糖をひとつ落とした。


白いだけの世界くうかんで再びひとりになる。


※修正

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