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『魔女がこの世をせしめるか?』 〜追放された魔女!なぜかイケメン使い魔を召喚してしまう!なんとなく逆ハーレム暮らし!なんとなく成り上がり!〜  作者: しょうりショウゲン
━━━━━━━━━━━ 第一話 ━━━━━━━━━━━

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第一話② 「魔女と、ゆかいな使い魔たち」 嘉紋編


 さて、気を取り直して、もう一度。


 床の落とし穴を元通りに戻してっと。

 素材を揃え直して、よし今度こそ。今度はミスっちゃわないように集中して召喚しなきゃね。


 私はぶつぶつ、召喚したい対象のイメージを念じた。


 そうよ、今度こそ、威嚇ができそうな強い人外従魔よ。

 そんないっぱい人数いらないから、一匹でいいから。量より質よ。 

 獄卒っぽいヤツ!イカつくて恐ろしい召喚生物よ!


 

 目を閉じて精神統一をした後、勢いよく杖を構えて、呪文を唱える。

 すると、すぐにパチパチと空気が弾けた。

 静電気のような音とともに小さな無数の煌めきと瞬きが発生した途端、スイッチが切り替わったかのように、あたり一面の雰囲気は一変した。

 一瞬の突風がその場を襲う。凄まじく激しい瞬間風速。

 それが収まるとようやく、おどろおどろしい重苦しい靄、闇が足元を覆う。


「いでよ!獄卒っぽいヤツ!イカつくて恐ろしい召喚生物よ!」


 魔方陣の床からは、ドロドロとした汚泥が漏れ出て滴り続けていた。

 そうして召喚生物はこちら側の世界へ招かれてくる。もくもくした噴煙とともに円陣から湧き出てくる。はずだった。が。

 

 だが。

 ズズズズズ、ギギギ、ギャリギャリギャリという、何か硬い金属片を引き摺るような怪音。

 機械の部品同士が擦れ合うような摩擦音。

 不快な超音波や重低音までが生じ出す。


 これはもはや、耳腔への攻撃。ダメージは計り知れない。

 私はたまらず杖を取り落とし、耳を塞いだ。

 一定間隔で不安を煽る音波が繰り返される、あの感覚。

 それはまるで、警告音のようでもあった。


 あ、あれ、何この音??

 おっかしぃなぁ〜?

 でも儀式の手順も陣も呪文も全部合ってるはずだし、大丈夫よね、今度こそ。


 しばらくして靄が晴れて、ようやく音も収まると、召喚生物の姿が顕になっていった。


 そうして。

 魔方陣の床、噴煙とともに円陣から湧き出てきたのは……。



「ん〜?」

「ひ、ひぃっ!!」


 私は思わず悲鳴を上げた。

 出てきたのは、血まみれの男だった。


「なんだ?ここ」

 右手には、日本刀が携えられている。

 ぼたぼたと床に鮮血の滴を落としながら、ゆらりと立ち上がっていった。


「これって魔法陣?あれ、俺、なんか路地裏にいて〜。変なマンホールの蓋に載ってた、ような?」

 キョロキョロとあたりを見回したのち、すぐに床の模様を注視した。


 そして、腑に落ちたようにこう言った。


「あ、もしかして、これって異世界転移ってやつ?あー、俺、召喚されちゃった?」


 り、理解が早い!


 全身血だらけで日本刀を握ってるヤツにしては。

 理解が早く、状況判断も的確だ。一定以上の知性が見られる。

 意思疎通には支障ない人物のようだった。


 そして表情も明るく飄々としていて、終始にこやかだった。

 物言いも、穏やかで優しげで、軽快。

 しかし、そこが逆に、さらに不気味で脅威でもある。


 私は圧倒され、送還のタイミングを図れずにいたままだった。地下室へと続く落とし穴のスイッチを起動するスキが、まるでないのである。

 先ほどの怪音騒ぎで杖を取り落としてしまったのもある。

 早く拾わないと。


「あなたが俺を召喚したのか、魔女さん」


 私の姿を見つけると、彼は無邪気に、屈託ない笑顔を向けた。


「……え、ええ。あの、ですけど、無理にとは……」

「へー、ちょうどいいや。しばらく異世界にいてあげてもいいよ」

「あ、あの、無理にとは……」

「俺、嘉紋(かもん)っていうんだ。よろしく魔女さん」


 明るく、快活に名を名乗る。

 

 すべてを見透かすような、圧と凄みのある大きな瞳。

 輪郭や額には純粋な少年味が残っており若々しく、顔立ちは端正であった。

 だが、その顔面さえも、血だらけなのだ。頬にも瞼にも唇の端にも、生々しい血飛沫がこびりついている。


「ほ、ほんとに、無理なさらず。お帰りになってけっこうですのよ……その、血まみれですし……傷の手当てとか急がれたほうが……」

「ん?あ〜、これ?」


 彼は、頬に手をやり、血を拭う。

 そして自らのアウターの裾を引っ張って、血痕を眺めた。


「怪我とか心配してくれてんの?優しいねー魔女さん。大丈夫だよ、俺は無傷」

「……ということは、この血痕は……」

「俺のじゃないんだよ」

「で、では、どなたの……」

「ただの、返り血〜」


 ひ、ひぃぃ!

 

「召喚された時さぁ、俺、大立ち回り中だったんだー。辻斬りの真っ最中で」

「……………つ、辻斬り……⁈」

「あ、もちろん、極悪非道な反社会組織の構成員とか、そういうゴミクズ相手限定だからね?」

「…………………」

「カタギの一般人は巻き込んでないってば。なんたって俺、ヒーロー扱いされちゃってるくらいだし。社会のゴミを成敗してくれる正義の味方とか義賊とか呼ばれてるし。うん、やっぱり俺、悪くない」

「…………………」

「大暴れし過ぎて、ここんとこK サツの目が厳しくて。動きづらかったからさー。ほとぼりがさめるまで異世界でやり過ごすことにするよ。よろしく魔女さん〜」



 …………………狂戦士!!


 やっぱり危険人物!まぎれもない不審者!

 ヤバい!絶対絶対こんなのと関わり合いになりたくないっ!!


「も、もういいです!!お帰りください!魔法陣に戻ってください!!」

 私は意を決して、床に落ちていた杖を手にした。


 強制送還を強行しようと、高く掲げて振りかざす。

 が。


 ガシッ!

「きゃあっ」

 素早い動きで制された。

 手首を掴まれてしまう私。


「なんで?やだよ俺、帰りたくない」

 きゃああああ!


「しばらく魔女さんのそばにいてあげるってば」

「帰ってー!!」

「えーちょっとひどくな〜い?勝手に呼びつけといて思ってたのとちがうからってすぐ返品?え、チェンジ?おいおい勘弁してくれよ〜女風(ジョフウ)の指名じゃないんだぜ⭐︎」


 なななな何言ってるのぉ⁈

 なんなのコイツ⁈早く魔法陣に戻ってよぉ!!


 もとの世界に帰ってー!!




━━━━━━━━━━━つづく!!

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