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遠い世界
夜風に吹かれて
月が浮かぶ空を見る
雲は速く流れて
心まで流されそう
夜の街が好きだった
幼い頃 手を引かれて
歩き続けた道を照らす
硬い光が好きだった
大人になるにつれて
ひとつひとつ失っていく
それは自分で手放すの
街路樹が葉を落とすように
それとも奪われてしまうの
人が森を壊すように
最後には何が残るの
列車の走る音が
街に響き渡る
どこに向かっているの
誰を乗せているの
ビルのあいだを星のように
滑る列車が見えたなら
もうここにはいられない
今すぐ列車に乗り込めば
どこか遠い世界へと
逃げてゆける気がするよ