第七話 魔力耐久度と魔力伝導率
○引き続き、霧島家二階居住スペース、霧島幸太郎の部屋○
『では次に術式スロットのご説明に参ります。』
う~ん、何時まで続くんだ?この件。
まあ知るべきことだし、文句は言えんが。
『術式スロットというのは、作成したアイテムが持つ、術式を許容できるキャパシティのようなものです。
そして基本的には、道具化現象の時に、素材の質量や性質により、決まります。
ですがこの術式スロット数は、道具化現象後に増加するケースというのも珍しくありません。
例えば、パワーストーンの様な魔力を持つ素材を埋め込んだり、融合させたりする事により、その数を増やすことも出来ます。
そしてまた、アイテムに大量の魔力が注ぎ込まれると、自然増加するケースもあったりします。
世にあるアイテムの術式スロット数が、同素材で同じものを作ったとしても、術式スロット数が異なったりするのは、こういった事が原因です。』
ふ~ん、色々物知りだねぇ、Gさんは。
(じゃあアイテムの素材なんて気にしなくても、パワーストーンを集めれば、術式スロット数を増やして凄いマジックアイテムとか、結構簡単に作れるって訳か?)
『いえ、そんな単純な話では御座いませんよ、マスター。
魔法術式には、それぞれ発動時に消費する魔力量によって術式ランクというものがあります。
魔力耐久度の低いアイテムに高い術式ランクの術式を組込めば、その術式が発動された時点でそのアイテムは壊れてしまいます。』
まあそんな簡単じゃないよな。
『また術式ランクが低くとも、組み入れた術式数が多ければ、それらが同時発動した時点で同じ結果に繋がります。』
なるほどねぇ。
(でもさぁ、そうなると、その術式ランクってのを知らなきゃ、マジックアイテムを作る事はかなり難しいんじゃないか?)
『はい、それでしたら、アイテムアナライズ(極)で、個々の術式のランクや役割といったものも確認できますので、一度確認してみて下さい。』
あっ、そうだったの。
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『魔素吸入術式』
説明 :大気中の魔素を取り込む術式。
術式ランク :D
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『中級鑑定術式』
説明 :『鑑定』スキルレベル5相当の鑑定結果を表示する術式。
術式ランク :C
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あっ、ホントだ。こんな説明まで見れるのか。
『ご確認できましたか?』
(できたできた。)
『その術式ランクですが、ランクは原則として、S~Dまでの5段階。ランクDの術式の場合、消費魔力を1だと考えて下さい。
そしてランクが上がる度、消費魔力も+1ずつ増えて行きます。
先ほどの中級鑑定メガネを例に取れば、瞬間最大消費魔力は3という事になりますね。』
ああ、ランクCとDが一つづつあったからな。
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『次に魔力耐久度とは、先ほどの瞬間最大消費魔力に耐えうる値ということになります。
そして新たにアイテムを作成する際には、この魔力耐久度の数値は、使われる素材が強く影響致しますので、素材選びが重要という事になるのです。』
ふむふむ。そういうことかぁ。
(ちなみに、この魔力耐久度ってのもパワーストーンとか使えば、上がったるするのか?)
『はい、素材により限界は御座いますが、ある程度まで数値を上昇させることが可能です。」
そっか。
(あと魔力伝導率ってのも気になってるんだけど、何を意味しているんだ?)
『魔力伝導率とは、取り入れた魔力を利用する際の効率を数値化したものです。
分かり易く言えば、この数値が高ければ、発動された魔法術式の威力も大きくなるという事です。』
ふ~ん。
(でもさぁ、魔法術式の威力って、術式ランクで決まるとか、さっき言ってなかったか?)
『はい、マスターの仰る通りですが、術式ランクは術式の持つ一定の効果の大きさを表します。
それに対し魔力伝導率は、その術式の持つ効果を如何に効率的に引き出せているかを表した数値といった具合にご理解下さい。』
ああ、つまりは魔法術式の効果を決定する要素は、2つあるってことか。
でもまあ、そう言われてみれば、納得だな。
同じ火球を放つ杖でも、威力が違ったりするし。
『また魔力伝導率が高ければ、より効率よく魔力を取り込むことができ、チャージタイムの短縮が図れたりもします。
例えばAランク以上の術式になりますと、魔素吸入術式だけでは、魔力供給が追いつきません。
ですからAランク以上の術式が組込まれたアイテムには、取り込んだ魔素を魔力として貯蓄して置く魔力供給機構が術式構築されているのです。』
つまり魔力消費の大きい術式には、バッテリーみたいな術式が必要ってこと?
『今現在取得術式が2つのマスターでは、少し想像し難い内容かもしれませんが。』
いや、ちゃんと理解したから。
(つまりあれだろ?高ランク術式には、発動にクールタイムがあって、その時間が魔力伝導率の高いアイテムほど短いって話だろ?)
『なっ、なんとこのへなちょこマスターに、ちゃんとご理解頂けているとは・・・私の説明が神がかっていたのでしょうか。』
うっせぇ。
『一応今回の説明はこれで終わりにしようと思いますが、どうですか、何か他にご質問は?』
(いや、今日はもう良いよ。サンキュな、Gさん。かなり勉強になったわ。)
『はっはっは、また何かご不明な点が御座いましたら、何なりとお声掛け下さい。』
ふぃ~、やっと終わった・・・
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
もう既に深夜0時を回り、ベッドに横になっていると、Gさんが声を掛けてくる。
『マスター、一つ大事な御忠告をするのを忘れておりました。』
ふにゃ~、何だ?もう丁度寝入るとこだったのにぃ。
『ジョブというものは、無くなればスキルも一緒に無くなってしまいます。その理は、エクストラでインテリジェンスな私と言えども同じ。くれぐれもご注意下さい。』
なにっ、今聞き捨てならない台詞が・・・
(ジョブって無くなってしまうことがあるのかっ!)
『それは当然御座いますよ。そもそもジョブというのは、神への信仰の証みたいなものですから。
マスターの場合、アイテム神の信頼を裏切るようなことになれば、ある日突然ジョブが消失しているなんてことも、普通に有り得ます。』
・・・マジか。
『マスターの様なへなちょ・・・いや多少はマシなへなちょこですが、私の様なエクストラでインテリジェンスなジョブを授かることは、二度とないでしょうから、気を付けた方が良いですよ、ホント。』
ちっ、何だ、その多少はマシなへなちょこって・・・しかし今はそれどころではない。
(なあ、Gさん。アイテム神の信頼に応えるってのは、具体的にどうすれば良いんだ?)
『はい、基本は、私が出したミッションを成功させることですね。』
な~んだ、それなら問題なさそうだな。
バッジ造り程度のものなら、なんとかなるだろうし。
おまけに御大層なスペシャルスキルってのまで使えるようになったのなら、前回より簡単に事が済むってもんだろう。
(でも、それってあれか?お前の出すミッションは、あの女神像の中の人が指示でも出してんのか?)
『はい。アイテム神様と私の思念は、マスターの手にある刻印を通じて、どんなに遠くにおられても繋がっていますので。
それに、よくマスターのご様子も私に聞いて来るんですよ。この星は管轄外だから直接確認できないらしくて。』
(あっそ。)
・・・Gさんめ、俺の悪口吹き込んじゃいねぇだろうな。
こいつの俺に対する見立ては、現状へなちょこだし。
でもまあ、俺の身体レベルが上がれば、その辺も解消するか。
こいつの評価基準は、最大MPな訳だし。
にしても、ちょっと妙なことを口走っていたな。
この星が管轄外とか何とか・・・
う~む・・・寝るか。
次回、第八話 刻印登録。