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『魔女がこの世をせしめるか?』 〜追放された魔女!なぜかイケメン使い魔を召喚してしまう!なんとなく逆ハーレム暮らし!なんとなく成り上がり!〜  作者: しょうりショウゲン
━━━━━━━━━━━ 第六話 ━━━━━━━━━━━

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第六話③ 「魔女と、臨時!結界見回りの旅路」


「なぁ、オレらに対する塩対応とはずいぶんちがうじゃねぇか、魔女のヤツ」


 ゴウトの声である。


 滝上に至るまでの道中。

 途中の休憩スポットで、私は一人、離れた位置にいた。

 木立のところで景色を眺めて一息ついていると。嘉紋とゴウト、二人の会話が聴こえてきた。

 使い魔同士の、二人のやり取り。

 けっして聞き耳を立てているわけではない。だが、会話の内容は、自然と耳に入ってくるのだった。


「ん?あー、さっきの?ルイ先輩のこと?」

「一人だけ特別扱いじゃねぇか。あんなに気安く抱きついても許してもらえるもんなのか。魔女のヤツ、対応に差がありすぎだろうがよ」


「えー、なになに?ゴウトくんもあんなふうに抱きつきたいってこと?」

「そ、そんなんじゃ」

「魔女さんに頭撫でられたりヨシヨシされたいの?可愛がられたいの?」

「そ、そういうわけじゃねぇよ!」

「反抗せずに素直に言うこと聞いてたら、魔女さんだってそれなりに優しくしてくれるだろうに。ゴウトくんってば、悪態ついてばっかだからなぁ」

「そ、そういうんじゃねぇって!」


「俺は、ああいうのは求めてないがなぁ」

「……な、なんだ、と?」

「うーん、俺、考えてみたんだけど。無防備に警戒心なく受け入れられる、っていうのも、どうなのかなぁって。お友達ポジション友情モードのまま定着しちゃうと、この先が大変なんじゃない?」

「……あ、ああ」

「一度ついた印象やイメージってなかなか覆らないものだし。だったら最初っから、異性として、雄として、男として意識されることのほうが大事なんじゃないかなぁ」

「……ああ」


「それにルイ先輩のは、あれはどう見たってただの主従関係だろ?ご主人様と、従僕。魔女と、使い魔」

「……ああ」

「そういうのじゃなくってさ。俺がなりたい関係性っていうのは〜」


 嘉紋は一旦止まって間を置いてから、意味ありげに言ってのけた。


「もっと対等な立場で、お互いに同じくらいの熱量でいて。うん。恋人同士。俺、魔女さんとは恋愛関係になりたい」 


 そこで、沈黙が流れた。

 その後のゴウトが、嘉紋に対して何か言い返すことはなかった。

 二人の会話は、そこで終了した。


 休憩時間が終わると、私は二人がいる場に戻って合流を果たすことになる。

 私たちは移動を再開する。

 まさか会話をすっかり聴いていたとは言えずに、何食わぬ顔で二人に混ざるのだが。気まずさは隠せず、私は終始無言のまま歩き続けた。

 



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




 朽ちかけた祠があった。

 各地に点在する、立ち入り禁止区域のうちのひとつ。

 大地は汚染され、汚泥となった地面からは瘴気が立ち込め。一帯は、人体に有害な毒ガスのような目には見えない気体に蝕まれている、と考えられていた。

 古くからずっと。付近一帯の住民たちは恐れをなして、けっして近づこうとはしなかった。

 だが。


「うん、問題ないね」

「全然、平気だな。オレたちが、魔女や異世界人だからなのか?」


 くだんの土地に足を踏み入れ、祠の目前にまで迫っても、私たちの心身に異常は見られなかった。


 環境や状態の報連相は、重要必須事項である。

 ゴウトと嘉紋。二人の会話回数は、いつのまにか元通りの頻度に復活していた。


「おそらくは。この世界の住人でも問題ないはずだよ」

「と、いうと?」

「うーん、それはね」

「要は気の持ちよう、か?信心深さってやつか?」


「オレたちの世界にもあったろ。ちょっと地方の山奥へ行けばさ。閉鎖的で、独特の雰囲気とか掟やルールがあって。信仰、因習の厳しいとこがさ」

「触れると祟りがあるとか、か?」

「そう。近寄ると呪いが降りかかるとか。壊すと災いが起こるだとか、その手のやつだよ」


 嘉紋は、朽ちかけた祠の建具をガタガタと掴んで、真っ直ぐに立て直そうとしていた。ゴウトはすぐに呼応して、手を貸すように端を押さえた。


「本当はみんな、実害なんてないってわかってるんだろうけどね」

「ふん、くだらねぇな。まるで茶番だ」

「それでも代々、土地の言い伝えを伝承していかなきゃならない。守って語り継いでいかなきゃならない。ご先祖の言葉を軽く受け取ったり、無視したりするわけにはいかないんだろうさ、表向きは」


「そこで、オレたち異世界人たちの出番、ってわけか?」

 ゴウトが斜に構えたふうに皮肉った。


「いわゆる、よそ者。部外者、第三者に、役目を押し付けようってか?」

「まあまあゴウトくん。こういう外国人的立場が有用でお役に立つ、ってなんならさ。ご奉仕して差し上げましょーぜ」


 

 歪んで崩れきっていた祠。それを、嘉紋とゴウトは二人で元通りの配置にまで戻そうとしていた。

 その矢先。


「……ん〜?なんか、殺気を感じるんだけど〜」

「それはオレも気になってたがな。でもなぁ、ここには異形なんて一匹もいねぇんだよな」


 異形の姿は、見当たらない。

 だが、二人の使い魔たちは、敵の気配を察知していた。

 私は満を持したように、こほんと咳払いをしてから二人の会話に混ざり込んでいく。


「ようやく気付いたのね、おまえたち」

「どういうことだ、魔女」

「ここの異形はね、透明化をしているの。私たちの目には見えないようにできているのよ」


 私の説明を聞いた途端、二人は咄嗟に身構えた。

 すぐに戦闘態勢を取って、それぞれの攻撃範囲内や間合いに入らないように、瞬時に散った。

 瞑想のように目を閉じて、聴力や心眼めいた能力を持ってして、異形に攻撃を当てようとする。

 だが、あまりにも非効率であった。当たる確率はよくて六割といったところ。討ち漏らす可能性のほうが高く、その分、敵の迎撃に晒されてダメージを負う危険性が増すのだった。

 まぎれもない、難敵である。


「透明な敵、って。おい魔女、いつもどうやって倒してるんだ?」

 それは。

 数打ちゃ当たる方式で。大体の位置に向かって、風魔法ウィンドカッターみたいなのをバンバンって。


「かまいたちっぽいやつを手当たり次第に撃ち込んでたわよ。でもすっごい時間かかるし、すっごい疲れるのよね」

「うーん、だろうねぇ」


「なぁ魔女、なにか色がつくヤツは撃てないのか?」

「ああ、それいいね。異形に目印がつくような。防犯用のカラーボールとか、サバゲーのペイント弾みたいなのだよね」

「そうね、やってみるわ」




━━━━━━━━━━━━━━━つづく!!

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