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揺らめき移ろうものたち

通り雨

作者: 黒森 冬炎

突然の雨は激しく

真夏でもないのに

上がればまもなく

路はからりと乾いてゆく


道端にひょろりとマロウが咲いていた

さほど元気なわけではないが

どこからか運ばれてきた種が

濃い紫をいっぱいに開いて

知らん顔して



花陰なんて

何もない

本当はだれも

知らないけれど


小さな小さな

ガラスの子熊が

驚くほどに透明だ



路で乾いた雨粒が

未だ乾かず濡れている

つるりとおちても良さそうな

それでも飾る耳の下


虹色に

あるいは紫に

てんとう虫も呑気に歩み

カタツムリは急がない



ガラスの小さな子熊が並び

雨上がりの街を行進だ

戸口を飾る紫陽花や

割れ目に生える露草よ


行く先々の花陰に

色なく熱も何もなく

花びらさえも

持たずして


ガラスの小さな子熊が並び

眩しい光を一列に

鉄柵の中のクレマチス

竹垣の中のギボウシよ


時折カシャリとぶつかって

砕ける光は粉となり

また雨となるその日まで

嬉しそうに昇ってゆく


お読み下さりありがとうございました

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― 新着の感想 ―
[良い点] 紫色のマロウと紫陽花、露草と ガラスの小さな子熊達 がとてもかわいいです。 行進しているガラスの子熊、ちょっと不思議な感じが素敵です。
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