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『魔女がこの世をせしめるか?』 〜追放された魔女!なぜかイケメン使い魔を召喚してしまう!なんとなく逆ハーレム暮らし!なんとなく成り上がり!〜  作者: しょうりショウゲン
━━━━━━━━━━━ 第十一話 ━━━━━━━━━━━

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第十一話② 「魔女と、七方位の賢人」

 

「七方位の賢人ってのは、いわゆる真・政府なんだろうねぇ。影の統治者、ってやつ」

「選挙で選ばれた公の政治家たちとは別口の。秘密裏に社会を動かす存在なんだろうよ。わかるか、魔女」


 嘉紋とゴウトは、二人して私に解説を施してくる。


 この大陸の地理は、中央都市を除くと、七つの地方に分けられているという。

 時計回りで、右上から、

 No.4北東、No.1東、No.2南東、No.7南、No.3南西、No.6西、No.5北西。

 つまり中央都市から外側に向かって、七方向に、放射線状に伸びた先。

 それぞれを、七方位の賢人たちが統治しているという話だった。

 


 社交上手で会話が達者、情報収集が得意なルイくんはもちろんのこと。

 嘉紋とゴウト。戦闘担当でバトル関連にばかり特化して興味や関心が向いていると思われていたこの二人まで。

 なぜ彼らは、私よりもこの世界の事情に詳しくなっているのか。


 彼らはともに、お尋ね者捜索討伐などで戦闘関連の依頼をこなすことで、自然と事情通になっていったようだった。

 他にも、近所に男手が必要な力仕事の頼まれごとなどがあれば積極的に引き受け、住民たちとはまめな交流をしていたという。


 特にゴウトは、女に養われたくない、と公言していた。ここらの相場である家賃相当の金銭を私に納めるために、毎日、日当を得ることに必死だったのだ。

 しょっちゅう街や農場へ出ては日銭を稼いでいた。

 そうして日々を過ごしているうちにだろうか、社会と頻繁に関わりを持つ流れの中で世界情勢や地理的知識も自然と身についていったらしい。


 あ、あら。

 社会から隔絶された暮らしを送る、インドア派で内向きな私とは大違い……。立派ですこと。二人とも。



「大魔女様の後継者候補は、他にも何人かおられたようなんですがね。最終的には、結界封印などの厄介な仕事を黙々とこなす魔女様の勤勉ぶりが評価されたようなんですよ。これまでの頑張りが報われましたね。真面目にやっててよかったですね、魔女様」


 偉い大魔女様からのお手紙。その内容を総合すると、評価の判断基準ポイントとしては、以下、このあたりが高評価に繋がったらしいのだが……。


 ①結界見回りでの異形討伐、悪党退治

 (使い魔の嘉紋とゴウトにほぼ任せてた)


 ②河川の氾濫対策、治水工事

 (使い魔のルイくんが采配してくれた)


 ③高難易度の転移魔法をマスター、実力を見せつけライバル魔女を圧倒

 (打倒狂戦士のために特訓してただけ)


 ④地元民からの人望、交流の実績、パトロールなどの治安維持活動

 (使い魔たちが頑張ってくれてた)



 うわああ。

 ちょ、ちょっと待って。私の功績というよりかは、使い魔たちの活躍ばっかりじゃないのよ。

 ああああ。

 召喚した使い魔たちが、たまたま有能で強かったから。

 私まで高評価を受けるようになるなんて。あわわ。



「これで魔女さんも、七方位の賢人か〜。わー、すご〜い」

「これからは魔女が、No.7である南地区を統治していくのか。こんな世間知らずで大丈夫なのかよ」

「大魔女様の正当な後継者になったんですから。当然、その役職も引き継がれますよね」

 


 私が、正当な後継者?


 No.7?南地方担当?


 七方位の、賢人?



 きゃああ!

 いつのまにか、権力者?

 私が、統治者ポジションですって⁈

 私ったら、なんとなくいつのまにか成り上がりしてたー⁈

 

 南地方で一番えらい立場⁈

 土地を治める為政者⁈政治家⁈

 そういう役どころなの⁈

 え、ウソウソ!

