↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Link ∞ Ring Online ~仮想学園の幸運剣士~  作者: 灯色ひろ
4th link

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
61/101

突入、《古代竜の巣》

《古代竜の巣 1F》


「《シールド・チャージ》!!」


 先頭に立つビードルさんがその巨盾を構え、二体のドラゴンが吹き出した火炎ブレス攻撃を防いでくれる。


「今だッ! 行け、二人ともッ!」

「よし、行くよユウキくん! 《ランス・ポイント》!!」

「はい! 《ソード・ダンス》!!」


 ビードルさんの指示を受け、彼の後ろに隠れていた前衛の僕とレイジさんは前に駆けだし、それぞれでスキル攻撃を放つ。

 それにより、僕たちの前に立ちふさがっていた二体のドラゴンがその巨体を振るわせて断末魔の悲鳴を上げながら倒れ、粒子となって消えていく。ドロップした《古代竜の鱗》はナナミさんが拾ってくれた。


 レイジさんが額の汗を拭い、いつものように爽やかに言った。

「――うん! やはりこの編成なら安定感は高いね。だけど、この辺りで少し休憩しようか。みんな、それぞれHPとMPの回復を。取得物で重くなったらナナミくんに渡して。ナナミくん、重量はまだ平気かい?」

「よゆー」


 軽い返事をしたナナミさんに、みんな拾ったドロップアイテムを渡していき、代わりにナナミさんから回復材などを受け取り、補給をすませて休憩に入る。

 僕もそれを済ませてから水を飲み、ひかりと楓さんに向けて言った。


「ふぅ。結構骨が折れるねここ。ひかりと楓さんにもだいぶ負担をかけて……二人とも平気かな?」

「わたしはぜんぜん大丈夫ですっ! ユウキくんは、おもいっきり戦ってくださいねっ!」

「うふふ。私も平気よ~ユウキちゃん。けれど、ひかりちゃんも私も、MPだけはちょ~っと厳しめかしらね~」


 杖を握って意気込むひかりは座ってMPを回復していて、同じように楓さんもひかりに寄り添って回復していた。二人とも笑顔で気遣ってくれているけど、やっぱり負担をかけてるよなぁ。何せ二人とも支援のヒーラーというわけではないんだし、やっぱり本職のヒーラーが欲しいところだ。


「うーん、確かに聞いていたとおり難易度の高いダンジョンだよね~。でも、メイさん的にはこれくらいの方がやる気出ますっ! ふんすー!」

「ふん、なかなか良い度胸をしている女子おなごだな。気に入った」

「わわ、ビードルさんに気に入られるなんて、メイビィさんすごいです……!」

「ははは。生徒会のみんなもずいぶんそちらのギルドと打ち解けてきたね。僕も嬉しいよ」


 呪文連発しまくっていたはずなのに、まだまだ疲労の色を感じさせないメイさんの発言にビードルさんが腕を組んで座り込みながらうなずき、矢の補充をしていたるぅ子さんがそれに驚いていた。レイジさんはそんな光景を嬉しそうに見つめて水を飲んでいた。


 そんなわけでついに突入した期間限定イベントダンジョン――《古代竜の巣》。

 ここは1Fから大量のドラゴン族モンスターだけで溢れており、ほとんどのドラゴンたちがアクティブに動いてはプレイヤーを見つけた途端に猛攻撃してくるため、気を抜いて休む暇がなかなかなかった。

 そんなダンジョンを進んでいる僕たちは、先頭に壁役のビードルさん、その後ろに前衛の僕とレイジさんが並び、その後ろには前衛兼支援のひかりが控えて、そのさらに後ろにメイさんと楓さんの魔法使いコンビ。そしてしんがりのナナミを遠距離攻撃の得意なるぅ子さんが守るという編成で、今のところはかなり安定した狩りが出来ている。特に火力は十分だ。

 僕もひかりと《リンク・パートナー契約》したことで、ひかりのステータス値の一部がボーナスとして僕のステータスにプラスされており、そのおかげでSTRとAGIが底上げされ、火力は以前よりさらに上昇している。

 もちろんひかりのステータスにも僕のステータスのボーナスがプラスされてるけど、それは当然LUKのみなので、ひかりにとってはあんまり意味はないかもしれない。


 そんな頼もしいパーティーだったけど、やっぱり完全な支援ヒーラーがいないから、ひかりと楓さんがみんなに《ヒール》をかけ続けるだけでMP運用がカツカツ――というか足りていないし、不意の湧きもあるから明らかに負担が大きい。

 けど、やはりひかりに《プリエ》をかけてもらえるだけでも相当違うことがわかっているから、ひかりは常に僕たちの動きを見て支援をしてくれながら、さらに自分でも前に出て敵を叩いてくれる。回復材はナナミさんが多めに持ってきてくれているから、まだ大丈夫そうだけど……


「なぁ。にしてもここ、やっぱ相当キツくねーか? 一時間かけてまだ1Fもクリア出来てないとか難易度たけーよ。仮にもLROのトップギルドと組んでるのにさ。運営が調整間違えてんじゃねーの?」

