一話 巫女、異世界で封印が解ける
<<血の表現あり>>
<<グロあり>>
これらが苦手な人は、気をつけてください。
ぴと、ぴと
刀から血という雫が落ちる。
私の周りには、大きな死体の山と大きな血の池。
建物らしき物は、血で赤く染まり建物かどうかさえも形でしか分からなくなってしまっている。
ああ。
叫び声が聞こえる。
「もう。もう。これ以上は、辞めてよ椿!!!」
その声は、【姉さん】か。
私だって、私だって、こんなことしたくなかった。
でも、体が手が勝手に動くんだよ。
【兄さん】と【姉さん】にこんなこと頼みたくないけど。
やるしかない。
最後の力を振り絞って。
心の底から声を上げろ。
大丈夫。
【兄さん】か【姉さん】にこの声が届けば大丈夫。
でも、口が震える。
言わなきゃいけないのに。
無理なのか。
声を口に出すことさえも。
いや。
私ならいけるはず。
頑張れ。
頑張れ。
声を振り絞れ!!!
「私を封印して」
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「・・・は!」
・・・最悪だ。
もう悪夢なんて見ないと思ってた。
まあ、こんな暗闇の中だったら流石の私でも気が滅入るか・・・?
《顔を見上げ、見渡すとそこは、どこにでもあるような洞窟の中だった》
私は、おかしくなったのか?
いや、だって。
私、今封印されてるはずだよね?
それなら、暗闇の中で目を覚ますはずだよね?
おかしい。
【兄さん】と【姉さん】に何かあったのか?
それとも、私が何かした?
世界が大変なことになっている可能性もある。
「あ~もう!」
考えてしても仕方ない。
取り敢えず周りを調べるほうが先決だ。
そう考えた私は、後ろを振り返り見てみる。
そうして、後ろを見てみると、道が岩に塞がれている。
「もしかして私が居るところがこの洞窟の一番奥?」
くそ。
よりにもよって人が来そうな場所に・・・。
この辺りを調べるのは、早めに済ませたほうが良さそうだな。
「この箱は・・・」
私は、足元に転がっていた箱を手に取る。
「私が封印されていた箱!!!」
そして、私が封印されていた箱の下には、魔法陣が書かれており、誰かの手によってここに連れてこられたのは、一目瞭然だった。
「はあ~。どんなバカが私を召喚したのやら」
本当に召喚したやつは、バカだ。
私という存在を分かってない。
私みたいな危険なやつは、ずっと封印されてたほうが絶対いいのに。
「私を封印しようにも自分で自分を封印っていうのは、出来ないからな。せっかくお天道様の下を歩けるんだ私の自由に生きさせてもらおう!」
まあ、【力】は、封印が解けて使えるようになってるし、どんな敵に会っても大丈夫だろう。
だけど、【あの時】と同じことが起きないように私の【力】は、むやみやたらに使わないようにしよう。
そうだ、この洞窟から出る前に一応この魔法陣を書き写しておこう。
何かに使えるかも知れないからな。
「そろそろこの洞窟を出ますか」
私は、立ち上がり出口に向かって歩いた。
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「眩しい」
なんと素晴らしいことでしょう。
眩しいと感じました。
嬉しい。
生涯私は、あの暗闇の中で過ごすと思ってたのに。
嬉しすぎる。
「あ。川がある」
私は、川のほうに歩いていき、水面を覗いた。
そこには、腰まで伸ばした黒いストレートヘヤーにルビーのようなキラキラした赤い瞳の美女が水面に映し出されていた。
「うん。我ながら相変わらずの美女だな」
そして、服装は、私の【力】で生み出された巫女服(戦闘服)だな。
まあ、巫女服って言っても、はたから見たら巫女服には、見えないけどな。
だって、人によって巫女服の形違うから。
まあ、十中八九【力】が原因だろうけどな
「さ~て、久しぶりに人に会えるのが楽しみだな!」
そうやって歩き出そうとしたその瞬間。
ギャルルル
後ろからそんな音が聞こえた。
その後ろから殺気を感じ私は、振り返りながらその殺気を飛ばしてきたやつに回し蹴りを入れた。
流石私。
「誰だよ私に殺気を飛ばしてきた野郎は・・・?」
私は、殺気を飛ばしてきた野郎に向かって視線を飛ばした。
「噓だろ」
そこには、私が見たことも聞いたこともないような生物がいた。
いや。
そんなばかな。
もしかして私。
「異世界で封印が解けてる!!!」