幼馴染と絶交する
菜々子からしたら青天の霹靂だっただろう。なんせ、これまで物言わずおどおどするだけだった幼馴染が、いきなり大声を出して詰り始めたのだ。しかも菜々子のことをストーカー呼ばわりだ。屈辱以外なんでもないだろう。
呆然としてしまった菜々子に、僕は追撃した。
「そもそもさ?なんでこんなところに来てんの?菜々子は陸上部で毎日練習があるってずっと言ってたよね?あんたみたいな帰宅部のインキャと違ってこっちは色々忙しいのよとか言ってたのに、やってること帰宅部と一緒とかタチ悪すぎでしょ?嘘松かっての」
「や、今日は練習休みだった……」
「ふーん?因みに今日は火曜日だけど、こんな週の真ん中休みになるんだあ。不思議だねえ。そういえば同じクラスの陸上部男子はジャージ持参してたなあ。それじゃああいつは練習もないのにジャージ持ってきてたんだあ。飛んだおばかさんだねえ」
嫌味ったらしく詰っていく。可哀想だって??んなこと誰しも思わないだろう。悪いの彼女なのだから。これはハンムラビから伝わる目には目をである。
「ほ、ほら男子と女子で練習メニューが……ってそんなことはどうでもいいでしょ???なに??誠のくせに人のことストーカーストーカー呼ばわりしくさって、あんた去年友達1人もいないからって私のそばついて回ってたでしょ??あんたの方がよっぽどストーカーよ!!!」
「あーそーだよ昔の僕は君にヘコヘコとしていたさ!!!クラスで浮かないようにって思ってね!!!でもよく考えてみたら、別に君なんていてもいなくても僕は1人だ!!!僕は成長したんだよ!!君なんて要らない!!幼馴染なんていらない!!誰にも頭を下げないで生きていくんだ!!」
周りには痴話喧嘩に見えたのか、通りがけに振り向く人もいた。
「何それだっさ。マジダサい。どうせ1人だからって、唯一の話し相手であるこの私にそんな口聞くんだ……」
「そうだよ。僕は君からも疎遠になって、真のボッチになる。だからこれからは金輪際話しかけないで。一緒に学校に行かないし、クラスの中で話したりしないし、放課後とか休みの日に家族ぐるみで遊びに行ったりもしない!!!2度と話しかけるな」
僕はそう冷たく言い放った。家の前まで来ていたから、とどめの一言を置いて部屋に戻った。
「長田菜々子さん、絶交だよ」
疎遠よりもランクが上がってしまったが、こうして2人は赤の他人として再出発することになったのだった。それは僕にとっては僥倖で、菜々子にとってはショックだったに違いない。
ちょっと短くなってしまい申し訳ございません……
次からいちゃいちゃリア充ライフのスタートです!!