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プロローグ

「かわいそうな子達。本当に可哀想」

 ある塔の最上階でそう吐き捨てる影が一つ。

 水晶に手をかざし中を覗き込む。

「ほら、如月 妃葵ちゃんは特に可哀想だけれど...」


 日が落ちていて夜だと考えられる。

 人の影が二つ。

 暗闇の中にはギリギリ見える鋭い刃が一つ。明り取りの窓から入ってきた月の光が澄みきった空気を思わせる。

 影が一人の少女の喉元に刃をあてる。その場に意識がある人が二人かを確認する。刃を持った影は口を開く。

「聞いちゃったから仕方ないもんネ。短い人生楽しかった?ホントゴメン」

 影はふんわりと髪を揺らし、あっさりと人を()()。彼女の手には迷いがないように見えた。少女からかすれ切った悲鳴と、血がこぼれだす。

「お別れ許してあげる。ちょっとはやさしいでしょ?」

 刃を持った影はわずかに光を発してその場から消え失せる。新しく表れた少女は場所が急に変わり驚きながら周りを見る。倒れている少女が自分がこの世界で一番信用、信頼、そして信じている人だということを理解する。駆け寄っていくつか言葉を交わすと時間が来てしまったように人としての生命を終えようとする。

 

 彼女の人生での初めての絶望。そしてこの世界で初めて一人となった。

――如月 妃葵(きさらぎ ひまり)は。

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