白雪に包まれて
夏より冬が好きなのは
明るい時間が短いから
他人の顔を見なくていいから
気が楽だろう?
部屋の電気はつけない
街灯もいらない
月の光も必要ない
それらを反射する鏡も
すべて手とか足とか棒とかで
自分の存在を忘れるくらい
叩き割ってみたい
夏より冬が好きなのは
空気がずっと冷たいから
自分の冷たさを忘れられるから
辛くないだろう?
部屋の暖房なんかつけない
ストーブもいらない
太陽も必要ない
昼も夜も雪が降り続いて
地面を真っ白に染め上げて
世界すべてを覆ってくれれば
静かに溶けられるのに
積もった雪に
僕は足跡をつけて
それから後ろに倒れるんだ
僕だけの跡は
降り続く雪に覆われて
消えていく
僕の存在も
僕の名前も
一緒に思い出せなくなってゆく
足跡はすぐに見えなくなって
来た道も帰る道も
何もわからなくなって
あぁ、これでいいんだ
あぁ、こうしたかったんだ
と。
冬が続けばいいのに
明日も明後日も
一ヶ月後も数年後も
永遠に
僕はずっと白に包まれて
冬に沈んでいきたい
白が溶けて透明になるまで
ずっと
ご覧いただきありがとうございました。
白に沈みたい。
誰かに届きますように。




