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うるさいBBAはこうやって黙らせろ‼

作者: 津地こう

「あそこの売り場にゴミ落ちてたわよ。朝の担当あなたじゃないの?」

「・・・」

「それと売り場が荒れてるわよ。ちゃんとしないとダメじゃない」

「はい・・・」

事務所で私に散々説教をたれてくるこの女は海川紀子。自分は対して何もしないくせにいつもこんな感じで言ってくる。ただ店に最初からいたというだけで偉そうにしているのだ。

「あなたは気楽でいいわよね。私なんて大変なんだから!」

「・・・」

一体何が大変なのだろうか。旦那と熟年離婚したこの女はたんまりと慰謝料をもらって悠々自適に暮らしている。仕事場でもオープニングメンバーという立場を利用してやりたい放題言いたい放題なのだ。

「じゃあわたしはこれで」

さっさと売り場に戻ろう。これ以上この女と一緒の空間にいたら息が詰まってしまう。

「待って!」

「・・・まだ何か?」

「肩揉んで」

「え?」

「聞こえないの?肩がこっちゃったから揉んでちょうだい!」

「・・・」

この女はどこまで勝手なら気が済むのだろうか。日頃からの分も重なって私の我慢は限界に達した。

「いつもいつも・・・」

「何?さっさとしてよ!」

「いい加減にしろおぉぉぉ‼」

バゴーン‼

凄い音がして海川の隣に置いてあったゴミ箱が粉々に砕け散った。

「あ、あ、あ、あんた‼今く、く、口からビーム出たわよ‼」

海川がガタガタ震えながらそう言った。

「何の音⁉」

騒ぎを聞きつけたスタッフ数名が慌てて事務所に入って来た。

「じ、じ、実は立花さんが口からビーム出してゴミ箱を壊しちゃったのよ‼」

「・・・」

みんな、とうとうコイツ頭イカれちまったのか?みたいな目で海川を見る。何も言わないがみんなそれぞれ彼女に対して不満を抱いているのだ。

「いや、あのね、海川さんが椅子と間違えて座ろうとして・・・そしたら壊れちゃったのよ」

「プッ‼」

スタッフの一人がたまらず吹き出した。

「あなた何笑ってるの?」

海川が彼女をギロリと睨む。

「い、いえ何でも‼」

慌てて姿勢を正す彼女。

「ホントに口からビームが出たのよ‼どうして信じてくれないの?」

「わ、私たちそろそろ売り場に戻らないと‼ほらみんなも‼」

「そ、そうね‼」

話を逸らすようにしてスタッフたちは事務所から出て行った。

「・・・私がビーム出したってそれ本当ですか?」

「だからさっきから言ってるじゃない‼そうじゃなきゃゴミ箱がこんな風になるわけないでしょ‼」

「・・・」

信じられない話だが海川が嘘を言っているようには見えない。だとしたらこれは復讐のチャンスかもしれない。

「ねぇ海川さん」

「何よ」

「今まで散々私に酷い事言ってきましたよね?それを今ここで謝ってくれません?」

「はぁ?一体何を言って・・・」

「今度ビーム出したら粉々になるのはあなたの体かもしれませんよ?」

耳元でわざと恐怖を煽るような言い方をする。

「‼」

海川はガタガタと身体を震わせながら地面にひれ伏した。

「二度と私に逆らわないって誓いますか?」

「誓う誓う‼誓うから命だけはどうか‼」

完全に恐怖に屈した目。いい気味だ。あの海川紀子が私にひれ伏している!

