第五話① 「魔女と、恋愛脳ツンデレ使い魔」
「いでよ!私にふさわしき、真なる使い魔ー!!」
私と二匹の使い魔たちが暮らす、お馴染みルームシェア館。
館の北側、日当たりが悪くジメジメとしている一階の北西部分。奥まった位置に配置されているのが、召喚の間であった。
今、私はそこにいた。
中身が入ったままの樽や壺、小瓶は、整然と並べられていた。各種素材は、量も数も申し分なく揃ったままの状態が保たれている。
禍々しいデザインの壁飾り、タペストリー、レリーフが一面に飾られ、おびただしい数の蝋燭が祭壇をぐるりと囲む。
私は性懲りも無く、またまた使い魔を召喚しているのであった。
よーし!今度こそ!
今度こそ、理想の使い魔を手に入れてやる!!
今度こそ!!
私の召喚パワーすべてを捧げる勢いで!最大MAX出力放出!!
たとえ、これが最後の召喚になってもかまわない!だってそんな存在が入手できたら、もう召喚術なんて必要ないものね!
そんないっぱい人数いらないから!一匹でいいから!量より質よ!
用心棒っていうか警備員っていうか、お付きの護衛兵、SPセキュリティポリス、要人警護の凄腕シークレットサービスみたいな存在が欲しいのよ!
魔術は、魔法は、そう。イメージング。引き寄せ、みたいなもんなのよ。
思考は現実になる。
具現化するためには、願いはわかりやすく。簡潔に。要件は、メモに箇条書きで三点以内にまとめる。
一文は20文字以内よ。
よし。
・強い使い魔が欲しい
・一匹でいい(その分、強いヤツ)
・忠誠心が高い、私に反抗しない従順なヤツ
私はぶつぶつと、召喚したい対象のイメージを念じた。
想像的視覚化を試みる。
「いでよ!獄卒っぽいヤツ!巨体でイカつい見た目の強いヤツ!狂戦士嘉紋よりも強いヤツ!!」
危険人物、狂戦士嘉紋。
スキを見て、帰還用の魔法陣を踏ませて強制送還しようと試みてはいるのだけども。うまくいかないままの日々が続いていた。
召喚主である私には、彼の行動を監視して制御する重大な責任がある。
そうよ、あの狂戦士よりもさらに強い、使い魔!
暴走した狂戦士を止められるくらいに、強力な我がしもべ!
私に永年隷属する、忠実な従魔!
私にけっして逆らわない、裏切らない反抗しない、忠誠度90くらいはある、私のことを最優先で守ってくれる忠実な部下!!
「いでよ!獄卒っぽいヤツ!巨体でイカつい見た目の強いヤツ!」
私は深呼吸をすると、目を閉じて精神統一をした。
勢いよく杖を構えて、呪文を唱える。
すると、すぐにパチパチと空気が弾けた。
静電気のような音とともに、小さな無数の煌めきと瞬きが発生。その途端、スイッチが切り替わったかのように、あたり一面の雰囲気は一変した。
一瞬の突風がその場を襲う。凄まじく激しい瞬間風速。
それが収まるとようやく、おどろおどろしい重苦しい靄、闇が足元を覆う。魔方陣の床からは、ドロドロとした汚泥が漏れ出て滴り続けていた。
そうして召喚生物はこちら側の世界へ招かれてくる。もくもくした噴煙とともに円陣から湧き出てくるのだった。
しばらくして靄が晴れて、召喚生物の姿が顕になっていった。
だが。
「……え」
ガチガチに整髪料で固めて尖らせた髪型。
原色で奇抜な髪色。
耳たぶには、膨大な数の輪っか。じゃらじゃらアクセとボディピアス。
メタルでパンクなロックテイストファッション。光沢感のある黒の本革パンツとエンジニアブーツ。
「え、えぇ〜と、これは……」
またしても、異世界転移してきた近代社会の男。
ではあるけども。
うん、でもまあ。
まあまあ。
今回は、わりと、求めていたものに近い。
眼光鋭いコワモテで、威圧感がすごい。
もう上裸と言っても差し支えないくらいに露出度の高い、極端に布地の少ない丈短トップス。
ボディライン際立つ、ピッチピッチのタイトなレザー生地が、肌に張り付く。
筋骨隆々の肉体美を誇る、極めてマッチョな大男。
まさに獄卒……。
うん、いかにも地獄の番人のような造形美だわ。迫力満点ね。
よし。
まあ、これでいいか。
━━━━━━━━━つづく!!




