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第九話 インテリジェンス化

『カード銃 プロフェッショナル』のアナライズ画面を確認しつつ、俺は疑問に思う点をGさんに聞いてみた。


(Gさん、魔力耐久度が3ってどういう事だ?

 魔力耐久度は、使われる素材が強く影響する数値だって、前にGさん言っていただろ。

 親父の作ったカード銃の魔力耐久度は1だったし、同じ材料を使っている以上、ここまで上昇するのは、どう考えても可笑しいと思うんだが。)


『まあマスターが驚くのも無理はありませんが、元のカード銃は魔鉄製、それに対しマスターが使った素材は魔鉄鋼という炭素を含ませた合金です。

 素材の強度が格段に上がっていますから、魔力耐久度が上昇するのは、少しも可笑しなことでは御座いません。』


 あ~、魔鉄鋼にしたから、上がったのか。


『と言っても通常は魔鉄鋼にした場合でも、魔力耐久度の数値が1上がれば良い方です。

 今回魔力耐久度が2つも上昇したのは、グリップ部分に使われた、スーパープレミアム玉鋼・鶴のお蔭でしょう。』


(何だ?そのスーパーなんとかって。)


『はい、魔鉄鋼は最もポピュラーな素材ですので、その硬度によって、28段階のランク付けがなされます。

 そして、スーパープレミアム玉鋼・鶴というのは、そのハイエンドランクの事です。

 まあ魔鉄鋼という素材において、硬度の高さがイコール高性能とは、一概には言えませんが、この素材の魔力耐久度の数値に関しては、この硬度に比例する特徴があります。』


 ん、聞いたこと無いぞ・・・そんなランク。

 親父に聞けば、知ってるかな?

 いやぁ、怪しいとこだろうなぁ。


『とはいえ銃というものの基本的な設計を考慮した結果、今回銃身にこのスーパープレミアム玉鋼・鶴を使用するのは、硬度が高すぎるので差し控えておきました。

 ですが仮に、銃身にも使用していれば、間違いなく魔力耐久度が4程度にはなっていたでしょう。』


 ほう、俺的には、魔力耐久度4なんて言われても、どの程度のものか今一まだピンとこないけど。

 まあこういったアイテム設計は、今後もGさんに任せておけば良いか。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 一つの疑問が解消したので、次の質問。


(なあGさん。本来さっきの素材に関する事って、説明に表示される事だよな?

 なんだ?この『超頑張り屋さん。あとは乙女の秘密。』って。アイテムアナライズが壊れたのか?)


『いえ、壊れてなんていませんよ、マスター。』


(いやだって説明がまるで、女の子が自己紹介してるみたいな感じだし。)


『それは刻印登録が完了し、アイテムの自我が覚醒した証拠です。その場合、アナライズの表示は、アイテムの感情が反映されますから。』


(へっ、刻印登録って、盗難防止機能みたいな感じじゃないの?)


『それは、刻印登録のメインとなる効果でありますが、刻印登録による効果には、他にも低確率ではありますが、インテリジェンス化というものが有ります。

 初めからインテリジェンス化しているネームドアイテムは、非常に珍しいですが、不思議という程の事では御座いません。』


 えっ・・・俺的に、かなりのビックリ事案なんですけど。

 インテリジェンスアイテムなんて、小説の中の話であって、実物なんて存在しないと思ってたし。


 ・・・だがまあそうは言っても、ジョブというものが存在し、かつ、そのジョブが喋り出した現実を経験した俺にとって、今更この程度の事を受け入れるのは、造作もない事。

 インテリジェンスアイテム?

 あ~知ってる、知ってる。あれね、見たことあるぅ~。

 ・・・よぉ~し、自己暗示完了。


(なあGさん、そのインテリジェンス化が、低確率ってどういうことだ?)


『はい、それは刻印登録をしても直ぐにはインテリジェンス化しないケースの方が、圧倒的に多いという意味です。

 プロフェッショナルの様に、刻印登録と同時にインテリジェンス化するのは、恐らく確率で言ったら、1%未満といったところでしょう。』


(じゃあ、普通はどのくらいでそのインテリジェンス化が起こるんだ?)


『はい、インテリジェンス化には、マスターがそのアイテムを使い続け、愛情、愛着といったものを注ぎ続けることも必要だったりします。

 そして刻印登録したアイテムがインテリジェンス化するまでの期間は、数か月、数年掛かるなんてことも普通のことです。

 ですから今回のように、作成直後にインテリジェンス化するケースは、非常に稀であり、余程マスターとそのカード銃の相性が良かったという事でしょう。』


 そう言われるとちょっと嬉しくなるな。


(ちなみにこのカード銃は、小さな女の子キャラみたいだけど、これはインテリジェンス化したばかりだという認識で良いのか?)


『まあそれは当たらずも遠からずといったところです。

 マスターが刻印登録したアイテムがインテリジェンス化した際の思念というのは総じて幼いものであり、なにもプロフェッショナルに限ったことでは御座いません。

 アイテムに寿命という概念は御座いませんし、精神的なものの成長には、人における尺度とは比較にならないほどの時間が掛かるという事です。』


 ふ~ん、なるほど。


(じゃあ、Gさんの場合はどう解釈したらいいんだ?)


『まあジョブである私の場合にも同じことは言えますが、私には先代、先々代と長きに渡り、マスターに仕えた経験が有りますし、代々受け継がれてきたものです。

 今現在のマスターのこの身体に宿った瞬間に、私というジョブが誕生したという訳ではないのですよ。』


 ふ~ん、確かにそういうことなら、こんな偏屈な性格も納得だな。


『そんな事より、インテリジェンス化したアイテムは非常に貴重な存在です。

 どうか末永く、そのカード銃を大事にしてやって下さい。』


(ああ、そうみたいだな。これから大事に使っていくことにするよ。)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


『それはそうとアイテムネームの最後に、レベル表示が付いているのは、お気づきになられましたか?』


(あっ、そうそう、それも気になってたんだよ。)


『あれはインテリジェンス化の福次効果で、そのアイテムが成長型アイテムとなった証拠です。

 マスターの扱い方次第で、そのアイテムは如何様にも進化していくことでしょう。』


 ふ~ん、進化するアイテムかぁ。何か面白そうだな。


(扱い方次第って、普通に使ってりゃ、アイテムレベルって上がるのか?)


『はい、アイテムレベルは、マスターがそのアイテムに傾ける愛着を糧にレベルアップします。

 マスターがそのアイテムを大切に使い続けていくことが大事です。』


 へぇ~、使い続けて行けば・・・か。

 それなら今から、霧島ダンジョンのヒゲモグラの討伐にでも、行ってみますかね。

次回、第十話 カード銃 プロフェッショナル。

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