「後、これからはもっとテキパキと働いてください。そうじゃないとビームですよ?」

「はい‼」

海川はそう言って急ぎ足で事務所を出て行った。その日、彼女がどれだけ必死に働いたかは言うまでもない。

・・・

・・・・

・・・・・

「ただいまー」

その日の仕事を終えた私はウキウキ気分で帰宅した。

「お帰り。今日はえらく機嫌がいいな」

同棲中の彼氏、増崎隼人が出迎えてくれた。

「分かる?」

「それだけニコニコしていたら誰でも分かるさ」

「何があったと思う?絶対分からないと思うけど‼」

「うーんそうだな。口からビームを出して海川紀子をやっつけたとか」

「うんそうそう‼・・・え⁉」

彼氏の予想外過ぎる回答に私の頭がフリーズする」

「え?何で知ってるの⁉」

「お前の体に改造を施したのは俺なんだよ。寝ている間にちゃちゃっとな」

「・・・」

さらっととんでもない事を言う私の彼氏

「信じてないな?じゃあ証拠を見せてやろう」

隼人はそう言って自分の首筋のあたりを触り始めた。

バリバリバリ‼

「‼」

何かが破れるような音。服も全身の皮膚も破れ散った隼人はメタリックなロボに変身した。

「どうだ?カッコいいだろ?首筋のボタンで変身できる。普段は正体がばれないように人間の恰好をしているが」

そう言って首筋のボタンを押すと、皮膚と服が再生されて隼人はまた人間の姿に戻った。名前は日本人なのにチリ人に似てるし、相当変な彼氏だとは思っていたけどまさかロボだったなんて・・・

「俺がロボだなんて全く気付かなかっただろ?超特殊最新技術を使っているからな!」

「分かるわけないでしょ‼」

エマージェンー‼エマージェンシー‼

と、突然隼人の携帯がそう言って騒ぎ出した。

「緊急通報だ。今日からは俺と一緒に戦ってくれ。その為に改造を施したんだからな!」

「え?ちょっと‼」

色々とツッコむ暇もなく、隼人に手を引っ張られ車に連れて行かれた。

「ねぇ、どこに行くの?もう何が何だか訳が分からないんだけど」

「もうすぐ着く」

そしてしばらくして人気のない山奥に到着する。そこにはポツンと一つ小さな小屋が建っていた。

「何なのここは?」

「作戦指令室だ」

「?」

中に入ると一人の男が筋トレに励んでいた。

「翔太君、俺の彼女を連れてきたぞ!」

「翔太っす‼ちぃっす‼」

翔太と呼ばれた男はダンベルを置くとこちらにやって来て挨拶した。挨拶もチャラいが見た目もチャラい・・・いやほんとにかくチャラい‼

「どうも・・・彼女の佐井友子です・・・」

「翔太君は最近加入したメンバーだ。と言っても彼しかいないんだがな。バイトで体を鍛えすぎてパワーが有り余ってるらしいから、丁度うちにはピッタリの人材だ」

「あのさぁ・・・説明がなさ過ぎて何が何だかさっぱりなんだけど・・・」

「もうすぐ分かるさ」

と、隼人が言った矢先、外で凄い音がした。慌てて小屋を出て見るとそこには見たこともない巨大な生物が待ち構えていた。

「な、何なの⁉」

「あれはモンスターだ。あれと戦う為に我々は存在している」

「あんなの勝てないわよ‼」

「勝てなければ人類は滅ぶしかない。友子、怒るんだ‼お前のエネルギーの源は怒りだ。海川をやっつけた時のように怒りの感情でビームを出すんだ‼」

「無理よそんな急に‼」

「キシャアアア‼」

そんな事を言ってる間にモンスターがこちらに牙をむいてくる。

「きゃあぁぁぁ‼」

「任せるっす」

と、どこかの神拳使い並みにムキムキになった翔太君がモンスターに向かって拳を叩き込む。

「ギヤギャギャー‼」

モンスターは凄い悲鳴をあげて砕け散った。

「・・・」

「修業が足りないぞ友子‼」

「知らないわよ‼」

こうして普段は販売員、陰ではモンスターから地球を守るという私の忙しすぎる毎日が始まったのだった。めでたしめでたし?


あーちなみにあれ以来、海川が私に逆らってくることは二度とありませんでしたとさ。めでたしめでたし‼





























 完


ここまで読んで頂いて誠にありがとうございます。今回は大変短い内容となりました。かなりぶっ飛んだ内容になっているので良く分からない部分もあるとは思いますが温かい目で見て頂けると幸いです。

どこかにあるような無いようなそんな作品に仕上げてみました。

いや絶対ねーよ(笑)

次会も頑張りますのでまた宜しくお願い致します。


二〇二〇年 五月八日 津地こう

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