 そういうのは求めてない!望んでないってばー!!



「統治者の立場ともなれば、誘拐や脅迫、暗殺なんかの危険に晒される恐れがあるよなぁ、魔女」


 えええ!イヤだわ!そういうの含めて!!


「大丈夫ですよ、ボクがお支えしますから。自信持ってください、魔女様」

「俺も。魔女さん、ずっとあなたのそばにいてあげるからね」

「しょうがねぇな、オレが護衛してやるよ。魔女のSPになってやってもいいぜ」


 三人は、それぞれそんなことを口走りながら、私に寄ってくる。

 私の膝上でお昼寝していた黒猫シュヴァちゃんも、いつのまにか目を覚ましていた。

 にゃんにゃん鳴いて、私に擦り寄り、ゴロゴロと喉を鳴らして甘えて来てくれる。


 あ、あああああ!

 可愛いぃぃぃ!!


 黒猫シュヴァちゃんまでもが応援してくれている、と感じて。

 その場の勢いに呑まれてしまい、つい、感極まってしまう私。


 前途多難、だけども。

 使い魔たちの助けがあれば、なんとか、なるの?

 偉い立場になりさえすれば、もう魔女狩りとか迫害とか受けないで済むの?異端審問官とも敵対しなくて済むし、あの人とも。フォルクヴェルト様とも対等な関係になれたりするの?



 ルイくんが一歩前に歩み出て、私に語りかけてくる。

 私を優しく勇気づけるように。


「大人しくて控えめで、まるで日陰の野花のように可憐で、ひっそりとしておられて。それはあなたの魅力のうちの一つですけれど、でもね魔女様」

 私にエールを送るかのように、まっすぐに、言葉を届けてくれる。

 

「これからは、少し世界に目を向けてみてほしいです。外に出て行ってみるのもいいんじゃないでしょうか。世界は広いんですよ」

「……う、うん」

「これまで、狭くて陰鬱な雰囲気のフィールドだけが自分の居場所だと思っていたかもしれませんが。でもね、そこはね、ただの世界の一部でしかない。ただの端っこ、一端だったんですよ」

「……ルイくん」



 国教の教会に狂信的に支配されてしまっていたあの土地も、世界から見ればただの一地方にしか過ぎないのかもしれない。

 きっと、世界は広い。

 あんな迫害や差別といった悪習因習が蔓延るのは、あの一部の土地だけなのかもしれない。

 外の世界へ目を向けて見れば、様々な国や文化や信仰や種族がいると知ることができるのかもしれない。


 世界は、自分に優しいことのほうが多いと気付けるのかもしれない。

 世界は、私の世界は。

 きっと、素晴らしく広い。



 こうして。

 私は、なんとなく、世界を手に入れ始める。

 私が私らしく、幸せになるための。自分の世界と物語。

 回り始めた、世界の一端。


 彼らが、仲間たちがそばにいてくれれば、これからも。

 私は世界を歩いて行ける、気がした。






━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━






【⭐︎今までのあらすじ⭐︎】

 先代の偉い大魔女様から、後継者に任命されてしまった私は、断りきれず。

 南部地方の裏統治を担当するNo.7、南の賢人としての任に就くことになった。

 七方位会議とは、七人の賢人たちが一堂に集結する、一大コンベンションであり重要なカンファレンスなのである。



「……と、いうわけです」

「七方位会議、ねぇ。どうせ、坊ちゃん貴族たちの独壇場だろう?世代交代で既得権益の流れに要領よく乗っただけの、苦労知らずの特権階級どもが幅きかしてるんだろうよ」

「魔女さんみたいな庶民上がりって珍しいんじゃない?上層階級の場には場違いかもねー。居心地悪そう〜。マナーとかお行儀とか、お育ちとか教養とか学歴職歴、うるさく嫌味言われたりしてさー」


