1/41
プロローグ
薄暗い地下牢。身の回りを確認することすらままならない場所で、一人の少女が少年に何かを話しかけている。
――こいつは、何がしたいんだ。
少年はただ、この少女が不快であり、不思議である。
「お前、何がしたいんだ?」
「え?」
「俺が危険だってことわかってんだろ。それならなんで俺に構うんだよ」
急な問いかけに、少女は少し驚きながらも、冷静に答えた。
「あなたは、選ばれたの」
「だれ、に」
「――世界に」
少女から発せられた言葉は、驚きとともに少年の生気を少しだけ取り戻した――。