表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

詩小説へのはるかな道 第91話 沈黙のバラは誰のもの

作者: 水谷れい
掲載日:2026/01/15

原詩: あなたに捧げる沈黙のバラ


言葉になる前の

かすかな思いは花びら

そっと手のひらに集めて

あなたに渡します


触れればほどけてしまう

柔らかな花びらは

わたしの沈黙そのもの

まだ名を持たない祈り


もしもあなたが

この静かな祈りを受け取ってくれるなら

わたしはようやく

胸の奥のささやきをバラの形に結べます


ーーーーーーー


詩小説: 沈黙のバラは誰のもの


僕の部屋のドアをノックする音がしました。

時計を見ると、夜の十一時を少し回っていました。

こんな時間に訪ねてくる人なんて滅多にいません。

ドアを開けると、彼女が立っていました。

「これ、渡しに来たの」と彼女は言いました。

彼女の手のひらには、小さなバラが乗っていました。

けれど、それは花屋で売っているようなバラではありませんでした。

花びらはどこか曖昧で、輪郭が揺れている不思議なバラでした。

「消えてしまうかもしれないから、気をつけてね」

僕は慎重にそれを受け取りました。

「それ、祈りみたいなものなの」と彼女は言いました。

「まだ名前はないけれど」

僕はうなずきました。彼女の言うことはいつも少し抽象的なのです。

「もし受け取ってくれるなら、私、ようやく胸の奥のささやきを形にできるの」

そう言って、彼女はほっとしたように微笑みました。

僕はそのバラを机の上に置き、彼女にコーヒーでも淹れようとキッチンに向かいました。


戻ってきたとき、机の上は空っぽでした。

バラは跡形もなく消えていました。

「消えちゃったみたいだ」と僕は言いました。

彼女は少し考え込むようにしてから、ぽつりと言いました。

「……あ、渡す相手、間違えたかも」

そして、彼女は何事もなかったようにコーヒーを飲み始めました。


=====


わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。


連作短歌:沈黙のバラは誰のもの


Ⅰ 夜の訪問


十一時

ノックの音は

まだ柔らかく

眠らぬ胸に

影を落とせり


Ⅱ 揺れる花弁


輪郭の

ゆらぐバラこそ

名を持たず

祈りのかたち

手のひらに咲く


Ⅲ 受け取るということ


受け取れば

胸のささやき

形づくと

彼女はそっと

息をほどけり


Ⅳ 消失


コーヒーの

湯気の向こうで

空の机

沈黙だけが

花の行方知る


Ⅴ 渡し間違い


「間違えた

かもしれないの」

その一言

夜の温度が

少しだけ揺れ


Ⅵ 沈黙のバラ


消えたもの

それでもどこかで

咲いている

名もなき祈り

渡しそびれて


Ⅶ 誰のものでも


誰のもの

でもない想いが

夜に浮き

コーヒーの苦さ

そっと沁みゆく

詩をショートショートにする試みです。

詩小説と呼ぶことにしました。

その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