多種族世界で人間って繁栄できるの?
エルフ…俊敏で弓と魔法が得意
ドワーフ…力持ちで戦士にも職人にも向いている
で、人間の種族としてのウリって何?
実際、『ノーゲーム・ノーライフ』だと人間は何の特殊能力も持たない底辺種族、『ダンまち』だとエルフやパルゥムや獣人が目立っていて人間は意外と影が薄い。だが大半のファンタジー世界では人間がスタンダード種族として君臨していることが多い。スペック面で有利さが無いのになぜ衰退しないのだろうか?
「繁殖力が高い」と説明している作品もある。しかし人間はリアル動物やファンタジー種族と比較して驚くほど繁殖効率が悪い。例えば猫は生後半年から1年ぐらいで繁殖可能になり、環境にもよるが10年ぐらいは生み続けることができる。手がかからなくなるのが早いので次の子を産むのに抵抗が無い。ラクシア(ソード・ワールド2.x)のエルフは寿命が500年と他作品のエルフより短い方だが、成人するまでの期間は人間と同じ(高等教育が一般的でないので15歳)で老化は300歳くらいから始まるそうなので「事実上の一人っ子(上の子が独り立ちしてから産む)」でも10人以上産める。それに対して人間の「成体になるまで平均寿命の4分の1かかる」のは長すぎ、「生殖に使えるのが平均寿命の4分の1しかない」のは短すぎる。
精神的成熟の違いだろうか? そのスペックの高さから「生活の不自由」を感じず、人間みたいに必死で創意工夫しないから発展しないとか。
なお昔のファンタジー、例えばフォーセリア(ロードス島戦記や昔のソード・ワールド)ではエルフは人間と距離を取りがちで独立状態だから人間とトラブルになりにくいと考えることもできた。しかし近年のファンタジーでは異種族が街で人間に混じって暮らしていることが多い。そうなると新たな問題が発生する。
数年前に問題になった医大入試不正事件、これは「少々成績が悪くても長く働いてくれる者(現役男子)が欲しい」という大学病院の都合が根底にあった。これを魔術師ギルドに置き換えて考えると「教える手間に対するリターン(将来の活躍)」が大きい長命種を採用したくなるだろう。TRPGの1セッションの活躍の種族差が小さければ小さい程、世界観的には寿命の長い方が働き手として歓迎され人間が居場所を奪われやすい。