「そうですね……先ほどから、各所で他のパーティーの阿鼻叫喚も聞こえてきますし」


 耳をすませば聞こえる悲鳴。ナナミとるぅ子さんの発言に、おそらくは全員が同意していた。


 さすがはファンタジー作品における定番の強敵・ドラゴンというべきなのか、とにかくどいつもこいつもHPが高くて物理耐性が高いし、攻撃力も相当なものだ。その上ブレス攻撃で状態異常も付与してくるし、バランスのとれたチームワークのあるパーティーでなければすぐ全滅だろう。実際に周りもどんどん壊滅していたし、1Fの奥ともなると、僕たち以外のパーティーは数えるほどだ。

 また、おそらくこのダンジョンには人数制限がかかっていて、その人数を超えると『まったく同じ別のダンジョン』に飛ばされる仕様になってるみたいだから、そもそもダンジョンに突入しているパーティーが少ないというのもあるんだろう。せいぜい一つのダンジョンに200~300人くらいというところではないだろうか。

 まぁ、五万人が一度に一つのダンジョンに押し寄せたらさすがにクリアなんて楽になってしまうだろうし、そもそもそんなことしたらいくら大企業の高性能サーバーだって耐えられない。王都だけは、最大で十万人くらいまで耐えられるサーバー群を使ってるとか聞いたことあるけど。


「……ん?」


 そこで何か視線を感じた僕は周囲を見回す。

 またモンスターが現れたのかと思って身構えたけど、特に敵の姿はない。

 その代わり――奥へ続く通路からこちらを見ていたらしい誰かが走って去っていった。


「……? プレイヤーかな?」


 名前を確認する暇もなかったけど、たぶん僕たちと同じ攻略狙いのパーティーだろうとは思う。そろそろあの向こう辺りでボスが出現する頃かもしれない。

 何はともあれ、僕たちはそんなダンジョンに苦戦を強いられていた。

 そこでひかりが立ち上がって言った。


「すごく難しいダンジョンですけど……でも、みんなで協力すればきっと攻略出来ると思います! わたし、支援も殴りも頑張りますっ! ファイトですよーっ!」


 そんなひかりの言葉に、疲労の滲んでいたみんなの表情が明るくなっていく。ただそれだけの言葉で場の空気が変わり、みんなより前向きな明るい目をするようになった。

 ひかりは、いつもこうしてみんなのムードを作ってくれる。そういう意味でも僕たちは助けられていた。


「うん、そうだねひかり。一緒に頑張ろう。けど無理はしないように。危なくなったら僕の後ろに隠れていいからね」

「ユウキくん……はいっ、ありがとうございます! だけど、わたしも頑張ってユウキくんを守りますっ! パートナー契約でユウキくんのLUKが少しはわたしも使えますし、クリ攻撃しちゃいますよっ」

「あはは、ひかりがクリまで出せるようになったらすごい攻撃力になるよね。けど、僕も同じだよ。いざとなったら僕がみんなを――ひかりを守るからさ」

「ユウキくん…………は、はいっ!」


 ひかりがどこかほわんとした顔で僕を見つめ、そして綺麗な笑顔を見せてくれる。

 ちょっと恥ずかしい台詞だったけど、でも、僕は決めていた。

 ひかりを守ること。

 僕が相方で良かったって思ってもらえるように、僕ももっと成長する。そしてひかりにふさわしい男になれるように頑張るって。

 けど、そんな台詞をもちろんみんなにも聞かれてしまっていたものだから――


「おお……かっこいいねユウキくん! 男らしいよ! うん! そしてひかりくんの言う通り、僕たちが協力すればこのくらいのダンジョンは攻略可能なはずだ! さぁ、みんなで力を合わせようじゃないか!」

「ふん。伊達にレイジを倒した男とその相方ではないな」

「きゃあきゃあ! 僕が守るから……だってぇ! ねぇ楓今の聞いた聞いたっ? ユウキくんってばカワイイよねぇ! メイさんたちも守ってもらえるよ~!」

「いじりたくなる素敵な剣士様ねぇ~♪ ひかりちゃんがうらやましいわぁ~♪ あ、スクショ撮って発言ログ保存しておいたわよ~」

「バカップルかよ……見てるこっちが恥ずかしいって……なぁるぅ子?」

「え? そ、そうですねナナミさん。うらやま――て、照れてしまいますね」


 みんなにからかわれてしまって、僕の顔は急激に熱くなる。さっきは勢いに任せて言ってしまったけど、や、やっぱりこういうのは二人きりのときにしよう!


「と、とにかく先に進みましょう! みんな回復出来たみたいですし!」


 なんて話を誤魔化す僕。

 すっかり雰囲気も良くなったパーティー一同で、また冒険を始めようとした――まさにそのときだった。



「――う、うわあああ助けてくれえええええ!」



 突然の悲鳴に、僕たちはすぐさま立ち上がってそちらを見る。

 すると通路の方から一人の……いや、三人の男子生徒たちがこちらへ走ってくる。全員が《ソードマン》だった。

 しかもその中の一人は――先ほどひかりに声を掛けていたカズヤという生徒だ!


「なっ……!」


 驚愕して目を大きく開く僕。

 そんな三人の背後から、十……二十……大量のドラゴンたちが追いかけてきていた!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。