はじめての魔法
ヘルメス商会本部を出た夜、三人は街の裏路地を進んでいた。
月明かりが石畳に影を落とし、アーサーはまだ怒りと困惑で顔をしかめている。
「で、学園って……俺、本当に行くのか?」
アーサーが声を荒げる。
「わかんない。でも、可能性はあるんじゃない?」
ルミナスは淡々と、感情をあまり表に出さず答える。
「可能性……とか、相変わらず意味不明だな」
アーサーは腕を組み、文句を言いながらも少し黙る。
「アーサー、せっかくだから魔法の感覚、試してみない?」
ルミナスが手をかざすと、淡い闇を帯びた光がアーサーの手に触れた。
「……え、なんだこれ?」
アーサーは半信半疑で力を込める。
すると突然、手の周りに小さな炎が弾ける。
「うわっ!? な、なんだこれ!!」
アーサーは慌てて手を振るが、炎は通りのゴミ箱に飛び火してしまう。
「落ち着いて、アーサー」
ルミナスの声は冷静そのもの。だがその目には、少し影のある鋭さが宿っていた。
アーサーの暴走する魔力を、まるで当たり前のことのように囲い込む。
「……マジで抑えられねぇ!」
アーサーは恐怖と興奮が入り混じった表情で叫ぶ。
「大丈夫、君なら……慣れればもっと上手くなる」
ルミナスは淡々と言い放ち、微かに闇を帯びた笑みを浮かべる。
ルークスがため息をついた。
「まずは学園で基礎からだな。魔力の制御は一朝一夕じゃ身につかない。」
アーサーは怒り混じりに言い返す。
「……めんどくせぇな……でも……俺、負けねぇぞ……!」
三人は夜空を見上げ、学園への道を歩き続ける。
炎に怯えたアーサーだが、ルミナスの冷静な影を感じながら、少しだけ自分の力に期待と恐怖を抱いていた——。




