冒険者ランクと実力の乖離
ファンタジー作品に出てくる「冒険者ランク」の概念、リアリティという面から非難する者もいるが、格付けが好きな読者の心情、「高くてもいいから腕利きよこして」というクライアントからの需要を考えると一応の役割を果たしている。
しかし冒険者ランクというのはあくまで目安で会って実力そのものではない。そりゃそうだろう、ステータスオープンの世界ならレベルを見ればよいのだから。冒険者ランクというのはあくまで冒険者ギルドが冒険者個人を外から見て判断しているに過ぎない。
なおギルド側のランク認定は他の街あるいは外国などかなり広い範囲で通用するのが一般的である。つまり冒険者ギルドはそれだけ大きな組織だというのが前提になる。そうなると冒険者ギルドは相当な数の戦闘員を抱えた国家からすれば厄介な組織ということになってしまい結局リアリティが無いことになってしまうが、それは置いといてランク制度の話を続ける。
冒険者ランクと実力は違うのに、作中の冒険者がなぜランクを上げようと必死になっているのが理解できない。運良く活躍できて高評価で昇級できても無理なクエストを押し付けられるだけではないか。逆に実力の割にランクが低ければ有事(魔物の大軍が攻めてきた)の強制動員でも「動員はBランク以上と聞いてるぞ! 日頃俺を評価しないのにいざという時頼られても知らん!」と言って逃げられる。
ランクと実力が見合っていない代表格がゴブリンスレイヤー、ホントに10等級中3位かと思うほど弱い。ゴブリン程度にいろいろ工夫しないといけないというのは基本戦闘力が低い証拠。売れ残りやすいゴブリン依頼を片付けてくれてギルドに都合がいいから審査が甘いに違いない。
とはいえステータスが可視化されてない世界でのランク評価が難しいのも事実である。教官(元ベテランのギルドマスターとか)が実力テストをやれ!と思ったのだが、それだと補助・回復担当が不利になる。
結局「○○を倒した」など活動実績で判断するしかないのだが、「ホントに実力か?まぐれや奇策じゃないのか?」「強い奴に同行してただけで実際に活躍したのか?」の疑いが残るため審査に慎重になる。なので「異世界チート魔術師」のように強すぎる主人公だと実力や成果に審査が追いつかないことも。
なお、完全な実力主義か素行も審査に影響するかは作品による。クライアントによってはとにかく強い奴が欲しいこともあるだろうし、ランクが高くなると貴族との付き合いもあるから素行も気になる。だが冒険者制度ににならず者に仕事を与えて犯罪を抑制する側面もある以上、素行にはある程度目をつぶらないといけない。ランクが上がらず割のいい仕事ができないと「俺の実力なら犯罪組織の方がおいしい思いができる」と思われてしまうからだ。素行は減点要素にこそなれ、審査の機会すら与えないのはやめたほうがよい。ゴブリンスレイヤー作中で言及される強いのに素行が原因で白磁等級のままの剣士、山賊団乗っ取って正規軍による討伐に高いコスト支払わせてるだろとw




