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エピローグ

 ――希望の未来が幕を開けようとしていた。

 瞳を開けたミケの横には、きぐるみを着たいつものペン子がいた。

 そして、二人は手を繋いでペンギンの水槽の前に立っていたのだった。

 ミケは少し顔を赤くしながらも、その手を強く握った。

 もう絶対に振り払ったりしない。

 しかし、そんな二人の中を引き裂く出来事がッ!

「ちょっとぉ〜っ、なんで手なんか繋いでんの!」

 パン子は強引に二人の間に割って入って、ミケとペン子の手を切り離すと、自分がミケと手を繋いで走り出した。

「ミケ様、イルカショーがはじまっちゃいますよ。サンドラちゃんも早く!」

 パン子が振り返った先をミケも見た。

 そこにはポチの背に隠れて恥ずかしそうにする少女の姿が?

「なんで!?」

 ミケは驚きの声をあげた。

 そこにはなんと可愛らしい女の子の洋服を着たアレックが立っていたのだ。

「(どういうことだよ!?)」

 なにがなんだかわからないミケに、誰かの心の声が聞こえた。

「(がぺ〜ん、どうなってるのぉ〜〜〜っ!?)」

 そう、それはペン子の声だった。

 ミケは自分と同じような顔をするペン子と顔を見合わせた。それから話したいことがあって口を開こうとしたが、パン子にグイグイ引っ張られてペン子と引き離されていく。

 パン子は突然途中で立ち止まって、海のほうを指差した。

「あ、赤い風船が飛んでるー」

 同じ方向を見たミケはハッとした。

 まったく同じ光景を見たことがあった。けれどアレックはそこにいる。しかも少女の姿をして。

 そのあともミケは頭をグルグルさせながら、流されるままに時間を過ごしてしまった。

 そして、夕方になって――。

 砂浜に置かれている宇宙船の前で、ポチとアレックが帰るという話になっていた。

 ポチは自分の背中に隠れているアレックを前に押し出した。

「ほらサンドラ皇女、ちゃんと挨拶しなくていいのですか?」

「……お兄様、さようなら」

 モジモジしながらアレックは言うと、またすぐにポチの後ろに隠れてしまった。

 ミケが怪訝な顔をしていると、ポチが少し怒ったような顔で、

「まだ怒っているのかエロリック皇子? サンドラ皇女は貴方にどうしても会いたくて単身地球に来てしまったのだ。ニャー帝国が大騒ぎになったのは事実だが、兄らしくもっと妹に優しく接したらどうだ?」

「あ、ああ。そうだな……じゃあ、またなサンドラ(ってなんなんだよこの展開!)」

「俺が妹君のことをニャー帝国まで無事に送り届けるから心配するなエロリック。それにしても、地球に俺の宇宙船を直せる者がいて助かった。サンドラ皇女が乗ってきた宇宙船は一人乗りだったからな」

 やっぱりミケは理解できなかった。そこでこんな質問をした。

「あのさ、なんでポチは地球にいんの?」

「なにを言っているのだ今さら? 俺の目的は行方不明になった貴様を見つけ出し、ニャー帝国に連れて帰ることだろう。それなのに貴様がどうしても帰らないというから、俺はあの手この手を尽くして、その度に貴様に酷い目に遭わされたのだぞ!」

 まだ完全に理解したわけではないが、だんだんと事態が飲み込めてきた。

 しかしそんなことが本当に起こったのだろうか?

 ペン子がミケの傍に来て耳打ちをする。

「あの日に戻ってますよね?」

「オレもそう思う」

「それになんだかみんなの過去が変わってますよね?」

「それに気づいているのオレたちだけなのか?」

「どうでしょう?」

 おそらくこれこそが、宇宙の法則を覆した〈聖杯〉の奇跡。

 そして話は進み、ポチとアレック――今はサンドラは、手を振りながら宇宙船の中に乗り込んでいった。

「お兄様、またいっぱい遊んでね!」

 煌帝ではない、明るく元気な少女がそこにはいた。

 飛び立っていく宇宙船にミケは手を振り続けた。

 そんなミケの前にヌウォッと突然顔を出したパンダマン。

「ぎゃっ、なんだよいきなり!?」

「実は……わしも宇宙に帰らなくてはならないのだ」

 えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜っ!

 一同愕然。

 パン子はパンダマンの胸ぐらをつかんでブンブン振った。

「どういうことお父さん!」

「うさぎには黙っていたがお父さんはパンダ王国の王様なのだ」

 ここでミケが後半はなかったことにして、前半にツッコミを入れる。

「うさぎって?」

 パン子は目を丸くして、

「アタシの本名知りませんでしたっけ? アタシの名前は山田うさぎです」

 パンダなのにウサギかよッ!

 この急展開にキミたちはちゃんとついて来られているか?

 さあ、キミたちはこれから、さらなる偉大なる歴史的瞬間を目の当たりにすることになるのだッ!

 夕焼けの空をよくある円盤形UFOがゆらゆら飛んでくる。

 真面目な顔にパンダマン。

「お別れだうさぎ。母さんや弟たちのことを頼んだぞ!」

 宙で停止したUFOから光の柱が地面に向かって伸びた。

 この光の柱に吸い上げられ昇っていくパンダマン――弐号!

 こっちにいるパンダマンではなく、ちょっと遠くにいたパンダマン弐号をUFOは吸い上げていた。

 吸い上げられていくパンダマン弐号に向かって黒服の男たちがなにか叫んでいる。

「総理! 総理大臣!」

 光の柱を昇るパンダマン弐号の表情は神々しく、とても穏やかで至福に満ちあふれていたのだった。

 そして、パンダマン弐号はUFOに乗って宇宙の彼方へ飛び去った。

 パン子は弐号の乗ったUFOを追って走り出す。

「お父さんがお父さんが連れて行かれちゃう!」

 隣にいるパンダマンは華麗にスルー。

 ペン子が大きくうなずいた。

「うん、山田さんのお父さんを助けに行きましょう。ほらミケちゃん、早くヒナの背中に乗って!」

「え、えええ!?」

 ミケはとにかくペン子の背中に乗った。

 するとペン子が空を飛んだ。

 驚くミケ。

「空飛べるのかよ!?」

「うん、なんか飛べるような気がしたら、本当に飛べちゃった」

 輝くペン子の笑顔。その手にはクルクルキャンディ。

「ミケちゃんも食べる?」

「うん、のぞみがくれるモノならなんでも」

「棒付きキャンディはなかよしのしるしなんだよ♪」

 ミケを背中に乗せたペン子は自由に空を泳ぎ、ハートのこもったキャンディを世界中にばらまいた。

 砂浜に残されたパン子は、ミケとペン子がUFOとは違う空に消えたと知って叫ぶ。

「ペンギンに出し抜かれたーっ!」

 そして、その傍らではパンダマンが砂浜に文字を書いていた。


『これで終わらせてたまるかーっ!』


 おしまい♪

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