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しとしと  作者: こはだ
1/1

3/4 13:54

気づいたらみんなが叫びながら逃げており、僕はナイフを握っていた。


自分でも頭がおかしいと思う。

こんなのおかしい、夢を見ているのではないか。

どう足掻いてもこれが現実ということはすぐに理解できた。

今は家だから誰にも危害を加えられることはないはずだ。

誰かと家で遊んだこともないし、家の前まで一緒に帰ったこともない。

…いや、先生や学校の人が家に来るかもしれない。

家を特定されてる可能性もある。

逃げなければ。

逃げてから考えよう。


何を持っていけばいいのだろう。

服?本?スマホ?充電器?鍵?保険証?薬?

……一回落ち着こう、焦っては駄目だ。深呼吸しよう。

お母さんが帰ってくるのは夜、お父さんは…まぁ多分今週も帰ってこないだろう。

今は十三時か。

とりあえず十四時までには準備を終わらせよう。

「家出に必要な物は」と検索したい所だが、検索履歴が残ってしまいそうなのでやめよう。

たしか昔読んだ本でそんな内容があったような…。

いや、あの本はやめよう。

嫌な思い出がある。

微かに覚えている内容をもとに荷物をまとめていこう。

大丈夫、落ちついて。

遅くても迷っても誰も殴らないよ。

まず服は二、三枚をローテーションしつつコインランドリーに行けばいいだろう。

長袖か半袖か…

長袖の方が都合がいいか。

長袖のシャツを数枚、同じ枚数ズボンも、羽織れるもの…パーカーを一枚持っていこう。

下着と靴下も同じ枚数持っていけばいいか。

服はこれぐらいでいいだろう。

あとは時計、ハンカチ、ティッシュはいつも学校に持っているものを持っていけばいい。

スマホ…は持っていくと位置情報でバレるか。

お父さんが使わなくなった壊れたガラケーでも持っていくか。

たしかあれ電話しかできないらしいし。

本は読みかけのものと好きな文庫本を一冊ずつ。

薬は常備薬と頓服薬だけもっていこう。

念の為ナイフとカッターを持っていって…暇になった時のためのメモ帳と筆記用具も一緒に。

…こんだけリュックの中に入れてもそれほど重くなくて安心した。

後はお金か。

幸い親にバレてない貯金やこっそりバイトで貯めてきたお金、ばあちゃんからのお小遣いがある。

これだけで数年生きていけるわけではない量だが、おそらく節約しながら一人で生きるとなると数ヶ月は持つだろう。

多分、死ぬまでは。

現在時刻は十四時ちょっと前。

準備も完璧、後悔はない。

僕の逃避行はここから始まる。

ふと思いついたものです。

ご覧いただきありがとうございました。

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