表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天高くに咲く花   作者: 有賀 菜々
ー第一節 大昔のようでそこまで昔話でないー
1/1

第一章「吸血神は……生きたい」

鏡神の加賀見 譲(カガミ ユズル)は、自身の父親が生み出した子どもに逢いに来ていた。何故彼女が逢いに行くかと言うと、彼女は第二の神で地位的にも第二位に位置づけられている。彼女は、密かに願っていた。〝今回の子は、消されませんように……殺されませんように……失敗作でありませんように……。〟と願う。


「父上、譲が参りました。」

譲は、父親 羽翼(ウヨク)がいる部屋に入室する。父親の布団のすぐ横で眠っているのが今日生まれた神だ……百年前は梅神、五百年前は土星神だったが、どちらも直ぐに失敗作と分かり、いつの間にか消されていた。つい先日、生まれた時神の瞬は、譲よりも強く賢い神だった為にすぐに人里に下ろされ、そこらにいる人に祠を建ててもらいその祠の中で過ごしていた。その時は、時神と空神の双子の神だったが、今回は如何に……。


布団の上で眠っているのは、見た事がないような程白く艶やかな長髪を持ち、羽を持つ。恐らく生物系の神だなと譲は思う。そして父は言う。


「この子は、〝天薙(ソラナキ)〟だ。区分は、〝吸血〟つまり、血を吸う種族を生み出すであろう神だ。譲……またよろしく頼むぞ」


譲は、はい。と言ってその子をおぶって部屋から退出する。譲は、歩きながらこの子がどんな吸血系の神を産んでくれるんだろう……どんな子なんだろうと心を豊かにして自室に連れて行っていた。まだ人里は、狩猟をしているくらいだろうか……よく祠を作れたなぁ……と譲は思っていた。


「ま、ママ?」

急にママと呼ばれたから驚いたが、譲は説明をした。譲は、初めて〝ママ〟って呼ばれて最初こそは驚いたが……よく見れば愛らしい見た目の子だから……


ガブッ


「んっ……何しているの、、天薙」

譲は、困惑した……首筋に鋭い痛みが走り叫びそうになる……鎖骨にツーと液体が滴り、襟が少し血で汚れる。


「·····美味しい ママ」

天薙は……譲の血を飲んでいた…察せるだろうが飲んでいるのだ。神界で第二位である譲の首筋に噛み付いたのだ……吸血のために。譲は、察した。〝この子は……吸血だから血を分け与えな……〟


ドサッ


どのくらい……時間が経っただろう首が痛い……周りが騒がしいなぁ……どうしたんだろ?


「譲姉 白髪の女の子が血を吸って回ってる」

瞬が血相を変えて部屋に入ってきた。瞬も私の姿を見て顔が真っ青になっているのも分かる。あ……首筋。


「譲姉……今は、休んでいて なんとかしてくる」

瞬が部屋を後にした。私は、とりあえず布団に入って眠る事にした。


ーーーーーー天薙目線

「(はぁはぁ……血をこんなに飲みたくない。なのにどうして私は求めて……)血をくれぇぇぇ」

いやだ……みんな怖がっている。私は、私は……〝自分が怖い〟。さっきだって意識が遠のいていって……はっと目が覚めて目の前を見たら青白い顔色の譲姉様がいた……口と譲姉様の首筋を見たら……私は理解した。私が姉様を襲ったんだって…だから姉様は倒れている。それが何よりの証拠。

「·····た、た、た、た、助け……て。」

私の心の叫びは誰にも聞こえない。誰にも理解されない……まだ生まれてまもない私だけど理解出来る。こんなにこんなに……みんなを怖がらせたらお父様は〝間違いなく私を殺す〟って。


「そこまでだ……吸血神 天薙ッッッ」

あ……お兄様。そうかお兄様なら……いいのかも、、し、れ、、……ない。今は、戦うしかない……。


「はぁはぁ……」

はぁはぁ……ぜぇはぁ……勝てない。そうだよね、時神なんだからお兄様は……私はどうなるんだろう……


ー次の日ー

「·····天薙は、危険だ。瞬……貴君も危ないが……天薙はよっぽど危ない。先程 お父様から通達があった……○○に連れてこい」

審議神の聡だ……瞬はとりあえず地下牢に入れた天薙をおんぶして○○に連れていった。天薙は理解しているだろう……〝殺される〟って事に。


「吸血神 天薙。処刑にする」

あ……私。やっぱり殺されるんだ。


天薙は、言った

「私は、普通じゃないの?」

お父様は、〝そうだ。お前は危険だ。瞬も危険だがお前はより危険だ〟といい、大きなナタを振りかざした。私は、〝死〟の瞬間……たった一日の走馬灯が見えた。それを見ていると覚悟が途切れそうになる……途切れたら間違いなく発狂していただろう……事切れる瞬間 天薙は思った。


〝次の人生は……幸せにな、り、、た…い……〟


第一章「吸血神は……生きたい」END

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