 ああ。頭が痛い。

 そんなこと言われなくっても、私が一番よくわかってるわよー。私なんか場違いで、ふさわしくない、って。

 ああ。

 ついに。

 『究極ミッション、七方位会議に出席せよ!』が、始まってしまったわ……。



「どうぞ、魔女様」

「ん?ルイくん、何このファイル?」

 ルイくんは収集した各種情報類をまとめて、勢力図や図表などまで作成してくれていた。


「魔女様が理解しやすいよう、視覚化を心掛け、わかりやすく資料にまとめておきました」

 あ、ありがとう。苦労をかけるわね、ルイくん。


 ずしりと重く分厚いファイル。手渡されたものの、詳細に情報が網羅されたそれらにすべて目を通すのは至難の業である。せっかく私のために揃えてくれたのに本当に申し訳ないのだけれども。

 ひとまずは、最初の2、3ページまでで勘弁してもらうことにした。



※【時計回りで、右上から】


No.4 北東  伯爵令嬢フォウ・ヒルディナリア様  社交界を牛耳る有力者


No.1 東   イーワン様  表社会での政治家も兼ねる、現議長、現トップ


No.2 南東  トゥツィー様  叩き上げの実力者、修羅の国、男軍団、歓楽街


No.7 南   魔女ナナミ様  片田舎、郊外の森出身


No.3 南西  サーン様  最年少、成金お坊ちゃん、若者文化ストリート系


No.6 西   子爵令息シック・ヴィジー様  多様性、音楽芸術アート


No.5 北西  イツツ・ガリアシュタット様  規律正しい騎士と学門の都




 ひ、ひぃぃ。

 こんな私まで含めての、七人の賢人たちの情報資料。

 私以外のみんなは、なんだかそれぞれ、個性や各種得意分野やバックボーンや出自やアイデンティティが確立してあるかんじで。

 ああ、私ったら、つくづく、なんでここに名を連ねているのかしら。

 ああ。思いっきり、場違い。

 

「え、えっと。No.は、今の地位に就いた順番?ということかしら?それとも権力の大きさや何かの順位なんかを表していたりする?」

「ちょっとそこのところがまだはっきりとしないんですが。この中で要注意人物は、No.2ですかね。トゥツィー様は、野心家で実力主義。一代で財を築き上げた下町出身の叩き上げ。港街で貿易を手広く営んでいます」

 へ、へぇ〜。なんだか賢人ってかんじじゃない経歴ね……。


「No.3のサーン様も、平民出身でまだお若いのですが、地元では絶大な人気を誇っていて賢人の地位に引き上げられたそうです。でもまあ実際のところはファッション業界関連で名を轟かせた親の名声と地位と商売を継いだだけの、苦労知らずなお坊ちゃんってかんじですね」

 え、人気者なだけで、賢人、って……。


「No.1なんて、表社会の政治家そのまま兼業してるだけですし。No.4とNo.6は、言わずと知れた名家出身、貴族社会の代表者ですしね」

 え、賢人、って一体なんなのかしらね……。わ、私も含めて。


「いかにも賢人といった方なんて、No.5のイツツ様くらいじゃないですかね。ボクもこの方には、七方位会議でお会いできるのが楽しみです」

 へえ。No.5のイツツ様は、学者さんなのね。



「あ、ただ。七方位会議は、中央都市部で開催されるのですが。警備の都合上、魔女様と一緒に中へ入れるのは、たった一名なんだそうです」

「え」

「お付きの護衛や、秘書官、パートナー、他、諸々の取り巻き。その中から一人だけを選ばないとなりません。同行できるのはたった一名のみ。さあ、魔女様は、誰を連れて行きますか?」



【 誰 を 連 れ て い く ? 】


 K 「 俺 だ よ ね ? 魔 女 さ ん 」

 R 「 ボ ク で 決 ま り で す よ ね 、 魔 女 様 」

 G 「 い い ぜ 魔 女 、オ レ が 行 っ て や る よ 」



 え、何、この恋愛シミュレーションゲームみたいな選択肢。

 選べないわよ。

 たった一人なんて。


 みんな大事よ。必要よ。

 三人とも。

 みんな、私の大切な使い魔なんだから。






━━━━━━━━━━━━━⭐︎終わり⭐︎

『魔女がこの世をせしめるか?』 〜追放された魔女!なぜかイケメン使い魔を召喚してしまう!なんとなく逆ハーレム暮らし!なんとなく成り上がり!〜 完

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