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文字のおべんきょう

 サラがドアの向こうからやって来る。手にはペンやノートが収まっているようだ。


「ほんと、なんでこんなに何も知らない子がこっちに来ちゃったのかしら。でも、あなた達は素質があるから文字なんかすぐに覚えられるわ」


 そういいながらサラは妃葵と夢月の前で準備をした。ノートを広げている。ペンは羽ペンか万年筆のようで中世みたいな場所だ。

 サラはそこら辺の本棚から一冊本を持ってこちらへやってきた。そして、椅子に腰かけた。


「じゃあ、文字を覚えていきましょうか」


 そういうとペンを渡してきた。インクにつけて書いていくように見える。インク瓶も近くに置いてある。「この表を見て書き写していって」といわれそれに合わせて書いていく。

 文字は、アルファベットを少し崩したような事態だ。さらさらと書ける。

 書き終わるとサラが私たちが書いていたノートを覗き込んできた。


「どう? 簡単かしら?」


「文字は簡単だけど、覚えるのが難しそう……」


「きっと大丈夫よ」


 そう励ましの言葉をかけるとペンにインクをつけて文字をつづり始めた。


「これで一から九の数字よ。すぐ覚えてね」


 ――ぜんぜん分かんない~!

 頑張らないといけないと思い、数回書いた。簡単な文字なのが逆に難しい。


「これ毎日していったら一週間ぐらいで覚えると思うわ」


 サラはそういって立ち上がった。

 ――数字は覚えなくっちゃ!

 ――値段も、時計も読めないなんて恥ずかしすぎるよー!


「今日はこのくらいで終わっておきましょうか? この本とかあげるからちゃんと練習しておくのよ!」


「ありがとうございました! また教えてください!」


 私たちは頭を下げお礼を言った。サラは昼食の用意があるらしく部屋を後にした。サラの背中を見送った後、私たちは部屋にとどまり少し話をした。


「難しくない? 英語もぜんぜん分かんないっていうのに!」


「まぁ頑張ってみようよ!」


「そうだね~」

 

 結局のところ、夢月みたいな何でもできそうな人も初めての言語は難しいみたいだった。

 そして、私たちに話し合いはこれからも頑張っていこうということで幕を閉じた。

 それからも話は続いていろいろな話へと方向を変えていった。


 十分後ごろ、部屋に小さな少女二人が部屋に入ってきた。アイシャとリローゼだ。


「明日私達お仕事入っていないから遊びに行きませんか? あ、行く? どこでもいい?」


「うん! 遊びに行っていいの? 楽しみだな」


 アイシャが敬語を外してくれた嬉しさに私は自分で思っていたより早く応えてしまった。

 夢月の意見も聞かずに答えてしまったことを少し後悔したが、彼女の顔を見ると嬉しそうだったので大丈夫だったと安心した。


「えっと、今朝行った市場で雑貨とか見に行くのはどうでしょうか?」


「うん。私たちは全然分かんないから、いいと思うよ」


 明日の予定についてだが、アイシャとリローゼが市場やこの近くを案内してくれることとなった。

 また、朝食をとってから私たちの部屋にアイシャが来てくれる。一時間程度の外出ではあるが、同年代と遊びに行くというだけで明日が待ち遠しくなった。


 それから昼食をとり、少し後片付けや掃除を手伝わせてもらった後、夕食を食べ自室に戻りぐっすりと寝た。

 ――今日私にここではじめての友達ができた!

 ――明日(あした)も楽しみ!

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