三話 巫女、少女の家でお世話になる
「ここがサンの家?」
サンに連れられて来た場所は、とても大きな食堂だった。
中に入ってみると、二十数人ぐらい余裕で入れそうな大きさだった。
「私の家の食堂は、ここらへんで一番美味しいんですよ!」
サンは、ニコニコしながら話してくれた。
食堂を食べにくるお客さんの話や、家族の話、とても楽しそうに話してくれた。
やっぱ、こういう話は、聞いてて楽しいな。
400年封印されて、人と話すのが前より楽しくなった気がする。
「あっあの!貴方の強さを見込んで頼みがあります!こちらについてきてください」
突然なんだ?
なんで私が強いって分かったんだ?
もしかして、あの一本角の熊滅茶苦茶強かった?
いや、でも結構あっけなかったし、人並みより凄いからだからかな?
多分、そういうことだ。
うん。
「お母さん、戻ったよ」
サンは、ドアを開け、ベットに横たわっている人に言葉を投げかけた。
しかし、その人からは、何も帰ってこず、スースーと寝息が聞こえるだけだった。
サンは、その人の隣に行き、頭を撫でた。
「お母さん病気なんです、叩いても何しても起きない昏睡状態、このお母さんの病気を治すために薬を集めてて・・・、だから、森の奥のほうにいたんです」
サンは、ポツ、ポツと話し始めた。
その表情は、悲しくて、寂しいと訴えてるような表情だった。
「材料は、エキヨウダケ以外全部集まってるんです、でもそのあとエキヨウダケがどうしても見つからなくて・・・、一緒に探して欲しいんです!何でもしますから!お願いします!」
その瞳には、諦めないぞと強い意志が宿っていて、それを無視することは、私には出来なかった。
「いいよ!ただし、条件は、ここで働かせてくれること!分かった?」
「っ!!!ありがとうございます!」
その瞬間、サンの瞳に少しばかり希望の光が見えた気がした。
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「おはよう」
「おはようございます!」
私は挨拶をし、サンは、私を見ながらニコニコして、返事をした。
なんでそんなにニコニコしてんだ?
まあ、いいけど。
そう思いながら、椅子に座り、サンが用意してくれたであろう朝食を食べ始めた。
「なあ、朝食食べ終わったらエキヨウダケ探すのか?」
一応違う予定があったら大変だからね、聞いておかなきゃ。
「はい!ただ、私に付きっきりだと効率が悪いので手分けして探しましょう!」
「えっ!」
私は、てっきりサンの護衛をするもんだと思ってたんだけど・・・。
本当に大丈夫かな?
後からついていくか?
「えっ、ってなんですか!私も一応戦えますよ!」
「そうだったのか・・・、でもちょっと怖いからこれ持ってて」
そういいながら俺は、ポケットから取り出し【力】で作り出したお守りを渡す。
「なんですかこれ?」
「お守り」
「いや、それは分かるんですけど・・・」
そこは、聞かないでおこうよ。
この【力】のことは、あまり言いたくないからな~。
とりあえず誤魔化すか。
「私、エキヨウダケ取りに行ってくる」
「えっ、ちょっと待ってよ~」
ふぅ、危ない、危ない。
そこは、察してくれないと困るんだけどな~。
まあ、そこがサンのいいところでもあるんだろうけど。
さて、エキヨウダケ探してみるか。
ゾワ
「!」
なんだ、今のやばげな気配。
ちょっと探してみるか。
「サーチ」
私は、【力】を使ってそのやばげな気配を探す。
「あれ?気のせい?」
何度も探してもそのやばげな気配は無く、森は、平和そのものだった。
気のせい、ではないと思うんだよな。
一応警戒しておくか。
・・・
グギャギャギャ
アギャー!!!