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Link ∞ Ring Online ~仮想学園の幸運剣士~  作者: 灯色ひろ
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ダンジョン対決、決着。

 それから僕たちは転んだ子を起こして、二人の無事を確認する。


「二人とも大丈夫?」

「他にメンバーはいないのかしら?」


 僕と琴音さんの質問に、二人はこくこくうなずいて応える。

 二人が落ち着いたところで訊けば、サヤさんとヒビキさんはイベントダンジョンの《古代竜の巣》に挑戦するためにここでレベリングをしていたようで、知らないうちにボスの部屋に突入してしまったのだとか。レベルもまだ30程度らしい。それだとここはだいぶキツイだろう。

 二人は僕と琴音さんの顔をじっと見上げながら、



「「……かっこいぃ…………」」



 と、ほわ~んと呆けた顔でつぶやいた。


「「え?」」と戸惑ってしまった僕たちに、二人はハッとして慌てだし、


「あっ、ごめんなさい! 助けてくれてありがとね! もー怖くて動けなかったよー!」

「ホントに助かったよ~! ありがとユウキくん! なんか、今度一緒に遊ぼうねって約束が変な形で叶っちゃったね」

「あははは確かにねー!」


 サヤさんもヒビキさんも楽しそうに笑い出す。よかった、もう問題なさそうだ。

 と、そこで琴音さんが二人の前に立って言った。


「ここはあなたたちにはまだ少し早いわね。ペアの組み合わせは問題ないから、もうちょっと難易度の低いところでレベルを上げてからにしなさい。もしくは人数を増やして来るとかね」

「そうですね。琴音さんの言うとおり、そうした方が良いと思うよ」

「「う、うん!」」


 勢いよく返事をする二人。

 一緒に遊んだことはまだなかったけど、素直で良い子たちみたいでよかった。


「それから、お互い相方を大切にね。特に《クレリック》のサヤさん。支援は相手が何を望んでいるか、何を欲しているかを見極めて、適切な動きをすることが基本よ。そのためには、組む相手のこともよく知っておく必要があるわ。特にあなたたち同士で組むことが多いのなら、相方好みの支援を出来るようになるべきね」

「う、うん、ありがとう!」

「ええ。頑張って」


 琴音さんのクールな笑みに、サヤさんは見惚れるように喜んでいた。

それから二人はワープアイテムを使ってダンジョンから脱出し、僕たちだけが残る。

 メイさんが言った。


「――さてさてっ! ちょっとしたハプニングもあったけど、ボスも倒したことだし、これで琴音の番も終わりとしまーす! みんな、結果はもう出てるかな?」


 そんな発言に、審査員のみんなはそれぞれうなずいて返した。


「うん、じゃあこの場で結果を発表します。ユウキくんをよりサポートしたと思われるのはどちらか――選んでください!」


 メイさんの言葉に従い、全員の手が動く。

 そしてその結果は――


 楓さんがひかりを。


 メイさん、ナナミ、レイジさんとビードルさん、るぅ子さんは琴音さんの方を示した。


 1体5。

 勝利したのは――琴音さんの方だった。


「ええ。まぁ当然ね」

「うぅ……負けちゃいました……」


 髪を撫で払う琴音さんと、しょんぼりと肩をなで下ろすひかり。


「はい、それじゃあ簡単なコメント! えーっとね、メイさんの意見としては、ひかりももちろん悪くなかったよ。ユウキくんとはコンビネーションも取れてたし、お互いが前衛で戦えるからサクサク行ったしね。けれど、ちょーっと琴音がすごすぎたかなって」

「ひかりには悪いんだけど、あたしも同じだ。最初は意地でもひかりを選びたかったけどさ、そいつの支援、まじですげぇわ。危ないところまったくなかったしな」

「うん。見ている僕も昂ぶるほどだったよ。バフもまったく途切れないし、琴音くんほど上手い支援は他に知らないくらいさ。生徒会に欲しいほどの人材だよ」

「ふん。しかもあのハプニングも完璧にこなした。見事な手腕だ」

「そうですね。会計の私も賛成したいくらいです」


 琴音さんを選んだみんながそう答えて、琴音さんは少し照れたように「あ、ありがとう」と言葉を返した。ひかりはますますうなだれてしまう。


「ひかり……」


 どう声をかければいいんだろう。

 僕がそう思っていたとき、唯一ひかりを選んだ楓さんが、そっと背後からひかりの両肩に手を乗せた。


「ひ~かりちゃん♪」

「わっ、か、楓さん……?」


 目をパチパチさせるひかりに、楓さんは微笑みながら告げる。


「そうねぇ~。私もみんなとおおむね同意見なんだけれど、私は、ユウキちゃんがより自然体に戦えていたのは、ひかりちゃんとのペアかなぁ~って思ったのよねぇ~」

「え……?」

「ウフフ。だから私はひかりちゃんよ~♪ それに私は、ひかりちゃんみたいな殴りクレが好きなのよね~。見ていて気持ち良いっていうかぁ~」

「楓さん……」


 顔を上げたひかりに、楓さんはまたニコッと優しく笑いかける。そのおかげでひかりが笑顔に戻ってくれた。

 相方なのに何も出来なかった自分が情けないけど、ああ、楓さんありがとうございます……!

 

「ふふ。はーい、みんなありがとうございました! というわけで、第二勝負の勝者は琴音! けどひかりも頑張ったね! 二人ともお疲れ様! ユウキくんもね!」


 メイさんが拍手をして、みんなもそれに習う。

 僕も同じだけど……この結果には、納得してしまうしかない。

 楓さんの言ってくれた通り、ひかりとのペアは楽しくて変に気張ることもなく自然体でいられた。でもそれは僕とひかりが相方同士だからであり、過去に積み上げてきたものがある、というのも大きいと思うんだ。

 その点、琴音さんと組むのは今日が初めてだ。なのに琴音さんは初めて組むはずの僕に合わせて適切な支援を施し、僕が全力で立ち回れるように動いてくれた。その上であんなハプニングにも落ち着いた対処し、あまつさえ襲われていたサヤさんとヒビキさんまで助けてしまった。

 琴音さんのあの実力を見れば、より僕を上手くサポートしてくれた、という意味ではやはり琴音さんに軍配が上がるのかな、と思えてしまう。だからといって、僕の相方にふさわしいのは琴音さんだということ結論にはならないけれど。


「どうひかり? これが支援に特化したプリの実力よ」

「はい……琴音さん、すごかったです! わたしも憧れちゃうくらいでした……」

「あなたは本当に素直ね……。けれど、この勝負は始めから私が有利なのだから結果は当然だわ。あなたのような型は珍しいのだから、落ち込む必要もないわよ。むしろ私は、あなたが殴り型でありながら、ユウキくんと息もぴったりに戦えたことに感心しているわ」

「琴音さん……」


 ひかりは呆然と琴音さんを見上げ、琴音さんはすぐに意識を切り替えたように言った。


「ともかくこれでイーブンね。さぁメイ、最後の勝負を始めましょう」

「うん、そうだね。それじゃあ第三勝負を始めるので、みんな街に戻るよー! 《ルーンの翼》ない人いるかな? ――うん、いないね。それじゃあ戻りましょう~!」


 そうして僕たちは《ラトゥーニ廃聖堂》ダンジョンから帰還し、次なる勝負の会場へ移動するのだった――。

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