2.貯金の具体的目標額と、ゼニゲバな私について
ご主人さまたちの仕事は、腕っ節がものをいう。
鍛えるのも仕事のうちなのだ。自衛隊とか、消防隊とか、彼らの仕事は主にトレーニングやシュミレーション、道具の手入れなどである。
今、請け負っている魔獣狩りは、昼から夜にかけての半日だ。
朝起きて、家を出る昼ころまで、彼らはおのおので組んでいる訓練メニューをこなすのがルーチンのようだった。
四人でうまくパワーバランスをとるためだろうか、武器はみんな異なる。
阿止里さんは、いわゆる剣。
ユーリオットさんは、弓。
ナラ・ガルさんは、大槍。
月花は、大きなブーメランのようなやつだ。
それぞれ道具の手入れと具体的な訓練をした後は、集団で行動するときの確認をしているようだった。
おそらく、予想できうるあらゆる事態をはじきだし、それぞれにどう対処するかを決めている。
一言で傭兵集団といっても、きっと彼らはレベルの高い集団に違いない。
私はそんな様子を邪魔しないよう、家の中を簡単に掃除する。
ろくな掃除道具がないので、家具の拭き掃除や、油断するとすぐに積もるじゅうたん・寝台からの砂埃を払う作業が主だ。
それから、楽しみなのは買出しだ。
冷蔵庫なんてものはないから、毎日入り用なものを、つど買いに出かける。
お金の数え方や換算も、ちゃんと教わっているのだ。このときほど、日本の算数教育に感謝したことはない。
実はこの世界では、若い女性はその肌を見せることをよしとしない。
現世でも、そういう宗教があったと思うが、私も買い出しのときは頭から麻布をすっぽりかぶり、その上からティアラのようなもので布を固定する。
目のところはくりぬいてあるので、見えるという寸法だ。
それでも男性に比べ女性が生まれる比率は低く、かどわかしも多発するため、外出時は四人のうちの誰かが必ずついてきてくれる。
私と並ぶと、万が一ものを投げつけられたときに当たると嫌だから、と、並んで歩いてはくれない。
もちろん、抗議した。言いたやつには言わせておけばいいし、私なら気にしない。
そう私がぷんぷん怒るたびに、四人は泣き出しそうな、それとも笑っているような複雑な顔になる。
私のその言葉で、十分だから。と、そう言って、まだ怒っている私を、切なげに見るのだ。
あきらめてないけどね。いつか、隣に並んで、幸せ買い物タイムをみんなに味わわせてやるのだ!
ちなみに、うれしい誤算もひとつ。
私の「日当」は、一般的なお値段よりも割高の、2デルナイに設定してくれているのだが、(一般的な日雇い労働の日当は、1デルナイと聞いたよ)それとは別で、食費に一日1デルナイも渡してくれる。
どう考えても多いので、おつりを渡そうとすると、受け取ってくれない。
ちゃんとした食事を提供したうえで余った食費は、なんと、私のへそくりとなるのだ!
しかも、その他の仕事をこなした場合は、別途報酬あり!
目標金額まで、三百デルナイ。日当1デルナイ+余った食費 (およそ10アサリオン!)
ちなみに、20アサリオン=1デルナイだ。なんと豪華なへそくり。
プラスアルファの仕事でボーナスももらえる!
社会保険がついていれば、言うことなしだなあ。大きいよ、保険の出費。国保だと、2万くらい飛ぶからね。
とにかく貯める! 貯めに貯めてざくざく貯めるよ!
待っててね拓斗!!




