王城へ
「……ここが、城かぁ」
ローゼに連れてこられたトシロウが見上げるのは、立派と表現する以外に言葉が見つからない大きな城だ。今までは遠目にしか見ることはなかったが、近くでみるとなんと立派で大きな城であろうか。
パラムス王国の、パラムス城。ここで、ローゼやカラメルは騎士として訓練をし、王国を収める王に仕えている。
「おぉ、大きい」
「ふん、当然だ」
ただ王国に仕えている騎士というだけだというのに、やけに偉そうなカラメル。騎士として妙なプライドがある彼にとって、なにかしら自慢したいのだろう。
そんなカラメルの態度を、トシロウは華麗にスルー。
「さ、後に続いて入ってくれ」
どうやら、ローゼも同様にカラメルの言動を気にしないらしく、気にする素振りすらない。カラメルは少し寂しいのか黙ってしまった。
トシロウ、シャロ、ホーラの三人を引き連れ、ローゼは大門……の横にある小さな門から、中へと入っていく。城の内部へと繋がる、人一人が通れる小さな門だ。
このような大門を開ける時は、個人的な理由ではあり得ない。騎士団が外に出るときや、他の国からの人間が来たときなど、有事の際に限られる。
門の大きさが違うだけで、どちらとも門であることに変わりはない。城の外から内へ、足を踏み入れていく。
さすがは王国の城というべきか……大きな庭が、視界いっぱいに広がっている。さらには何個か噴水もあり、それだけでも華やかさをうかがわせる。
「よそ見をしてはぐれるなよ」
ローゼの案内の下、トシロウら四人はその後ろを歩く。豪華な内装に目を奪われ、はぐれてしまってはいけないのだ。
そしてしばらく、長い廊下を歩いたあとに……一つの、大きな扉の前にて立ち止まる。ここは、扉だけでもいっそうに豪華な造りになっている。
瞬間、ローゼとカラメルの空気が変わる。先ほどまで話しかけやすかった緩やかなものから、ピリピリとしたものへ。
その雰囲気、そして扉の豪華さ……この奥に何があるかは、トシロウに、シャロに、そしてホーラにもわかる。
……この奥に、いるのだう。この国の王が。
「お前たち、くれぐれも無礼がないようにしろ」
一番心配なカラメルから、一番まともそうなことを言われたトシロウはとっさに言い返そうとするが、その凛とした表情に何も言い返すことができない。
いつもの、あのふざけた姿は今のカラメルには、なかった。
「騎士団団長、ローゼ・ヴィルムット! 入ります!」
扉の前で大声を張り上げ、扉に手をかけるローゼの姿は、まるで一枚の絵であるかのように美しかった。
ゆっくりと、確実に扉が開かれる。その奥にいるこの国の王が、そこで待っていた……




