肉体完成
ここはどこ?」
僕は今、何もない真っ白な空間の見覚えのないベットの上に全裸でいる。辺りを見回してみると僕以外に誰もおらず、ベット以外何もない。
なんでこんな状況になっているのか必死に記憶を呼び戻そうとしても頭の中になにかモヤみたいなのがかかって思い出そうとするとズキリと痛んで思い出せない。
それになぜ全裸でベットの上にいるのかも・・・
数分間記憶の呼び戻し作業に奮闘していると何もない空間に突如扉が登場し、独りでに扉が開いていき中から誰かが出てきた。
出てきた人は瞳の色は銀色、両眼の色はきれいなコバルトブルー、身長は160前後、胸は大きすぎず小さすぎず丁度いい感じの僕好みの女性だ。でも、一つ相違点を上げるなら背中には人間にはない大きくて真っ白できれいな羽が6枚付いていることだ。そう、たぶんだけど彼女は日本では空想上の生物として扱われている天使なのだろう。
(きれいだな)
と内心思っていると彼女から
「あら、キレイだなんてお世辞でも嬉しいわ」
と声をかけられてしまった。どうやら彼女は人の心が読めるらしい。
え、心が読めることに驚かないのかって?いやー、目の前にいるのが人間だったら驚くだろうけど彼女は背中に羽がある時点で人間じゃないし、人外なら人間にはない能力を持っていても何も不思議じゃないし・・・だから、思っていたほど驚いてはいない。
とそんなこと言ってる場合じゃないな。今の僕の状況を確認しないと。
なぜ全裸で見知らぬベットで寝ていたのか。ここはどこなのか。そして、目の前の彼女は誰なのか。
「あの、ここはどこで貴方は誰なんですか?」
「あ、自己紹介がまだでしたね。私はエリスフィール、美と知識を司る女神で創造神エクスティア様の御付き兼秘書をしている者です。ちなみにカリバーンとは同期です」
「あ、僕は日番谷陽翔です」
「存じておりますよ」
お互いの自己紹介が終わったところでなんで全裸で寝ていたのか、何があったのかを全て聞いた。どうやらエクスフィール様曰くエクスティア様が転生用の体を創造しているときに魔法神キュール様と剣神カリバーン様に稽古をつけてもらうことになり、いざやってみるとカリバーン様がやりすぎてしまい僕の体を肉塊に変えてしまったらしい。で、そこに偶々エクスティア様に報告に来たエリスフィール様に肉体を再生させてもらい休ませてもらっていたらしい。・・・うん今度カリバーン様にあったら文句言ってやらなきゃ
内心カリバーン様にやることを誓っていると「着替えはここに置いておきますから、着替えたら出てきてくださいね」と言って部屋から出て行ってしまった。
「とりあえず着替えるか」
準備された服を確認するとユ〇クロなんかで上下セットで売られている黒いスウェットが荷物台に置かれていた。死ぬ前はよくこの格好で休日の日を過ごしたものだ。と思い出に耽っていること数分・・・
着替え終わり扉を開けると目の前には驚くべき光景があった。
なんと剣神カリバーン様と魔法神キュール様が二人揃って土下座をしていたのだ。
この光景に頭が追い付かず無言でいるとカリバーン様が「さっきはお前さんのことを肉塊にしてすまなかった。誰かに稽古をつけるなんて久しぶりだったからつい夢中になってしまった。申し訳ない。」と謝罪してきたのだ。それも死んだとはいえ人間に。
それに追従するようにキュール様も「私もあのときちゃんとに止めるべきだった。ごめんなさい。」と謝罪してきた。
神とはいえ悪いことをしたら、ちゃんとに頭を下げて謝ることができる二柱にこのとき好感度が少し上がった。
「いえちゃんとにエリスフィール様に治してもらったのでもういいですよ。だから二人とも頭上げてください」
「「・・・・」」
僕がそういうと二人は無言のまま頭を上げ、もう一度謝罪をしようとしたとき急に「できたああああああぁぁぁぁぁぁ――!」という声が聞こえてきた。
その大声が聞こえた瞬間どんよりとした空気感が一瞬でなくなってしまい、その代わりに一同の笑い声が響き渡った。
ただ一人、エクスティア様だけがなぜみんなが笑っているのかわかないままに。
僕はこの瞬間、この暖かい空気感と楽しそうにしているこの神々のことが好きになったし、この神々のために今回神々の使途としての任務を全うしようと改めて決意した。